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魅力は余裕から生まれる

昨日読み終えた無能唱元の『人蕩し術』という本、非常に学びが多かった。タイトルはちょっと怪しいけど、中身はとても良かった。昨年読んだ73冊と比べても一番。早速自分の行動変容につながっている。

ぼくにとってものすごく大切なことが書かれていたから、繰り返し何度も読みたい。今後の人生のバイブル的な一冊になると思う。

綺麗にまとめようとすると労力がかかるので、ここでは自分が特に学びになったことをとりとめもなく書いていきたい。

この本でまず学んだのは、「人の魅力とは何か」という話。人生で何か事を成すには、必ず人の助けがいる。ひとりの力だけでは限界がある。世の中を見渡してみると、人に応援されやすい人っている。魅力的な人には人が集まる。ではそういう人にはどういう特徴があるのか。そういう話から始まった。

最初に刺さったのは、「魅力は余裕から生まれる」という言葉だった。魅力的な人は、焦っていない、緊張していない、リラックスしている。確かにそうだな、と思った。余裕、リラックス、ユーモア、遊び心、陽気、笑顔などが魅力的な人の共通項だった。反対は、不安、シリアス、焦り、緊張、など。

生命活動というのは、言うなれば「緊張」と「弛緩(リラックス)」の連続だという。人間は放っておけば自然と緊張に向かうものだから、どう意識して弛緩を行うかが重要となる。たとえば飢えへの恐れも緊張につながる原因のひとつ。生きるためには食べないといけない。だから食べることで、弛緩する。

お金、仕事、人間関係などは、突き詰めればすべて食べること(=生きること)につながる。だからこの辺りで不安が生じると、無意識に飢えへの不安につながってくる。不安は緊張を生む。緊張は余裕を奪う。そういう状態が続くと、人の魅力は失われてくる。逆のことを考えなくてはいけない。

人間の悩みは、「弛緩」がうまくなされていない状態にある。悩みを解決するための選択肢は2つあり、ひとつは求めているものを手に入れること。もうひとつは諦めること(「足るを知る」も大切)。どちらかが正解なのではなく、状況に応じて選択していくこと。いずれかに片寄らない方がいい。

著者の無能唱元によれば、人間の本能的衝動は5つに分類される。

  1. 飢えへの怖れからくる「生存本能」

  2. 孤独を怖れ、人と交わる集団でいたい「群居衝動」

  3. 自分は劣っているという怖れに関わる「自己重要感」

  4. もてないことへの怖れからくる「性欲」

  5. 知らないことへの怖れからくる「好奇心」

そして著者のシンプルな極意は、「魅(み)は、与(よ)によって生じ、求(ぐ)によって滅す」であり、突き詰めればこれだけなんだけど、それぞれの本能的衝動との関連の話は目から鱗の内容が多かった。1はお金や食べ物など有形のものだけど、2〜5は無形のもの。まずこの認識が大事。

全ての話が刺さったけど、特に自分にとって特に重要だったのは、自己重要感の話だろう。自己肯定感と置き換えても問題ない。大切なのは、自己重要感を高めるために、他人の助けを求めないこと。それこそが魅力を損ねる行為。まず自力で満たすこと。次いで、他人の自己重要感を満たすことが肝要。

ぼくがやらかしがちだったのは、自己重要感を高めるために無意識に他人の力を頼ってしまうことだった。たとえばそれが自慢の形式であればあからさまでわかりやすいけど、SNSなどでは、もっとわかりづらい形での行為も存在する。まずはこのことを反省したい。

紙のノートを活用し始めたタイミングで、この本を読んでいたのが幸運だった。というのは、自己重要感を高めるのはあくまで自力でやれ、そのための自画自賛は大切なことだ、という話があったから。だからぼくはnoteやTwitterではなく、紙のノートで自分の良い部分、誇りを持てることなどを書き始めた。

この自分の内で行うべき自画自賛を、他人の前で行ったら効力が失われる。そのことを強く意識しないといけない。未だにぼくにとっては簡単ではない。あまりに長年の癖だったから、こう言ってもついやってしまうこともある。だからこそ日々のチェックと反省の習慣が大事だなと感じる。

