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東北一周自転車旅(5)福島県いわき市〜双葉郡広野町

東北一周自転車旅
第5ステージ
福島県いわき市〜福島県双葉郡広野町(38km)

今朝は8時過ぎに起きて朝風呂に入り、先日あいなちゃんにいただいたクッキーとプロテインで簡単な朝食。

旅の相棒も洗濯してあげた

9時15分に湯本の宿を出発し、南へ10km走ってアクアマリンふくしまにやってきた。

実は昨夜、ご支援者で福島県在住のかこさんから、こんなDMをいただいていた。

「明日10:30頃はいわき市のどの辺りにいらっしゃいますか? 明日10:36にいわき市のアクアマリンふくしま上空をブルーインパルスが飛行します」

地図で調べたところ、「アクアマリンふくしま」は同じいわき市でも、小名浜港の近くにあった。そこは泊まっていた湯本の宿から10kmも南で、自転車で北へ向かうぼくにとっては反対方向。だから、残念だけど行くのは難しいかなと思っていた。それに、お昼にライターの奥村サヤさんと会う約束もある。おそらくいわき駅周辺で会うことになるのではないか、と勝手に思っていた。

しかしその後サヤさんからのLINEに目を見開いた。

「明日、アクアマリンふくしまを目指して来ていただいても良いでしょうか?」

ブルーインパルスについては言及されていなかったが、こういう偶然があったからには行くしかない。

すぐに電話をかけて、「せっかくなのでブルーインパルスを見たいです」と伝えた。

そういうわけで、10:15にサヤさんと合流し、無事ブルーインパルスの飛行を見ることができた。

イオンの向こうから現れるブルーインパルス

北側のイオンの上空から白いスモークを吹き出す6機が現れたかと思うと、一瞬で自分たちの真上を通過し、海で旋回して福島空港へと向かっていった。福島空港は今年3月に開港30周年を迎えた。その記念の企画だったようだ。

美しい飛行だった

滅多に見られないブルーインパルスを、自転車旅の途中で見られたのだから、これは幸運というしかない。

その後、時間節約のためサヤさんのワゴン車に自転車を積ませていただいて、「養田珈琲」へ。ここを訪ねたのは、2日前に前職の旅行会社時代の先輩である鈴木洋さんから「ぜひ立ち寄ってみてください」と連絡をいただいたからだ。

洋さんは海外添乗員でありながら、コーヒーマイスターの資格を持つ無類のコーヒー好きでもある。ぼくが社会人4年目の頃、「同じコーヒー豆でも、抽出方法によってどう味が変わるのか?」ということが気になって、洋さんに講師役を頼み、友人を集めて小規模なイベントを開いた。世界各地のコーヒー豆とたくさんの抽出器具が揃う洋さんの家で、体験を楽しみながらコーヒーについて講義をしてもらった。それはすごく楽しくて勉強になる時間だった。

前職の先輩の鈴木洋さん

かつて東京・南千住にある名店「カフェ・バッハ」の田口護さんのもとで修行していた時期もあり、その焙煎講座で「養田珈琲」の養田勇さんと一緒になったそうだ。

「養田珈琲」も宿からかなり離れていたため諦めていたのだが、「アクアマリンふくしま」のすぐ近くだったので、せっかくだから立ち寄っていくことにした。

メインはここで焙煎したコーヒー豆の販売だが、併設のカフェもある。幸いほかにお客さんがおらず、養田さんからゆっくりとお話を伺うことができた。商売のことよりも、とにかく純粋にコーヒーが大好きで、その魅力をお客さんと分かち合いたい、という気持ちがひしひしと伝わってくる。目をキラキラと輝かせながらコーヒーについてたくさん教えてくれるので、こちらも楽しくなってくる。

たくさんお話を聞かせてくれる養田さん

養田さんはもともと建設会社で働いていたが、東日本大震災が大きな転機となり、しばらくして仕事を辞め、大好きだったコーヒーで起業することにした。そして、「カフェ・バッハ」のコーヒーのあまりのおいしさに衝撃を受けて、2年間修行したのだそうだ。

焙煎とドリップの技術が凝縮された一杯

「今日はどんな味がいいですか?」と聞かれて、悩んでいると、いくつかキーワードを出してくれた。その中で「爽快なコーヒー」という言葉にピンときて、「ぜひ爽快なコーヒーを飲みたいです」と注文した。これからいわきの海沿いを自転車で走るから、爽快な気分になれるコーヒーを飲みたかった。

養田珈琲のブレンドNo.3

丁寧にドリップしてくれたそのコーヒーは、実に味わい深くおいしかった。ぼくはホット、サヤさんはアイスで注文。少し味見させていただいたが、アイスも良かった。何よりここでは養田さんのお話を楽しく聞いて、自身のコーヒーの世界観に広がりが生まれることがひとつの価値だと思った。養田さん、ありがとうございました!

