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月記:2022.09

最近触れた本、音楽、映画について書きます。

江國香織『号泣する準備はできていた』

普段読まない本を読もうと思って買いました。短編集です。どの主人公もおしゃれでどこか達観しながら、ずかずかと恐れることなくある種の愚かさの沼に入っていくようなところがあり、そこに作者の美学を感じる。一番最初に収録されている「前進、もしくは前進のように思われるもの」がタイトルと相まって好みでした。


大江健三郎 『万延元年のフットボール』

恥ずかしながら初読でした。60年代日本社会のべたっとしたスケッチという印象。かなりの批評の蓄積がありそうなのでそちらを読もうかな。読む前の自分に言いたいのは侍が日本最初のサッカーチームを作る青春コメディではないということ。


R・L・スティーブンソン 『さらわれて』

主人公が船でさらわれるというタイトルそのまんまの小説。小さな問題が発生してはすぐに片付くので話がせわしない。18世紀のスコットランドの政治、社会の描写が多いのは個人的には好みでした。


Mitski 『Laurel Hell』

上品なシンセ、上がりきらない酩酊感。めちゃくちゃ良かったです。話題になった2018年の『Be the Cowboy』より完成度が高いと思う。「The Only Heart Breaker」「Love me more」は秀逸。


TORIENA 『A.I Complex』

ピコピコ感のあるテクノが聞きたくなり、80, 90年代の曲を色々掘っていたけどしっくり来ず、「チップチューン」とググって最初のページに出てきたアルバムでした。アグレッシブ一本勝負な感じが好み。チップチューンはテッキーな感じというよりはパステルカラーなKawaii系がメインストリームなんだろうか。


ケネス・ブラナー 監督・主演『ナイル殺人事件』

「オリエント急行殺人事件」に続くケネス・ブレナーによるポワロ実写化。オリエント急行の映像が好みだったのでこちらも見てみました。
ポワロといえば、とぼけたキャラクターや外国人風の英語で相手を油断させて情報を集めてゆく、老獪な探偵という印象が強いですが、ケネス・ブレナー版のポワロはふつうに容疑者を真正面から大声で怒鳴りつけて詰問するので、なんというかスマートさに欠けるところがあります。
ジャクリーン役のエマ・マッケイの演技は迫力があって好きです。


デビュー作『カトリと眠れる石の街』の発売が近づいてきました。どうぞよろしくお願いします。近々またnoteを書きます。


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