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どこまでも証拠の無い新疆製太陽光パネルの強制労働

 東京都が新築住宅に太陽光パネルの設置を義務化したというニュースに、新疆の強制労働に加担するのかという批判が起こっている[1]。しかし、この手の話はいつも話が飛躍して新疆のジェノサイドに加担するのかという話も出ているのだが、誰か強制労働の被害者を見たことが有るのだろうか。そこで、混乱する本件に関して事実関係を整理する。

【目次】

1.ウイグル強制労働防止法(UFLPA)
2.UFLPAの根拠となる資料の構成について
3.資料① 米国国務省、他:Xinjiang Supply Chain Business Advisory
         資料①-1 米国労働省:Against Their Will: The Situation in Xinjiang
           資料①-1-1 ASPI:Uyghurs for Sale
           資料①-1-2 CSIS:Connecting the Dots in Xinjiang
           資料①-1-3 The Congressional-Executive Commission on China
           資料①-1-4 Adrian Zenz:Coercive Labor and Forced..
           資料①-1-5 Sheffield Hallam University:In Broad Daylight
        資料①-2:2020 Country Reports on Human Rights Practices: China
        資料①-3 2020 Trafficking in Persons Report:China
4.資料② NYT:Absolutely No Mercy
5.資料③ Adrian Zenz:Beyond the camp
6.結論

1.ウイグル強制労働防止法(UFLPA)

 米国においてウイグル強制労働防止法(UFLPA)が制定された[2]。これは、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止するもので、主な対象は以下となる[3]。
・強制労働で採掘、生産、製造している事業体
・新疆ウイグル自治区から募集、輸送、移転、収容もしくは受領する事業体
・「貧困軽減」プログラム、「ペアリング支援」プログラムを目的として材料を調達する新疆生産建設兵団を含む施設および事業体
・綿花、トマト、ポリシリコンなど、執行の優先順位の高い部門

 一言で言えば強制労働で作られた製品の輸入禁止という事であるが、「貧困軽減」プログラムや「ペアリング支援」プログラムに関連する製品も輸入禁止となるという事らしい。少し説明すると、経済が発展していない新疆と経済が発展している都市がペアリングし、新疆からその都市に人が移動して就業するという就業支援策が有り、これは新疆の人々の所得向上だけでなくテロ防止の意味も有るのだが、この政策を否定しているという事になる。

 そして、誰もが気になるのが如何なる根拠をもって新疆製品の輸入を禁ずる法を制定したのかという事だが、この点については『反証可能な推定』と言う概念を持ち出して、輸入禁止を正当化している。どういう事かと言うと、強制労働が疑われる状況の報告が有るので強制労働は有るものと推定するが、個別に強制労働が無い事を証明出来れば輸入は可能と言う事になる。

 結局、米国は強制労働の事例を特定出来ず、怪しい噂が有るとされる綿花産業や太陽光パネル産業等、「ペアリング支援」等のプログラムを強制労働であると決めつけ、潔白を証明すれば良いとしたのである。では、その怪しい噂は強制労働を断定するに足る情報なのかを次に見ていく。

2.UFLPAの根拠となる資料の構成について

 UFLAPはDHS(アメリカ合衆国国土安全保障省)に記載があるが、その中核となるのはUFLPA戦略である[4]。その資料の前半に強制労働が存在すると書かれているが、その根拠は引用資料に拠っている。そして、その引用資料も根拠は別の資料を基にしていたりするので、かなり広く深いツリー構造となってしまう。その為、すべてを追う事は出来ないが、主要な資料の構成を図にすると以下の様になる。

fig.1 UFLPAにおける強制労働の根拠となる資料の構成

 結局、UFLPA戦略資料の強制労働の根拠はその引用の引用の引用の引用まで遡らないといけないという事が分かるが、ではその最下流の資料に事実は記載されているのか、以降で確認していきたい。

3.資料① 米国国務省、他:Xinjiang Supply Chain Business Advisory [5]

 この資料はUFLPA戦略資料の中で「中国政府は⼤虐殺と⼈道に対する罪に関与している」と断定する部分の引用として出てくる資料である。

 内容としては人権侵害の状況や必要なデューデリジェンス、関連する法規の解説が有るが、本文には人権侵害が確定事項の様に書かれており、肝心の根拠と思われる部分の表現は以下の通り。

