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行動が引き寄せるシンクロニシティ

行動は連鎖する。一昨日、元サッカー選手の村山拓也さんとお茶をして別れたあと、今度は友人の土居ちゃんからメッセージが届いた。

「久しぶり! さっきムラタクから『洋太と話しました』と連絡もらって、元気かなーと思って! またコーヒーでも付き合ってやー!」

土居ちゃんは大学時代からの友人である。彼も早稲田のア式蹴球部(サッカー部)出身で、村山さんのひとつ上の先輩にあたる。2年近く会えていなかった。

「明日、吉祥寺でクラフトビールを飲む会があって、もし空いてれば来ない?」

行けるは行けるのだが、うーむ、吉祥寺か。家から1時間以上かかる。

普段のぼくだったら、「ちょっと遠いからまた今度にしよう」と言っていた気がする。

しかし、3日坊主にはなるかもしれないが、少なくともその時点では「毎日noteを書こう」と思っていた新しい自分である。

(吉祥寺に、ネタの匂いがする・・・)

「行くわ!」

「いいね! では14時にこのお店に集合で」

「わかった!」

そうしてぼくは、土居ちゃんが誰とクラフトビールを飲もうとしていたのかもわからないまま、吉祥寺へ向かうのであった。

「中村っちじゃん!」 吉祥寺スタバでまさかの再会

せっかく吉祥寺へ行くのだから、井の頭公園でも行こう。そう思い、予定より2時間ほど早く吉祥寺駅に着いた。

改札を出て、公園口の階段を降りながら、「ここ、以前来たな〜」と景色から記憶が蘇る。

前回来たのは、2017年10月だ。

「台湾一周自転車旅」を翌月に控えていたぼくは、編集者の兄を介して、ベストセラー作家の有川真由美さんと吉祥寺でお食事させていただいた。

有川さんは2014年まで4年間台湾に住んでいた経験があり、高雄の大学院を卒業されている。有川さんから台湾で感じたこと、出会った人の話など、ユニークなエピソードをたくさん聞かせていただけて、台湾に対するワクワクが増したのを覚えている。

また、有川さんはこれまでに50以上の様々なアルバイトを経験されていて、そのお話がまたおもしろかった。「アルバイトしながらライターやったっていいんだよ〜。むしろいろんな経験ができて楽しいよ」と、当時働き方で悩んでいたから、とても励まされた。

そんなことを思い出しながら、井の頭公園を散策した。桜は散ったが、見事な新緑だった。

ぼくは新緑が好きだ。日比谷の旅行会社に勤めていたとき、出社前に日比谷公園のベンチで自然を眺めるのが習慣だった。2年目の春、生命力溢れる鮮やかな新緑に驚かされたのを覚えている。

4月だろうが7月だろうが、木々の緑は「同じ色」だと思っていたのだが、全然違う。夏になると、緑はもっと深い色合いになってくる。陽光に照らされキラキラと光るこの若葉の緑は、今だけの特別なものだ。新学期の始まりが4月で良かったと思う。

満足した。土居ちゃんとの約束まであと1時間ほどあるし、本でも読もうと公園横のスタバに席を見つけ、5分ほど経った頃である。

「中村くん?」

と右耳から聞こえたような気がする。が、集中していて意識がぼやけていた。

しかし今度は左耳からハッキリと「中村っち?」と聞こえて意識が戻った。

「え? え?」

左に、右に、首を振った。そこにいたのは、旅行会社時代の2人の女性の先輩だった。

「えーー!?」

「やっぱり中村っち! 久しぶりじゃん! 何してるの? 井の頭公園来ない? みんないるよ?」

「みんな??」

連れられて再び公園へ行くと、かつての先輩たちがお子さんと一緒に集まっていた。ほとんどの方と、退職以来4年ぶりの再会となった。

「中村じゃん! 何で? 吉祥寺よくいるの?」

「いや、4年ぶりです」

「よく会えたな」

そう声をかけてくれた鈴木洋さんから、奇遇にもその前日、久しぶりにLINEをもらっていたのだ。

それは、かつての我々の上司であった高橋マネージャーが、退職して埼玉でくわい農家として頑張っているという話だった。クラウドファンディングは300万円以上の資金が集まっていた。

