【仕事の型番外編】初心者ほど「型」にする点を間違いやすい
このnoteの概要
こんにちは、村井庸介です。
就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました。
昨日までで著書の内容は網羅しているのですが、その他にも寄稿した内容から今日でも皆さまの今後のキャリア形成に活かせそうなテーマについて、ピックアップしてお届けいたします。
一流選手ほど自分の「型」を非常に大事にします、ただし…
イチロー選手のバッターボックスに入るときの習慣などは、有名ですが、最近久しぶりにNetflixでマイケルジョーダン選手をはじめとした、シカゴブルズのドキュメンタリーを見ていて、一流選手ほど、自分の型をしなやかに進化させながらも日常において、その「型」を大事にしているなと感じます。
それは、仕事においても同様です。故スティーブ・ジョブズ氏は、プレゼンテーションに臨む前に何度もリハーサルを繰り返し、自身の細かい動きも含めてチェックしていたといいます。
ジョブズ氏などはなかなか真似できないとしても、職場の先輩など、優れた人の「型」を「そのまま」真似することは、生産性の向上につながるのでしょうか?
われわれの身近な仕事のシーンでも、書籍やメディアなどで一流ビジネスパーソンの思考法や行動、勉強法などがよく紹介されます。
こうした一流の方々の「型」を真似ることは、非常に有用なこともある一方で、かえって生産性を落としてしまったりする場合もあります。
真似する「型」の選ぶところが間違っている
僕自身、大学時代に水泳部のコーチをしていましたが、一流選手の泳ぎを真似しようとする初心者ほど、怪我をする傾向にありました。それは、彼等の筋力があるからゆえに出来る泳ぎだったりするのです。また、往々にして、真似するポイントが初心者の場合ずれていたりするのです。
たとえば、新人の営業が部の先輩であるトップ営業の方の資料づくりをそのまま真似すると、失敗してしまうことがあります。
というのも、特に部署でもトップの成績を挙げるような人は、社会人経験を通じて得てきた知識や論理性、プレゼンの場数などから、多くのことを口頭で相手にわかりやすく説明できるため、資料には「必要最小限」の情報しか書いていないことも多くあるからです。
先輩にとっては、そうしたほうが、より多くのお客様に会えたり、分析に時間がかけられたりと、業績を最大化できる可能性が高くなります。
ただ、この資料づくりの部分だけを新入社員が真似すると、必要な情報が相手に十分に伝わらず、そのためにプレゼンが通らなかったりする可能性が出てきます。
そもそも、資料づくりが大事なのではなく、お客様から何を聞き出すか、話してもらえる空気づくりの方がよっぽど重要だったりするでしょう。けど、一見効率的に見え、且つ華やかに見える部分に目がいってしまうのですが、そこは彼等の「型」ではなかったりもします。
たとえば、多くのコンサルティング会社では、資料のつくり方における「型」がありまりました。
会社によって、言い方や教え方は異なると思いますが、私が所属していた野村総合研究所では、「玉座」という資料づくりの「型」がありました。
資料のいちばん上の行に、そのページで言いたいことを簡潔に書き表したものを、「玉座」と呼んでいました。
私自身も「玉座」を書くことを通じて、「何を伝えたいのか、ひと言でわからなければ、その瞬間に資料は死ぬ」ということを徹底的に学びました。
言い換えると、言いたいことがまとまらないものは、相手も理解できないので、「玉座」が書けないということは、理解促進のツールであるはずの「資料」がその役割を果たしていないということを表します。
「玉座」は、ただ書けばよいというものでもありませんでした。
私の在籍当時は、A4サイズを横に使ったパワーポイントの資料なら、文字のサイズは20ポイント。フォントは創英角ゴシック。
たとえば、「既存事業の4分の3の利益が下降傾向、事業の組み替えが必要」といった文章のように、20文字から30文字で1行に収める。こうした「型」も、先輩方による実践知に基づく、より「わかりやすい」資料をつくるための方法論なのです。
職場内の異動や転職など、仕事が変わる機会が増える中で、自分の身を助けるのは、どんな仕事の「型」でしょうか。
先ほど述べた「資料づくりの型」なども適用できる職場は多いですが、必ずしもどの職場でも使う機会があるとは限りません。
言い換えれば、あらゆる仕事の基本となる領域の「型」を身につけると、どんな職場でも活躍できる可能性があると言えます。
たとえば、
「課題を見つけ、解決策を考える」
「業務をミスなく、遅延なく完了する」
「取引先や上司から仕事を獲得する」
といったことは、職場にかかわらず機会が存在すると思います。
そういった仕事の基本は、会社として公式な研修がなくても、身近に「手本」となる方がいらっしゃるでしょう。
その方が、なぜ成果を発揮できているのか、その方法論を本人に聞いたり、同行して観察したりしながら学び取るのです。
ただし、一流選手と一緒で、優れた成果を出す先輩は、すでに独自の「型」に進化している可能性もありますので、その先輩が、「なぜその仕事ができるようになったのか」をあわせて聞いてみるとよいと思います。
そこにこそ、あらゆる人にとって基本となりうる「型」が見えてくることでしょう。
「型」が見えてきたら、あとは実践が大事
一流選手の方が、繰り返しフォームを微修正しながら体に染み込ませています。私が顧問をしているブラジリアン柔術ジムの経営者であり、黒帯世界チャンピオンの方も、どの人よりも反復練習を繰り返していました。
「型」の実践当初は、自分の意識と実際の行動には大きなギャップがあるでしょう。こうしたことは自分1人では気づきにくいので、先輩にぜひフィードバックもお願いしてみると良いです。
先輩のフィードバックをもとに改善を繰り返していくことで、気づいたら意識せずとも自分が一定の成果を収める時期が訪れます。
その時期こそが、「型」が身についた時期です。仕事において、「型」を身につけることは、新しい仕事に挑戦するチャンスの獲得にもつながります。
出展:東洋経済オンライン
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