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講演のための思考メモ(1)人生における回り道

11月11日(金)に横須賀市の母校である追浜高校で講演することが決まっている。残り1ヶ月半に迫ってきたので、そろそろスライド制作の準備を進めないといけない。地元のかわいい後輩たちである。伝えたいことはたくさんある。しかし、1時間という限られた時間のため、何を伝えるべきか、よくよく精査しないといけない。あまりに詰め込み過ぎれば、焦点がボヤけてしまうかもしれない。それは避けたい。

最終的には構成をきちんと組み立てるが、現時点では、まずはボリュームを一切無視して、思うことを雑多に書き出してみたい。自分が高校生だった頃のことも振り返りつつ、どんな話ができそうか、あらゆる可能性を探ってみたい。全校生徒の将来にわずかにでも影響を与えられるかもしれないのだから、どれだけ時間をかけてでも良い講演をしたい。

ぼくは、ひとりで悶々と考え込むよりも、このように人に読まれても大丈夫な形で書き出す方が、思考を整理しやすい。独り言のような形になるし、まとまりもないだろうが、そこは「思考メモ」だからと割り切りたい。講演準備のための文章として保存しておきたい。講演に使えなかった話も、いずれ何かのネタになるかもしれない、ということで。

今回与えられた講演テーマは、「人生における回り道について」である。素敵なテーマを用意してもらえた。普通、記念式典での講演というと、もっとキャリア的にも実績のある、50代以上の役員クラスのOBをイメージする。そんななか、大した実績もない若輩者のぼくだから、むしろこのような変わり種のテーマでないと話せないだろう。まだぼく自身のキャリアが途上中だし、「回り道」を歩んでいる最中でもあるから、決して偉そうなことは言えない。自分の実体験と、そこから得た学びを中心に実直に伝えたいと思っている。できる限り具体的な話から、それぞれの生徒のこれからの人生において、何か少しでもヒントになるような話をしたい。

人生における回り道。ぼくは今、ライターという職業に就いている。では、高校時代に将来ライターになることを想像できただろうか? もちろん、否である。当時ぼくはサッカー選手や数学者に憧れていた。ぼくが「書くことを仕事にしたい」と初めて思ったのは、ブログにハマった大学3年生の頃だった。その夏、横須賀から鹿児島までの自転車旅をして、日々の出来事をブログに綴っていたら、どんどん読者が増えていった。そして知らない人たちから「勇気をもらいました」とか「いつも楽しみにしています」といったコメントをもらううち、嬉しくなってしまったのだ。別にぼくは誰かを感動させようと思って自転車旅をしていたわけではないし、そんなつもりでブログを書いていたつもりもない。しかしそれでも、読み手は何かを感じてくれていたのだとわかり、ぼくはハッとさせられた。

大学3年の夏、初めての自転車ひとり旅。鹿児島にて。

好きなことを本気でやって、それを発信すると、何か不思議な力が届くらしい。ぼくはこの得体の知れない、でもワクワクする「何か」をもっと極めてみたいと思った。自転車で西日本を一周しただけでこれだけ人に喜んでもらえるのなら、たとえば翌年はヨーロッパを自転車で旅して、さらに読者も増やした状態で、文章を書いてみたいと思った。そして資金的にまず不可能に思えたその試みを、「スポンサー集め」というトリッキーな方法に挑んで実現させることができた。大学4年生の5月には、「学生ブログランキング」で1位になっていた。何に関しても中途半端だったぼくに、初めて「取り柄」のようなものができた。「書くことは自分の武器になるかもしれない」。そしていよいよ、書くことを仕事にしたいと本気で思うようになってきた。

でも、ぼくは大学を卒業して、会社に就職せず、そのままフリーライターになるのが良かっただろうか? もちろんこれも、否である。もしそれが実現していたら、「最短距離の直線的なキャリア」ではあっただろう。でもやはりそこで「回り道」という言葉が浮かぶ。ぼくが旅行会社に入社したことは、一見フリーライターへの道のりと関係なさそうに思えるかもしれないが、今にして思えば、とても良い「回り道」をしたと思っている。

(つづく)

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