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幻想宇宙でうたう星々

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書きあげた拙い詩を詩集のようにまとめたもの。冬色。【耳をすませば星の声(前編)】【胸がときめく星の声(後編)】
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記事一覧

[61] モノローグ

いつのまにか 好いていた 川沿いの 花上ひらひら蝶々の日 水上すいすいアメンボの日 あんなに…

牙皎耀介
11か月前
5

[62] 天使の梯子のような

たいして価値はない そう思わざるを得ない歩みの途次で 浮かんでくるのは このまま さびしく…

牙皎耀介
10か月前
6

[63] はじまりの記憶

急膨張が 欺瞞の安息とゆりかごの安眠からの めざめを促す 広がる巨大な赤熱は はじまりの記憶…

牙皎耀介
10か月前
6

[64] 簡易葬儀

あれこれ煩わしい葬儀など こんな死体には 無用です おんぼろの棺に放りこんだら 口には桜を …

牙皎耀介
9か月前
6

[65] 永遠

冗談でも 本音でも 滅亡を願ってしまうほどの苦しさが あるけれど 垣間見る うつくしさに く…

牙皎耀介
8か月前
7

[66] 死にゆく街の小景

粉塵が風にまじり 建物はクラック 廃墟と呼んで片づけるには あまりにも悲しすぎる街で あちこ…

牙皎耀介
8か月前
8

[67] はと座にとどける願いもある

名前すら知らなかった街で、名前しか知らなかった街で、残酷という明らかな事実が降り止まないことに、この身のどこかが打ちのめされる。 蝕まれるような非力さに抗うこともできず、平穏にすり寄り、よっこらせ、座りこんで、貪るだけの日々の安穏。その罪悪感のただなかで、もう人間でありたくないという突拍子もない心境を、テーブルにのっけて、見つめている。 遠いむかし、夜空の星を見あげつくられた神話は、どれだけの時を超え、語り継がれてゆくのだろう。神々でさえ、うんざりするほど残虐で切ない物語の

[68] 彼方の優等生

ちいさな手が受け取る通知表 ちいさな瞳が満足する好成績 いつのまにか失った 先生の褒め言葉…

牙皎耀介
7か月前
5

[69] 雪の精も年老いて

この街で雪を見るのは はじめてのことだ 白く柔く ビーズのような細かさで よわよわしく降り …

牙皎耀介
6か月前
8

[70] エンドロール

うらぶれた暮らしに 袖を通したが最後 延々とつづく 冬籠もり 冬を遠ざける風は もう二度と …

牙皎耀介
6か月前
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[71] 素敵な空間

いつまでも持ち越され おもくのしかかる 寂寞から よろけながら かぼそい脚がたどりついた 休…

牙皎耀介
5か月前
7

[72] 劣等星

存在しつづけるだけで 自己肯定感 けずられてしまう 苦しさのなかで だれよりも 温かい人で…

牙皎耀介
5か月前
5

[73] しんだいれっしゃ

      (1ごうしゃ) おやすみのひにでかけた となりほしの ふるいおみせのゆめうり …

牙皎耀介
4か月前
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[74] 枯れ木の涙

集積所を荒らす カラスの姿はまだありません 道端の残雪は ひんやり 早朝のしずけさのなかで ぐっすり 眠っているかのよう 朝靄 もやもや 昨夜のゆううつ ひきずって 開けきらない目で見あげれば 雲間の朝空めがけ 鋭利な枝を発射させる数秒まえ そんな枯れ木の立ち姿 つめたい きびしい 風雪にも耐え 折れず 撓まず しゃんとまっすぐ えらいなぁと感心しつつも 隠し持つさびしさ 探ってしまいます あなたはこの枯れ木のように たくましい生き方でしたけれど 肉体のもろさを目の当た