  • 広範な監視、拘束の脅威、正確な情報を共有することへの労働者の恐怖の証拠を考えると、労働者との監査員のインタビューは当てにできません

  • 国家が後援する強制的な移転および強制労働プログラムの⼀部であることを⽰す信頼できる報告があります

  • ⼤量の強制労働移送についての信頼できる報告があり

  • 「職業訓練」を装った強制労働の証拠があります

 上記のように報告が有ると言っておきながら根拠となる引用先の表記は無いので、この根拠は確かめようが無いし、根拠が無いと言っているのと変わらない。ただ、巻末に「関連するレポートとガイダンス」と言う項目が有り、リンクが貼られている資料は以下の通り。

  • 米国労働省:Against Their Will: The Situation in Xinjiang 資料①

  • 米国国務省:2020 Country Reports on Human Rights Practices: China 資料②

  • 米国国務省:2020 Trafficking in Persons Report: China 資料③

  • その他、2020 Report on International Religious Freedom: Chinaなど

以降、主要な資料①~③について確認を行うが、資料①自体にも客観的な事実の記載は無いので、資料①の引用資料について確認を行う。

資料①-1 米国労働省:Against Their Will: The Situation in Xinjiang [6]

 この資料は米税関が強制労働の根拠とする米国労働省国際労働局(ILAB)のレポートであるが、この資料もまた根拠は他の資料に拠っているので、事実を確認するにはその引用先を確認する必要が有り、以下で主要な引用先資料について確認を行う。

資料①-1-1 ASPI:Uyghurs for Sale [7]

 ASPIはAustralian Strategic Policy Instituteであり、米国や日本からも資金援助を受けている機関であるので、その内容については慎重な判断が必要とされる。そして、「Uyghurs for sale」は新疆の強制労働に多く引用されるレポートである。

 では、その中に事実は有るのだろうか。この点に関しては、既にnote(新彊ウイグルの強制労働問題の根拠とされる資料を調べてみたら・・)にまとめた通りだが、強制労働を示す記述があるが、その根拠とする引用資料は新疆の地方政府であり、内容を確認すると手厚い就業支援策が書かれているというパターンが多い。また、資料の後半は強制労働が疑われるとする企業と世界的な企業との取引関係の説明となっており、検証可能な事実は書かれていない。

fig2.和田市地方政府の資料 [8]
fig.3 広東省の資料(広東企業の新疆労働者採用ガイドライン)[9]

資料①-1-2 CSIS:Connecting the Dots in Xinjiang [10]

 CSIS(Center for Strategic and International Studies)は所謂ネオコン系の米シンクタンクであり、軍需産業とも繋がりが深く、日米の政治家や政府関係者が出席し国際関係について議論する富士山会合に自民党の政治家とともに参加している事で有名である。因みに今年の富士山会合の日経の記事は『中国抑止へ、日米同盟のレベル引き上げを 富士山会合』である[11]。
 そして、このレポートの内容であるが、新疆の強制労働について以下のようなストーリーで話を展開している。

  • 政府は貧困プログラムとして、新疆の住民を製造業に就職させようとしている

  • 再教育センターから直接企業に就職する事例が確認されている

  • これらの企業には政府から補助金が支給されている

  • これは強制労働の可能性が高い

  • 工場で働く事に同意しなければ勾留施設に贈られるとの証言が有る

  • しかし、その全体像を把握することは困難である

  • なぜなら勾留者は口止めをされている可能性が有るため

  • 従って、企業は強制労働を想定し、別の方法で強制労働が無い事を示す必要が有る

 これはまさにUFLAPの『反証可能な推定』の考えと同じで証拠が無いと言っているが、整理すると以下のようになる。

  • 証拠が無い(文章中、何度も決定的な証拠が有るとは考えにくいと言っている)

  • 疑いの正当性は証言だけで、証言の検証は行われていない

  • 政府の就業者数目標や補助金などを強制性が疑われれるとしている

fig.4 CSIS:Connecting the Dots in Xinjiangの表紙

資料①-1-3 The Congressional-Executive Commission on China (CECC) [12]

 この資料は中国に関する議会•行政委員会(CECC)による資料であり、CECCは中国がWTOへの加盟を準備する中、2000 年の米中関係法 (公法第 106-286 号) によって設立された委員会で、その強制労働に関する調査報告書である。
 この資料は「大部分がイスラム教徒の少数⺠族グループの最大 180 万人を当局が恣意的に拘留されている」と確定的に書きながら、強制労働については「大規模収容所で行われている広範かつ組織的な強制労働は、国際法の下で人道に対する罪を構成する可能性があります」と可能性という表現になっている。では、その根拠は何かと言えば、多くは米国から資金援助を受けている団体のレポートで、主要なものは以下である。
・Mapping Xinjiang’s ‘Re-Education’ Camps:ASPI
・Beyond the Camps:Adrian Zenz(資料③)
・Absolutely No Mercy:New York Times

