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映画「レミングたち」の覚書 | #11 寺本慎太朗

これまで紹介した10人の記事でいろんな写真を使ってきましたが、この「レミングたち」の現場でスチルを撮影してくれたのが寺本慎太朗くんです。普段はフリーランスの撮影監督として活動しています。即ち、敵です。

モボモガ

2016年、大学の先輩でもある田平一真監督の映画「MOBOMOGA」に撮影監督として参加しました。田平監督処女作の短編「どうでもいいけど」が沖縄国際映画祭に入賞し、翌年の同映画祭招待作品として制作されたこの作品は、スタッフを大幅増強し、当時福岡でフリーの撮影部・照明部として活動していた寺本くんも参加し、この作品では照明を担当してくれることになりました。

これまでたいていが太陽光に頼った撮影ばかりだったので、照明の、特に色使いについて彼の手腕を見てとても勉強になりました。「MoboMoga」はそのお陰でこれまで撮影したものとはかなり毛色の違う画になったと思います。

鋭く独特な感性で、彼が撮影したものを時折web上で観るたび敵わねえなあと思っています。同じく田平監督、寺本撮影の短編『KIKI』を観ましたが、有無を言わさぬ画の暴力を感じました。理屈じゃない、とても強度の高い画を切るDPで、でっかいスクリーンでもそれを観てみたいなと思っています。被写体に対して普通より一歩踏み込んだ「近さ」による力強さがあるように思います。

そして、映像だけでなく、彼が撮る写真もすごく良いのです。

今回、「レミングたち」では"撮影監督を目指す"という自分自身のアイデンティティを保つためにも、どうしても撮影も自分でやらなければと思っていました。ただ、逆に現場でスチルを自由に撮影してくれる人が居て欲しくて、寺本くんに打診してみたところ快諾してくれました。彼も多忙な人で、他の現場と現場の合間に、2日間わざわざ静岡まで駆けつけてくれました。

寺本3

寺本2

寺本4

でかくて無愛想だけどいい人で潔癖症で、あとは撮ることが大好きなのだろうということくらいしか、実は彼については知りません。

でも本当はカメラマンという人種は、画を切ることだけで語らねばならないのだろうとも思います。圧倒的に訴えかけて来るものを撮る彼と、これから戦っていかねばならないと思うと恐ろしい限りですが、自分なりのやり方で目一杯競り合っていけるよう、武器を探していかなければと思います。精進します。

ちなみに最近仕事がないので、よかったら助手で呼んでください寺本さん。


次は、宮垣 貴宏くんについて。


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