自己重要感を高める行為を他人の前で行うと、なぜ嫌われるのか。それは相手の自己重要感を損なう行為だからだという。気をつけないといけない。また、自分の内部でも無意識の罪責感が伴うから二重に良くない。この行為の根底には、劣等感がある。一時的には満たせたとしても、結果はマイナスになる。

他に刺さったのは、「その人の悩みの量は、その人の魅力の量に反比例する」という話。ぼくは悩みを全く悪いものだと思っていなかった。実際悩みを持ってはいけないわけじゃない。ただ、大した問題がなくても悩みばかりの暗い人と、問題はあっても悩まず陽気な人、どちらに人は魅力を感じるだろうか。

ぼくには必要以上に悩む癖があったから、そこも変えていこうという気持ちになった。引き寄せの法則の話も関連して、不安は不安な現実を引き寄せる。何があっても明るくいる、明るくいようと努力するのが吉。問題があってもエネルギッシュに取り組む。確かに魅力的な人って、そういう人だなと実感した。

問題が生じても、リラックスしてそれを楽しむ。「余裕がある」とはそういうこと。どうしよう、どうしよう、と不安でウジウジしていると、ますます魅力が下がる。そういう人は運気も下がる。いや、ほんと、ツキってあると思う。陽気でエネルギッシュに生きていれば、運も味方になる。

これらのことを学んだうえで人生を振り返ってみると、ぼくもずっと悪かったわけではなく、良い時期も確実にあった。うまくいく時期とうまくいかない時期が行ったり来たりしていた。学生時代、会社員の4〜6年目、フリーランス初年度あたりは、この本に書かれている「良いこと」ができていた。

ただ、人生が悪い流れに向かってしまう落とし穴があって、それが「甘え」と「傲り(おごり)」だという。これも恥ずかしながら自覚があった。著者は豊臣秀吉を引き合いに出す。秀吉は人蕩術を極めていたが、しかし後年は甘えや傲りもあったと話す。養子秀次と千利休の自害、朝鮮出兵による負け戦など。

自画自賛以外の自己充足の方法として、

  1. 自己の才能を表現し、世間にそれを認めてもらうこと

  2. 他人のために役立つことをする(ボランティア含む)

が挙げられていた。劣等感がある場合、気をつけないと1は、自慢や過度な自己顕示になりがちだから注意が必要。

劣等感に悩む人の一大特質は、「自分のことばかり考えている」。それが行き過ぎると、自己被害意識が生まれてくる。マジで良くない。受け身、被害者の人生から抜け出せなくなる。だから意識を自分から「他人を幸せにすることについて考える」方へ振り向ける。すると頭脳は緊張から解放され休息する。

意識は同時に2つのことを考えられないというのも印象的だった。自分の悩みと他人を喜ばせること、同時に考えることは難しい。だからこそ他人を喜ばせることを考える。明るくワクワクすることを考える。そしたら悩みは消える。悩まなくていいことを悩まない。未来の不安で思い煩わない。今は今。

自画自賛とともに自己暗示の重要性。肯定的思考が肯定的現実を引き寄せる。フロイトの潜在意識の話。明瞭に視覚化できたことは実現する。ただひたすら幸運を夢見る。過去の失敗体験を忘れ、成功体験を思い出しては喜ぶ。未来に対しても失敗を想像せず、成功を想像しては喜ぶ。この2つで思念を整える。

「誇り」と「高慢」は、ともに自己重要感に関する心理的行為だが、似て非なるもの。誇りは、自分の心のうちにおいて行われるもので、清涼感をもった潔さ、美しさがある。対して高慢は、他人に対して行われるもので、嫌味が伴う。内に誇りを持っていない人は、しばしば外において高慢さを発揮しやすい。

本能的衝動のひとつである、「人の好奇心」を満たすことに関連して、「秘密のある人には魅力がある」という話も印象深い。知られていない部分が多くなれば、相手の好奇心も増大する。これも耳の痛い話。自分の背景を自ら人に語りたがるのは、自己重要感の飢え。才能や能力についても吹聴したがる。

人知れない善行が「徳を積む」ということ。徳は宇宙銀行への預金。ちょっとスピリチュアルかもしれないが、良い話だと思う。陽気さと余裕を保ち、多くの人に愛を降り注ぐ。

かいつまんで学びをアウトプットするなら、だいたいこんなところだろうか。良い本だった。

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