 その他の資料はRFAやHRW、UHRP等の団体のレポートである。ASPIの資料については以前まとめたnote(ウイグル人権侵害に関する資料集  〜日本人の知らない事実〜)に解説した通りであり、残りの二つの資料は後述するが、結論としてはこの資料に強制労働の客観的事実は無いということである。

 ASPIの資料は強制収容所の場所を特定したというレポートだが、単に衛星写真からそれらしい建物を見つけたというだけで、学校等だという中国政府の反論に答えられていない。また、Zenzの資料も根拠は中国政府の資料だが、強制労働の事実が記載されている訳もなく曲解の類であり、実際自ら事実は確認できないとも言っている。

資料①-1-4 The Jamestown Foundation:Coercive Labor and Forced Displacement .. [13]

 この資料はZenzが入手した「南海レポート」なるものをベースにしている。この南海レポートは“Work Report on Poverty Alleviation Work of Uyghur Labor Force Transfer in Hotan, Xinjiang,” (新疆和田地区维族劳动力转移就业扶贫工作报告, xinjiang hetian diqu weizu laodongli zuanyi jiuye fupin gongzuo baogao)という公開されているレポートを元にしている。このレポート自体は読んでいないが、恐らく新疆の就業支援政策について肯定的にまとめた資料と思われるが、Zenzは「南海レポートは、大規模で強制的な国主導の労働力移転と、そのような他省への移転の証拠を示している」と認識しているようである。

 では、その内容について確認していく。まずは新疆の労働移転の全般的な説明が続くが、そこに出てくる写真は強制労働とは見えない集団就職の典型的な写真である。いつも思うが、新疆人権批判を行っている勢力はなぜこのような自らが不利になるような写真を載せるのだろうか。それはともかく、その次は南海レポートの説明になる。まず、『中国の「東部と中部の地域は、新疆の配置された労働者の強制的な年間割り当てを設定する必要がある」と率直に述べています』と記載されている。これは悪い事の様に印象付けを行っているが、地方政府に目標値を割り付ける事は問題なく、これが強制性の根拠にはならない。

fig.5 資料中の写真(安徽新疆援助労働プログラム)
fig.6 資料中の写真(管理スタッフとの一緒の食事と言う事らしいが)

 また、南海レポートの『職業訓練と貧困緩和に焦点を当てた「⻑期的」アプローチに変更すべき』という指摘を中国司法の犯罪者への対応と同じとしたり、『労働⼒の移転が「新疆ウイグル⾃治区のウイグル⼈の⼈⼝密度を下げる」と述べている』と引用し、中国政府の新疆に関する人口抑制政策に結び付けようとしているが、それが強制労働と直接結び付くとは思えない。

 次に『ウイグル⼈の労働⼒移転への参加に対する「意欲」の劇的な変化を報告することにより、国家による強制の影響を暗黙の内に明らかにしている』と書いている。これは就業支援政策後にある地区の人々の就業意欲が高まった事を指しているが、『これは労働移動への参加が強制収容を回避する数少ない⽅法の 1つであることを意味していた』とこじつけを行っている。この箇所の引用も見たが[14]、この説を裏付ける根拠は無かった。

 その他、『労働者が派遣されている地元の新疆政府は、同⾏する政府関係者と「警備員」(保安、保安)を提供している。役⼈は労働者の勤務先に滞在し、警備員、管理者、翻訳者として⾏動します』であるとか、『移転労働者は⼯場管理者に従順でなければならないという多くの声明から収集することができます』といった文章が有るが、これも手厚い就労支援政策を根拠も無く強制とこじつけているとしか思えない。

 そして、『マイノリティーは、⼟地や家畜、⼦供、年配の親戚の世話をしなければならないため、労働移動を嫌うことが多い.これに対応して、州は⼦供や⾼齢者のための集中ケア計画を制定しました。(略)移転労働者の増加という劇的な変化は自発的なものとは思えない』と思い込みとしか思えない文章を書いている。これはZenz自身が発表した「Xinjiang Paper」において李克強が指摘している内容であり、国レベルの政策が実施された結果であり、これも強制と言うのは根拠に乏しい。

 この様に、Zenzによる強制労働の指摘はこじつけとしか思えない。

資料①-1-5 Sheffield Hallam University:In Broad Daylight [15]

