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隅隅まで破壊される世界に横たえるあなたは

隅隅まで破壊される世界に横たえるあなたは
いよいよこれからツクラレル
上の壁を縦横に行き交う三次元印刷機プリンタのノズルから
この潔癖な手術台で
         ジュバっと印刷さレル
舞踏会用の虚貌マスケラは在庫切れだが
あなたが指差す煌びやかな宣材写真が
無菌の猫道ランウェイを尻尾をたて大鳴きして歩いてくる
ここにあるのはバリ取り鋏と修正液
剥ぎとられる傷つきやすい身體と
膿盆にくねる小さい心
白塗りされる意識に彼らは何かを書きこむ
私もそうだった
       そうしてツクラレルから
                  この音が、
爽快な昏睡からいつか覚め見たこともないそれは
すべて信じたくなかったが貌も世界もズレていて
私も精神もくいちがい異形のものへ変装していてだから
偽りばかりをみせる眼球を抉りだし
カラフルな偽証に愧じない舌を切りとり
指差しできない丸い拳を壁に叩きつけるから
                    囂囂ごうごう
いや、だから、ほんとうに、そうしたいから
医療芥箱メディカルペールのすぐ横の製品置場のはじで
無邪気に麻酔で寝落ちする印刷物は
異物の重量をもつ苦悶を知らない
いや違う、
     質量だ、質量の在る悦びを、知らない、
だから私は、あなたは、
そのそれでなくなる苦しみを、
              いやそうじゃなィ、
     こ、の、多幸感を、
あなたにヘンカンしようとキ
             機械音が、ゥルサイ、
だから水準器が勾配をしめす手術台の歪曲を指差し
あなたが間違って謄寫されることを
イカリをもって告発し
あなたがミミ障りなものになるまえに
あなたを全壞シュレッドする
それが私の使命であることを彼らに突きつけ
その眼前であなたを原料にカンゲンする
それは、私の耳元が喚く密命であり
私たちが手術台で、
         ダから、この轟音は何、何だ、
   出会うこと、
なぜ、私たちはツクラレルのか、だカラ、ウルサィ
発火する多目的電動式汎用手術台普及版型番参乃壱
あなたはまだ抗えル             ぅ
         、私は          
ァ           、私はいつか、だかラ、
見捨てられた 可哀想に 油圧機構はイカれテル、
空は灼けテル ア ァッィ
            ィ印刷機をとめテクれ、


【23M10AN即興】(「崩壊の微分」よりⅠ)
*画像はStable Diffusionにて筆者作製。画像と本文に特別の関係はありません。なお、AI生成画像を無条件に支持するものではありません。


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