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たかが二十日大根、されど二十日大根

 二十日大根って名前の通り、暖かいときであれば二十日くらいで育ちます。涼しいときであれば40-50日位かかります。就農した当初は、二十日大根なんて蒔けばできる。なんて軽く思っていました。ですが、そうそう甘くはありません。大きさはまばら、スが入る、表面が汚い、美味しくない、辛すぎる。いろいろ問題が生じました。長野県では、一番の適期は10月から11月位なのかと私は思います。暑すぎず寒すぎず、寒暖の差もある季節です。秋は虫も寄りにくくなり、美味しく育ちやすい季節でもあります。春は徐々に暑くなりますので、難易度は高いと思います。暑くなるにつれて、辛くなりやすかったり、成長スピードも早くなり、すぐに規格外になったり、スが入りやすくなったり。暑い夏場は適期ではありませんので、蒔くことはありません。うまく育つにはやはり土の状態、私自身の意識も大事な要素であると思います。二十日大根のことを軽く思っていたら、二十日大根もそうそう応えてくれる訳がないです。

 そんな二十日大根は、今では野菜セットの中でも食べてもらいたい野菜の一つになりました。昨年あたりから、『二十日大根美味しいね。』と、いう声も聞こえるようになってきました。でも、本当は、小布施丸なす、キャベツ、白菜など手をかけた野菜の方の感想が無くて、寂しい思いもしたことがあります。でも。二十日大根を褒めてもらえるのは、最大の褒め言葉であると思えるようになってきました。二十日大根が美味しければ、他の野菜もだいたい大丈夫かな。という感じです。今では、その二十日大根の状態が、野菜セットの品質のバロメーターの一つになっております。簡単に育てられると言われる野菜ほど、そこには深いものがあるんだと感じます。 


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