写真のこと
まだ、カメラがデジタルではなく、小さな筒に入った長細いフィルムをカメラに入れて、そのフィルムに画像を記録していた時代があった。
そのころ、私は現像所で働いていた。
現像所というのは、画像の記録が済んだフィルムを化学薬品の液に浸して画像を浮き上がらせ、そのフィルムに映っている画像を光で紙に焼きつける仕事をする場所のことだ。
私の印象でざっくり書いているので現像と紙焼きのプロセスについて、まちがっているかもしれない。
あれ、どうして、デジタルカメラの話をしようとして昔のことになっているだろう。
デジタルカメラは失敗しても惜しくはない。
失敗するつもりで絞りとかシャッタースピードを変えてばんばん撮ろう。
ことしの5月ごろ、体の病気でつらかった頃、カメラを買った。
でも治療がつらくなってカメラを放置しがちだった。
説明書もろくに読まずに、勘で撮ろうとしてうまくいかなかった。
このごろやっとゆとりができて、カメラの説明書を読んでいる。
どうしても撮った画像が露出アンダー気味で、暗いからだ。
どうやったら適切な明るさの写真になるのか、それを知りたくて説明書を読んでいる。
撮ったけれどアンダーになってしまった写真は、コンピュータで明るさを調節している。
その作業は、まさに私が現像所でやっていたことと全く同じなので、なんだか懐かしいような、昔に戻ったような、不思議な気分だ。
今になってやっと、お客さんたちが、撮った画像をすぐには確認できない、フィルムのカメラで、どれだけ苦労していい画を撮っていたのか、わかるような気がする。
今は撮ってすぐに画像を見られるし、いらなければ消せばいいし、加工も簡単に家庭でできる。
ばんばん撮りたい。