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逃亡銀河の鼠たち

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書きあげた拙い詩を詩集のようにまとめたもの。夏色。【逃げのびた闇のなかで(前編)】【探りあてた光にすがる(後編)】
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記事一覧

[21] 天啓

組みあわせた手にちから込め まぶたを閉じ 畏敬をすみずみまで それらしくできている 祈り  …

牙皎耀介
2年前

[22] 拡声器の嗄れ声

《あきらめましょう潔く  それがなにより 大事なのです》 駅を出てすぐの道端 野暮くさい身…

牙皎耀介
2年前
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[23] ある猛暑日の盗人

師である画伯が言う 会心の出来なら 褒美をくれてやると ながい絵筆なのか おおきなキャンバ…

牙皎耀介
2年前
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[24] お寒い熱帯夜

規律をまもれば ぼんやり者をまぬかれるから 識者のふりして説かれた ざれごと 信じてみるのも…

牙皎耀介
2年前
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[25] およげない魚

だいじょうぶ だいじょうぶだよって あなた そう言ってくれるけれど およげないものはおよげな…

牙皎耀介
2年前

[26] 海のらくがき

年甲斐もなく わるふざけ 無銭のまま飛び乗った気球が 海上へと     のぼる   のぼる の…

牙皎耀介
2年前
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[27] 拝啓お天道さま

不安を抱いてしまう暗夜には、あなたのまばゆさが待ち遠しいのです。東雲のお空は、なぜこんなにも沁みてしまうのでしょう。雨天の際はおすがた拝見できませんが、おやすみされることもなく、毎朝、わたくしたちに光を降りそそいでいただき、ありがとうの感謝でいっぱいです。 息子の名にあなたの名を拝借させてもらってから、数十年が経ちました。健全で立派なおとなに成長し、名に恥じぬ輝かしい人生を––––送っているわけではないのです。申し訳ありません。うじうじうじうじ、もじもじもじもじ、顔に泥を塗る

[28] 祝福するひまわり

おおきなひまわり ほがらかに 笑んでいる 息せききって 駆けてくる 花壇につまずき ころん…

牙皎耀介
2年前
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[29] 濃い鼠

よくぞここまで…… そんなお褒めの言葉を頂戴するために よく食べ よく学び よく励んでいた …

牙皎耀介
2年前
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[30] 蛍星の運動会

厳かな火に炙られ ほんのり 赤く染まったゆうぐもに 触れたいと     ぬぬ ぬぬ うでをの…

牙皎耀介
2年前
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[31] 探し物

変遷 あたかも導かれたかのように その狭間で なにがあったのかと 問われたところで 口をひら…

牙皎耀介
2年前
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[32] まぼろしの翅

耐えがたい 熱風につつまれた往来で 垣間見る コンクリートの失神 へたりこんだ 息する傀儡は…

牙皎耀介
2年前
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[33] 監督不行き届き

違和感はあったものの 把握できていなかったために 大問題に発展 注意力が足りなかったのはい…

牙皎耀介
1年前
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[34] 隠れ家はあじさい

ひとけのない時間帯をねらったのは なぐさめの花に こっそり 会いにゆくため それだけではなくて 川辺の空気が与えてくれる ささやかな憩いを 期待して しげしげと ながめていると きみは現れた のこのこと裏側から ハナから敵対心なんてなかった ぴかぴかの 光沢であるきみは 妖艶な花の色にも負けてはいなかった ただの目立ちたがり屋には思えなかった コガネムシか カナブンか 花好きならば ハナムグリだろう あんまり見つめすぎたせいか きみは身を隠した もぞもぞと裏側へ 先日も先