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札幌の旅(4)お金を経験に変える

4日間の旅の最終日。正午の飛行機なので、もう札幌でできることはほとんどない。

初日に走ったランニングコースが気に入ったので、今朝もう一度走ることにした。すすきのから中島公園を抜けて、豊平川の河川敷を折り返す。来るまでは札幌の地理がまるでわからなかったけど、今ではだいぶ土地勘がついた。札幌はコンパクトな街でいい。いろんなものがギュッと詰まっている。それでいて自然豊かで、おいしい食材にも恵まれている。

河川敷を走りながら、頭をよぎったのは今住んでいるアパートの問題だ。これがこの半年間の悩みだった。

もうすぐ2年に一度の更新料を支払うタイミングなのだが、もうかれこれ同じ街に4年住んでいる。そろそろ引っ越さないと、自分の中で何かが停滞してしまうのではないか、という懸念があった。しかし引っ越すのにもまたエネルギーが要る。地方移住を検討して鹿児島や北見へ行っていたのは、もちろん「地方に住んでみたいから」というのもあるが、その前に「ここから引っ越したいから」というのが大きな理由だった。地方に住むことになれば強制的に引っ越さなくてはいけなくなる。きっと新しい生活を前にポジティブなエネルギーが出てくるだろう。そのエネルギーがあれば引っ越しも怖くない。でも大きな理由もなしに引っ越すのは、自分にとって結構難しいことなのだ。ぼくの中には怠惰で保守的な自分もいて、「引っ越したい」「環境を変えたい」という気持ちと、「引っ越すのは面倒」という気持ちがいつも戦っている。

ただ、今の家は羽田空港に近いし、成田空港へも直通で行けるので1時間40分かかるとはいえアクセスは決して悪くない。これまでの4年間はほとんど旅行から遠ざかっていたが、ようやく「国内を旅しまくろう」とエンジンがかかってきた今のぼくには申し分ない家だ。きっと「停滞する」と感じていたのは、旅行をせず同じ街に閉じこもっていたからだと思う。動いていれば停滞はしない。

唯一のネックは、家賃だった。都内の家賃は高い。地方へ行けば今の家賃の半分で住めるかもしれない。そしたらだいぶ生活コストが下がるし、フリーランスとして生きていくうえでのハードルが下がる。せっかくオンラインだけで成立する仕事をしているのだから、地方に住んでいた方がこれからの働き方のひとつのロールモデルにもなりやすいのではないか。そんな気はする。

いちばんわかりやすい解決策は、たくさん稼ぐことだ。稼げばすべてが解決する。そのまま今の家に住み続ければいい。そして立地を生かしてたくさん旅行もする。それができれば理想的な生活になる。ただ、旅費と家賃を払っても余裕で黒字にする、というのはフリーランスにとってなかなか簡単なことではない。旅行をすれば働く時間も短くなる。だから大口の仕事がないと、なおさら稼ぎづらくなる。

けれど、せっかく今は少しの貯金があることだし、「好きなことで大口の仕事を取る」という目標に向かってしばらく自己投資してみようかな、という気持ちに傾いてきた。そう考えれば、今の高い家賃も必要な自己投資かもしれない。今はお金を経験に変える。そしてお金が尽きてどうしようもなくなったら、また覚悟を決めてクライアントワークでもしまくればいい。何も死ぬわけじゃない。植村直己だって、登山費用を稼ぐために蜂に刺されながらアメリカの果樹園でブドウ摘みをし、その後スイスのスキー場でもアルバイトをしていた。やりたいことのために、あくまで前向きだった。経験は必ず次の良い仕事を生む。そう信じてぼくも頑張りたい。

朝8時から1時間かけて7kmを走った。ホテルの大浴場で風呂に入り、昨日買ったDONGURIのパンを食べ、チェックアウト。大通公園から札幌駅まで歩き、エアポート快速で新千歳空港に着いた。そして夕方、無事帰宅。札幌は良い街だった。これからもたくさん訪れたい。

明日と明後日は原稿と添削に取り組み、3日後からは高知へ行く。旅で突き抜けると決めたら、中途半端はいけない。やるなら徹底的にだ。

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