[67] はと座にとどける願いもある
名前すら知らなかった街で、名前しか知らなかった街で、残酷という明らかな事実が降り止まないことに、この身のどこかが打ちのめされる。
蝕まれるような非力さに抗うこともできず、平穏にすり寄り、よっこらせ、座りこんで、貪るだけの日々の安穏。その罪悪感のただなかで、もう人間でありたくないという突拍子もない心境を、テーブルにのっけて、見つめている。
遠いむかし、夜空の星を見あげつくられた神話は、どれだけの時を超え、語り継がれてゆくのだろう。神々でさえ、うんざりするほど残虐で切ない物語の