大阪〜博多600km徒歩の旅(12)広島県尾道市〜三原市
大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第12ステージ
広島県尾道市〜広島県三原市(24km)
窓から見下ろす朝の尾道も、素敵だった。
しかし、目覚ましで7時半に起きたものの、いつも以上に眠さが残り、ダルさも感じた。昨日の疲労がずいぶん残っているようだった。もう少し寝ていたい。
それでも、原稿を書いてnoteやSNSを更新しなければ、出発ができない。「あとで書こう」と溜めてしまったら、昨日の経験と今日の経験がゴッチャになって、書くのに余計に時間がかかるのだ。リズムを崩さないためにも、あるいはスッキリとした気持ちで歩き出すためにも、今頑張らないといけない。
自分に鞭を打って、頭痛薬を飲み、机に向かった。そして9時前に更新作業を終えて、15分だけベッドに横になった。
荷物をまとめて、10時に出発。今日は土曜日だからか、駅前に多くの観光客がいた。尾道には素敵なお店もたくさんあったはずなのに、昨夜のラーメン屋さんしか訪ねられなかった。なんだかもったいないような気もしたが、しかし、「今は今しかできない旅がある」と自分に言い聞かせて、街を後にした。今度尾道に来るのは、5年後だろうか、10年後だろうか。そのときは、どんな過ごし方をするのだろう。ひとりだろうか、それとも、誰かと一緒だろうか。
駅のすぐ近くに、向島と尾道とをつなぐフェリー乗り場があった。それを見て、学生時代に自転車で今治からしまなみ海道を旅したとき、尾道大橋は車しか通れなかったため、あの船に自転車を載せて向島から尾道に渡ってきたことを思い出した。料金は100円。自転車付きだと110円と、いずれにせよ安い。
尾道駅から三原駅までの約12kmの区間は、その大半が海に面した道だった。瀬戸内海には多くの島が浮かんでいて、遠くに見えた因島大橋が素晴らしかった。
国道2号線と並行してJR山陽本線が通っているため、列車がよく通り過ぎる。しかし多くは、貨物列車である。東京で過ごしているとあまり貨物列車を見かけないが、こちらでは毎日、頻繁に目にする。鉄道も重要な物流システムのひとつなのだなと実感する。
途中から雨が降ってきたので、レインジャケットを着た。リュックにもレインカバーをつけた。やがて三原市街地が見えてきて、12時半過ぎに三原駅に着いた。
福山は「ばらのまち」だったが、三原は「たこのまち」らしい。随分な差だ。
駅構内には「らっきー神社」というのがあった。巨大なたこがいる。どうやら三原駅では受験生たちに合格祈願絵馬を無料で配っているそうだ。これを勉強机などに置くことで、受験にパス(合格)していただきたい、という願いを込めて。この絵馬の名は「置くとパス」だった🐙
また、駅構内から三原城跡に直接行けたことにも驚いた。つい2日前に、福山城を見ながら「こんなに駅近な城は日本でも他にないだろうな」と感じたばかりなのに、この三原城はもっと近い。城のあった敷地になぜ駅を作り、新幹線を通してしまったのか。
ただ、この三原城には天守閣などはなく、もう石垣しか残っていないから、大した見どころはない。城の美しさや観光的要素などを考えれば、圧倒的に福山城に軍配が上がる。
お昼を食べに入ったのは、駅前の「はるてる」というお店。Google Mapsの口コミで評価が高かったのと、身体に良さそうなごはんが食べられそうだったから。メニューは一種類のみだった。ごはん、豆乳味噌スープ、メイン料理に、たくさんの小鉢がつくというもの。
今日のメインは鶏らしかったのだが、「鶏が苦手で」と伝えると、「じゃあ豚を焼いてあげる」とすぐに調理に取り掛かってくださった。そして出てきたのは、彩り鮮やかで目にもおいしい料理の数々。手が込んでいて、野菜をたくさん摂れる素晴らしい定食だった。
食べ終わるとお店の方(晴美さん)が、「甘いものも好き? 三原は『広島みはらプリン』が名物で」と教えてくれた。いろいろとお店があるなかで、「K-worksさんはプリンもあるけど、焼き菓子のナッツタルトがすごいおいしくて」と話していたので、「それを買って歩きながら食べようかな」と考え、行ってみることにした。
ところが、「K-works」に着いてみると、ナッツタルトは売り切れてしまっていた。仕方ないので、お店でサクッとプリンをいただくことにした。食べながら、オーナーのkimiさんやその娘さんと話が弾み、束の間の雑談を楽しんだ。
娘さんは夫婦でYouTubeをやっているそうで、チラッと覗いてみたら、4人で会話しながら親子ツーリングをしている動画で、斬新だった。
「今日は本郷がゴール」と言うと、娘さん夫妻もその辺りに住んでいるそうで、「車で乗せていってあげたいけど」と言われた。
できることなら車に乗って行きたいが、「罪悪感に苛まれそうなので」とお断りした。
お店を出て、国道2号線沿いのスタバに立ち寄った。新作の「ジャンドゥーヤ チョコレート モカ」を早く飲みたかった。おいしい。半分くらい飲むと、強い睡魔に襲われ、座ったまましばらくウトウト眠ってしまった。でもそのおかげでスッキリした。
最後の8kmは大雨だったけど、集中して歩き切った。
17時前に本郷駅に到着。駅前なのに、飲食店やコンビニがほとんどない町だった。宿もたった一軒しかない。でもその「星野旅館」は、さほど高くないし、小さいながら大浴場もあるしで、決して悪くない。
濡れた衣類を乾燥機にかけ、その間にお風呂で冷えた身体を温めた。その後、駅前にある「源来軒」で味噌ラーメン、餃子、ライスを食べた。おいしかった。
明日が重要な一日になる。東広島市の西条まで無事に辿り着ければ、広島市が射程圏内に入る。本郷から西条までは、3通りほどルートがあったので、どの道を通るのがいいか検討をした。
高速道路沿いの道は最短ルートではあるが、しかし途中にコンビニや飲食店がほとんどない点で危険かもしれないと考え、やや距離は伸びるが、安心して通れる国道2号線沿いを通ることに決めた。
徒歩の旅ではルート選びも重要なこと。この旅を続けるなかで、「最短ルートを選ぶことは必ずしも最善ではない」と日々感じるようになった。最短ルートって距離は短いけど、退屈な場合が多い。ちょっと遠回りした方がおもしろいものを見られたりする。なんだか人生にも通ずるように思う。
*****
引き続き、旅と発信の支援金を募っています。
よろしければ、応援よろしくお願いいたします!
これまでに10企業、108名の皆さまからご支援いただき、
次の目標金額まで、残り430,234円(現在76%)です。
「大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅(1月)」と「フィンランドの旅(2月)」に充てさせていただきます!
ご支援者様用応募フォーム
2023年 旅の予定&ご支援者様一覧(随時更新)