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chignitta訪問01 -人が集まる場について考えた-

7月24日(土)晴れ

谷口純弘さんによるアートスペース「chignitta(チグニッタ)」がオープンしたので、弾丸で大阪にやってきた。

谷口さんは大阪で毎年行われている大規模なアートフェア「Unknown Asia」を立ち上げられた方で、僕も数年前に参加して以来、お世話になっている。大阪のアート業界では言わずと知れたアートプロデューサーで、すごい人なんだけれど、気さくな人柄でフットワーク軽く、趣味人という雰囲気の方で、おそらく肩書きよりも人柄で多くの人に慕われているのではないかと思う。そして僕もその一人である。

そんな谷口さんが作ったスペースなら面白くないわけがなく、近いうちに行こうと思っていたところに、chignittaでなんとイラストレーター永井博さんの個展が行われるということを知り、この機会を逃すまいと新幹線に乗り込んだ次第。ちょうど連休だったのが幸いだった。

chignittaというスペース

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大阪の本町の近く、靱公園沿いにあった。
谷口さんのパートナーの笹貫淳子さんによると、この界隈はギャラリー等アートやデザイン系の店がたくさんあるエリアらしい。笹貫さんとは過去に数回会話をしただけだったけど、覚えていてくれて嬉しかった。

そしてついに永井博さんのイラストが…原画を見たのは初めてだったので感動した。永井さんのイラストについては次の日記で書こう。自分のターミングポイントの一つにもなっている永井イラストは、僕にとって特別なのだ。

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chignittaには谷口さんが集めた書籍がぎっしり。気に入れば購入することもできるらしい。

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バーもあって、飲み物を飲みながら谷口書庫の本を自由に読むことができる。大窓には靱公園の緑が美しい。

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DJブースもあるよ。

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永井さんのイラストを見たあと、本棚で山下清の画集兼伝記があったので、読み始めたらこれが面白くて読み入ってしまった。存在は知っていたけれどもよく知らなかった彼の生き方や考え方に、そこはかとないシンパシーを感じてしまった次第。

そうこうしてるうちに谷口さんと永井さんご本人が登場してビックリ。まさかご本人に会えるとは…。早速ポスターにサインしてもらったよ。

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永井さんご降臨でお客の数が一気に増え、コロナ対策で入場制限するまでになってしまったので、もうちょっと本読んでいたかったけど、待っている人に悪いので帰ることに。面白かったので山下清の本を買ってしまった。夜にもパーティもあったが、これも満員御礼だったので今回は遠慮しておいた。

自分のスペース持ちたい欲再び

僕はノマド志向で、2拠点生活をしているような人間なので、家を買って住み続けることに魅力を感じていない。しかしchignittaのような、人が集まるスペースを持つことには興味があって、いずれ何らかの形で実現したいと思っている。

昔ミシガンに留学する際にお世話になった山本先生は、自宅の一部を人が集まるスペースにして、「四畳庵」と名付けていた。四畳ほどの部屋に留学関係の方が数人集まって、真ん中で肉などを焼きながら話すのだが、これがまだ二十歳前後の自分にとって新鮮で、自分のスペースを考えるきっかけだった。

Unknown Asiaで知り合った大阪に住むクリエイターの小島ハモニズムさんは、「ROOM but HOTEL」という、自宅の一部屋をクリエイターが作業に使ったり、宿泊したりできるスペースを作っていた。僕も滞在させていただいたけど、とても居心地よく、夜は大阪のクリエイティブ関係の方々と飲んだりして、大変よかった。

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京都では、「落柿舎」という松尾芭蕉の弟子・向井去来の別荘があって、芭蕉をはじめとする有名な文化人が集まっていたらしい。その質素かつ自然と距離が近い落柿舎は、俳人には最高の場所だったに違いない。僕も大変気に入り長居してしまった。今考えれば京都で一番感銘を受けた場所かもしれない。

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いくらリモート的な技術が発達しようとも、人が直に集まりコミュニケーションをとることの価値は不変、というかコロナ禍でむしろ高まったことだろう。みんなで囲炉裏をかこうこと、そしてその「囲炉裏の場」を作る行為は、人類共通の享楽なのではないかと思う。

chignittaの囲炉裏がアートや音楽であるように、僕も自分なりの囲炉裏を考えつつ、場を創ってみたいのだ。谷口さんと笹貫さんのフェイバリットが詰まったchignittaの室内を眺めつつ、また自分のスペース持ちたい欲が高まってきてしまった。


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