 本レポートは太陽光パネルのサプライチェーンに関する調査結果だが、前半に強制労働の状況、後半はサプライチェーンの詳細について解説をしている。
 まず強制労働の状況説明の部分だが、新疆の人々が新疆内や他の地域の工場に集団で就職する事は中国政府は法に則った政策であると言っているが、これは大規模な強制労働プログラムであると断言する。では、その根拠はと引用を見ると以下である。
資料①-1-1 ASPI:Uyghurs for Sale
資料①-1-2 CSIS:Connecting the Dots in Xinjiang
資料①-1-4 Adrian Zenz:Coercive Labor and Forced Displacement ..
 即ち、ここまで強制労働の事実を示していないとして来た資料が根拠という事なので、この資料もこれ以上深堀りの必要は無いが、一応記載内容を簡単に説明すると、次に強制労働を強いられたとする女性の証言の紹介になるが、その引用先はBBCのジョン・サドワースである。先入観抜きで資料を確認したが[16]、その女性が家族や恋人と離れたくない為に新疆の外で就職はしたくないと言っていたものを、地方政府の「圧力」によって行くと決心したという記事であった。「圧力」の内容が定かではないので、これを国家による強制の証拠とするのは無理が有るだろう。
 そして、後半は太陽光パネルの製造工程毎に強制労働への関与のリスクを説明している。特に、最初の工程であるシリコン製造のHoshine Silicon が政府の就職支援プログラムによる補助金を受け取っており、強制労働の疑いのある企業とし、シェアの高いHoshine Siliconの後工程の企業はそのシリコンを使う事で、また自ら政府の就職支援プログラムによる補助金を受け取る事で強制労働に関与するリスクが有るとする。しかし、そもそもの強制労働が証明されていないので無意味な議論である。

資料①-2:2020 Country Reports on Human Rights Practices: China [17]

 このレポートは米国国務省が各国の人権状況をまとめた資料の内、中国についてまとめたものである。内容も報道の自由、学問の自由などに加え、強制労働や違法な殺害と言った項目も含まれている。
 まず最初に出てくるのは違法な殺害であるが、これは事例は有るが詳細は確認出来ないとしている。次に出てくるのは強制収容所関連でQelbinur Sedik、政治的報復でZumrat Dawut等の証言に対し中国政府がこれを否定する情報を発信している事を非難している。

  そして、強制労働の章ではやはり政府の就業支援政策が強制労働という立場であり、根拠は以下の資料である。
資料①-1-1 ASPI:Uyghurs for Sale
資料①-1-4 Adrian Zenz:Coercive Labor and Forced Displacement ..
 結局、行き着くのはこの資料となる為、国務省資料も事実は無いし、「疑い」の根拠は政府の就業支援政策が強制性を帯びているという事だが、ここにもロジカルな説明は無い。

資料①-3 2020 Trafficking in Persons Report:China [18]

 本レポートも米国国務省が各国の人身売買の状況をまとめた資料であり、その内の中国分である。内容としてはこれまでと同じく、中国政府の支援する強制労働が激化しており、身体的暴力、強制的な薬物摂取、身体的および性的虐待、および拷問の脅威も含まれるとしている。しかし、その根拠の記載は無く、文章の表現も「伝えられるところによると」といったものが殆どである。結局、このレポートに客観的に検証可能な事実は無い。

4.資料② NYT:Absolutely No Mercy [19]

 このレポートは残念ながら有料記事で読む事ができない。従って検証は不可能であるが、このレポートは新疆に関する中国政府の資料が流出したとするZenzの「Xinjiang Paper」とほぼ同じではないかと推測している。というのは、「Xinjiang Paper」の信憑性の確認の部分でZenzはNYTが入手した資料と同じと言っている為である。従って、ここではZenzの「Xinjiang Paper」を元に分析する。
 「Xinjiang Paper」は習近平や李克強といった中国政府のトップの言葉を伝えた文章であるが、その分析は過去のnote(「ウイグル法廷」~誰も殺さないジェノサイドとは?~)で行っているので、強制労働に関する部分の概要を以下に示す。
習近平の発言:
・ウイグル族を企業の仕事に就かせるべき
・大量の失業者は「問題を引き起こす」
・企業での雇用は「民族間の交流、交換、融合を助長する」
李克強の発言:
・ウイグル族は故郷を離れて仕事をすることに対する意識が弱い
・この状況を変えるには、忍耐と時間が必要である
・新入社員の管理方法や教育方法を改善する必要がある