養田さんと

お昼のお店に向かいながら、車内でサヤさんと雑談。お会いしたのは今日が初めてだけど、これまでライターコンサルを通して何度も電話でお話してきた。すごく良い方で、いつかお会いしたいと思っていた。

初めて彼女にコンサルをした2年前は、まだSEO記事を書く仕事をしていて悩まれていた。しかし現在では素晴らしいインタビュー記事の書き手で、いわきを代表するライターさんのひとりとして大活躍されている。3人のお子さんを育てながら取材と執筆をこなし、すごくパワフルな方。そしてぼくがいわきに興味を抱いたのも、彼女の記事を通してだった。魅力的な人がたくさんいて、おもしろそうな街だな、と漠然と思っていた。

サヤさんからのプレゼント

お昼は塩屋崎灯台近くの「ごはん・カフェ きゅういち」にて。いわき市でもこの地域の郷土料理である「ポーポー焼」定食をいただいた。サンマ漁の漁師めしから生まれた家庭料理で、「イワシハンバーグのさんま版」みたいなもの。最高においしかった。ぼくは魚が好きだから、東北の旅ではこういう海鮮系の郷土料理をたくさん食べたい。

ポーポー焼定食

サヤさんとはこのお店でお別れ。短い間だったけど、お会いできて嬉しかった。いわきで作っている素敵な手ぬぐいとコーヒー、クッキーのお土産もいただいた。ありがとうございました!

サヤさん、ありがとうございました!

自転車旅を再開し、海沿いのサイクリングロードを走って北上した。今日がこの旅で最初の海だ。やっぱり青い海と空を眺めながら走るのは気持ちが良い。このあたりは津波で町が丸ごと流されてしまったという。だから道が新しい。ここから北は、そういう場所がたくさんあるのだろう。

しばらく走ると四倉の道の駅があり、その隣に「颯サイクル」というレンタサイクル屋さんがあった。昨日、湯本で訪ねた「kyoten」の中村幸稚さんに「ぜひ立ち寄ってみてください」と言われていた場所だった。店の前にテントと椅子があり、自転車乗りたちが休憩していた。ぼくが自転車を止めると「こんにちは〜」と興味津々な様子で話しかけてくれたのが店長の木村匡志さんだった。

このお店ではビアンキのロードバイクやクロスバイクのほか、台湾のBESVの電動自転車などを貸し出していて、周辺のサイクリングを気軽に楽しめるようになっている。しかもいわき駅前や、ここから北にあるサッカーの聖地Jヴィレッジでの乗り捨ても可能だそうで、それは実に便利なことだ。

まだオープンして1年ちょっとだけど、既に多くのサイクリストたちが立ち寄る憩いの場所にもなっていて、木村さんのフレンドリーさとも相まって素敵なお店だった。しばらくすると、木村さんのお兄さんもやってきた。颯サイクルのすぐ隣に、運営元の「颯建」という会社があるのだが、このお兄さんこそが颯建の会長さんなのだ。

左が木村店長、右が会長のお兄さん

施設内でお話を伺っていると、テーブルの上の「ご自由にどうぞ」と塩分チャージのタブレットが置いてあり、「あ!」と思った。

実は旅の2日日に足がつってしまったのを見て、友人が「熱中症と塩分不足の予防に」と、このタブレットを薦めてくれたのだ。しかし、途中のドラックストアでは売り切れてしまっていて、なかなか手に入らずにいた。だから思わず「おひとついただいてもいいですか?」と聞いたところ、木村さんが「ひとつと言わずドーンと持ってってください」と丸ごとビニール袋に入れて渡してくれて、「なんて親切な方なんだ!」と感激した。

ごっそりくださった塩分チャージタブレット。ありがたい

しかしこの木村兄弟の親切心はそれだけでは終わらなかった。

そろそろ出発しようとしていた頃、ぼくは自転車につけるライトの相談をした。実は先日新しいフロントライトを買ったのだけど、取り付け部分のサイズが合わず、ハンドルに装着できずにいた。そのため、トンネルなどでは手でライトを持って自分の存在を他の車に知らせていた。どう工夫したらこのライトを取り付けられるか詳しい人に聞いてみようと思っていて、その機会がようやく訪れた。

また、自転車の後ろに取り付けるテールライトに関しても、荷物を積んでいるためどんなライトが最適なのかわからず、それも相談した。

するとなんと、「中村さん、これ、旅の御守りと思って使ってください」と、前と後ろのライトをそれぞれプレゼントしてくださったのだ。この先の不安が払拭できて、本当にありがたかった。木村さん、感謝です!

フロントライト
テールライト

ちょうどまた土砂降りが降ってきたので、少しだけ雨宿りさせていただいてから再びスタート。あとは国道6号沿いにまっすぐ20kmを走り、無事広野駅に着いた。いわき市を抜けて、双葉郡に入った。途中、海に大きな虹がかかっていた。

国道6号線を北上する

今日の宿は、広野駅前の「ハタゴイン 福島広野」。お世話になったサヤさんが、今夜の宿泊をプレゼントしてくださった。それは流石に申し訳ないと思ったが、「ライターで稼げるようになったお礼がしたいのです。気にせず、少しだけおもてなしさせてください」と言ってくださった。感謝! いわきでは会う人会う人が、みんな素敵な方だった。

ハタゴインは漫画の誘惑がすごかった

まだ新しいホテルで、とても綺麗だ。大浴場にはサウナもあり、気持ち良かった。夕食はホテルのビュッフェで、お腹いっぱい食べた。毎日運動してたくさんタンパク質を摂っているから、日に日に身体つきが良くなっている。

<今日のお金>
養田珈琲 1870円
水2ℓ 120円
コインランドリー 500円

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