お正月料理などに使われる「くわい」は、埼玉の伝統野菜なのだが、今ではかなり生産者が減っているそうだ。高橋さんはその貴重な生産の担い手となった。

実に良い表情をしている。機会があれば畑へ行きたい。

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入社1年目、ぼくは高橋マネージャーのチームで、イギリスやロシアや中近東のツアーを売っていた。毎日電話をかけて、営業していた。

「高橋さん、農家になったんだ」と驚いていた翌日、まさにその上司のもとでお世話になり、濃い時間を過ごした3人の先輩と、偶然にも再会するとは。

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(上の写真は10年前、入社1年目のとき)

1時間半程度、それぞれの近況を聞かせてもらえて良い時間になった。吉祥寺、来てみるものである。

南阿蘇村でコーヒー栽培が行われている!?

14時が過ぎ、先輩たちと別れてクラフトビールのお店に向かった。待ち合わせからだいぶ遅れてしまった。

「おー、洋太! 久しぶり!」

店に入ると、土居ちゃんの向かいに謎の女性、イシイさんがいた。2人はつい先日知り合ったばかりだという。

「どこで知り合ったの?」

「共通の知人がいるんだけど、3月にその方が、クラフトビールで有名な『伊勢角屋麦酒』さんの工場見学ツアーをプライベートで企画してくれて」

「え、伊勢角屋ってことは、三重に?」

「そうそう。三重行って、伊勢角屋の社長が案内してくれた。ほんで、数名参加した中で、うちら2人だけが関東組だったんよ」

なるほど、そんなツアーに関東から参加するくらいだから、二人ともクラフトビールが好きなわけだ。

「でも、伊勢角屋の社長が案内してくれるツアーって贅沢だね。どなたが企画したの?」

「京都の観光業に携わっている方でね」とイシイさん。

「え、それってなんていう方ですか?」

「のぞみという会社の社長で、」

「藤田さんですよね?」

「そう!」

「ぼく、2015年に藤田さんと日比谷でランチしました笑」

「えー、そうなの!?」

この株式会社のぞみ代表の藤田功博さん、京都の観光業で有名な方である。当時ぼくはインバウンドに興味があり、知人の紹介で藤田さんが出張に来ていたタイミングで、お話を聞かせていただけることになったのだ。

「伊勢角屋のビール、おいしいですよね。東海道五十三次を歩きながら53杯のクラフトビールを飲んだんですが、その中で一番おいしいと思ったのが伊勢角屋さんのビールでした」

「中村さんの旅のこと、以前どこかで聞いたことがあったんです」

思わぬところまで広がっているものである。イシイさんはこんなことも言った。

「昔、岩手県の遠野醸造の袴田さんが『ビール学』というイベントで話したときに参加したことがあって」

「その袴田くんから依頼を受けて、遠野醸造のクラウドファンディングの文章を書いたのぼくですよ笑」

「私、それ支援しました!笑」

この企画は約800万円を集める結果に終わり、2018年のCAMPFIRE AWARD を受賞した。

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色々とつながる。このイシイさん、いや石井美智子さん、「私はただの主婦です」と謙遜するが、行動力と人のつながりが尋常ではないと少し話しただけでわかった。

初めて聞く情報が色々と出てきたが、彼女から聞いたなかで一番興味深かったのは、「熊本の南阿蘇村でコーヒー栽培が行われている」という話である。

「え、日本でもコーヒーってつくれるんですか? 沖縄ならまだしも、本州で」

「できるんですよ、それが。私、南阿蘇の後藤コーヒーファームで、コーヒーの木のオーナーになったんです。1本だけですが。今年の夏にしばらく現地に滞在して、コーヒー栽培について学ぶつもりでいます」

コーヒー豆の原産といえば南米やアフリカ、東南アジアなどがほとんどだが、「国産コーヒー」というものがあるのなら、ぜひとも飲んでみたい。数年後には都内でも飲めるようになっているだろうか。コーヒー好きとしては夢の広がる話である。

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一昨日、村山さんに会っていなければ、昨日吉祥寺へ行くことはなかった。「行かない」という選択肢もあったが、行って良かった。

連鎖する行動が、思わぬ偶然の一致、シンクロニシティを引き寄せる。

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