 この発言を受けてZenzは以下のように結論付けている。
・新疆は特に南部の農村の余剰労働者に対し、強圧的な労働力移転のシステムを開発した

 習近平や李克強の発言からこの様な結論を導くのは無理筋と言う他なく、結局この資料も根拠が無いと考える。

5.資料③ Adrian Zenz:Beyond the camp

 本論文も既にnote(新彊ウイグルの強制労働の根拠を検証する)にまとめているが、強制労働に関するこのZenzの論文の概要は以下の通り。
・雇用の義務付け
 雇用の義務付けが有るから強制労働と言っているが、その根拠となる引用先には自発性が謳われている
・準軍事管理
 強制労働が疑われる企業の準軍事管理が強制労働の根拠としているが、引用先での資料には軍事文化を企業の多くの管理手法に取り入れていると言う事と、社員の生活水運が向上した事等が書かれ、直接強制労働に繋がる資料とは思えない。
・結論
 本論文の結論は「強制労働が無い事を証明する事は中国の企業や国民次第で、これを証明する事は難しい」と書かれており、確実な情報は無く、「疑い」の確からしさも上記の通りである。

6.結論

 UFLAPの根拠となる資料を調査し、引用の引用の引用の引用まで遡って調べても強制労働の事実は無いし、「疑い」の根拠も妥当性は無い。多くの人が「太陽光パネルは米国が輸入を禁止している」事を強制労働や、ありもしないジェノサイドの根拠にしているが、それは全くの的外れである。

(参考)ジェノサイドについて

 多くの人が新疆製の太陽光パネル購入はジェノサイドに加担するというが、新疆人権侵害を批判する主要メンバー(WUC、ASPI、CSIS、Adrian Zenz、Zumrat Dawutら)が参加したウイグル法廷ですら大量殺戮の証拠は無いと言っている。また、当時の米国国務長官のポンペオがジェノサイド認定をしたけれど、資料に根拠は無く、ウイグル法廷も根拠の提出を求めたところ拒否されたという。従って、大量殺戮は誰も証拠を提示していないが、WUCはジェノサイドと言い続けている。それは、ウイグル法廷で産児制限を(将来的な)ジェノサイドと呼んだと言う事。ジェノサイドという言葉を使いたいが為にこの様なロジックを持ち出したのだろうが、産児制限も都市化と2017年の漢族並みの産児制限に厳格化されたことが要因であり、ジェノサイドには当たらないと私は考えている。
※ 詳細はnote(「ウイグル法廷」~誰も殺さないジェノサイドとは?~)参照

【参考文献】
[1] 太陽光パネル設置 都は弾圧に加担するのか : 産経新聞, 2022/12/16
[2] Uyghur Forced Labor Prevention Act : US gov. Homeland Security
[3] 米国土安全保障省、ウイグル強制労働防止法の執行戦略を公表、禁輸対象の事業者を指定 : JRTRO. 2022年06月20日
[4] Strategy to Prevent the Importation of Goods Mined, Produced, or Manufactured with Forced Labor in the People’s Republic of China : US gov. Homeland Security
[5] Xinjiang Supply Chain Business Advisary (PDF) : 
[6] Against Their Will: The Situation in Xinjiang : 米国労働省
[7] Uyghurs for Sale : ASPI, 2020 年 3 月 1 日
[8] 新疆尼勒克:多措并举探索提升农村劳动力疆外有组织转移就业新模式 : 自治区人力资源市场 , 2019-06-25
[9] : 广东企业招用新疆籍劳动者指引(试用) : 广东省就业服务管理局 , 2019-01-18
[10] Connecting the Dots in Xinjiang.  (PDF) : CSIS, October 2020
[11] 中国抑止へ、日米同盟のレベル引き上げを 富士山会合 : 日経新聞社, 2022年10月22日
[12] Congressional-Executive Commission on China.  Global Supply Chains, Forced Labor, and the Xinjiang Uyghur Autonomous Region. (PDF) March 2020
[13] Coercive Labor and Forced Displacement in Xinjiang’s Cross-Regional Labor Transfer Program.: The Jamestown Foundation., March 2021
[14] “Wash Brains, Cleanse Hearts” : Adrian Zenz , November 24, 2019
[15] In Broad Daylight : Sheffield Hallam University, May 2021
[16] ‘If the others go I’ll go’ : John Sudworth, 2021 年 3 月 2 日
[17] Department of State China Human Rights Reports : U.S. Department of State
[18] 2020 Trafficking in Persons Report: China : U.S. Department of State
[19] ‘Absolutely No Mercy’ : N.Y. Times, Nov. 16, 2019


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