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メドレーの「ドキュメントドリブン」のなりたち

メドレーには Our Essentials = 12の大切にしている価値観があります。その中でも特徴的なものの1つが「ドキュメントドリブン」で、面接の場などでもよく聞かれます。

ドキュメントドリブン
仕事を始める際にドキュメントを先に書き出し、それを駆動力として活用して自らやチームを効率的に動かします。ドキュメント化されていないことにより多くのメンバーが同じことを1から考えたり、読めばわかることを口頭伝承したりするような時間の浪費を予防します。ドキュメントもシンプルで無駄のないものを志向することで、将来のチームの生産性にも大きく貢献します。

https://www.medley.jp/team/culture.html

この概念がメドレーでどうはじまって、どのように社内で浸透し、育ってきたのか、について書きます。


要約

  • この概念が最初に生まれたのは esa の導入事例記事 だった

  • 当時、グリーの子会社から移ってきた介護のほんねチーム がメドレーに持ち込んだ概念で、esa というツールを導入したのがきっかけ

  • それが自然と社内に広まっていった

  • 会社と事業の規模が変わっていく中で、使うツールも位置づけも変わっているが、ドキュメント駆動で仕事をすすめる、という重要性は変わらないまま今に至る

源流は hatenawiki

  • 自分は2007-2011年、株式会社はてなに在籍していた

  • 当時のはてな社内には hatenawiki という、なんでも書くはてなグループ(wiki + blog のようなサービス。2020年に終了)があった

  • 仕事のベースがこれで、社内のありとあらゆる情報が投稿されていた

  • それまで文章をまともに書いたことがなかった自分も、1日何投稿もしていた

  • 何も知らない状態から perl 勉強して売上集計をはてなグラフで自動化したこと、京都出張時のマンスリーマンションでインフルエンザにかかってひどい目にあった記録、などなど、自分で書いたものも他社員が書いたものも、今でもたくさん思い出せる

  • 強烈な原体験。たぶん他のみんなもそうだったのでは

  • 卒業生たちがそれぞれの次の環境でも広めていった

    • Groupad → Kibela

    • Qiita::Team

    • gree group

2014年

  • 2011年にはてなからグリーに転職

  • 最初は非ゲーム領域を担当していたが、2014年に新規事業を担当することになり、約10名の社内ベンチャー組織が発足した(その後100%子会社になった)

  • そのときに、最初に実施した取り組みの1つが gree group という、hatenawiki を模した社内ドキュメントツールの復活だった

  • その時点のグリー社内ではもう使われていなかったが、エンジニアMさんにお願いして社内サーバで復活させた

  • 小さなチームで機動力高く事業を進めるには、日々やったこと、その中で発見したこと考えていること、を何でも共有し、小さな意思決定をすぐに実施することが大事だと考えていた

  • ので、チーム全員がなんでも書ける場を用意したのだった

  • ちなみに、同時にやったことが六本木ヒルズオフィスに畳を敷くスペースをつくったことだった...

  • 親会社が大きく確立された企業になりつつある中で、とにかく異物であろうとした

畳を敷いている様子

2015-2016年

  • 介護のほんねを運営していた子会社の、メドレーへの売却が決まり、さまざまな移行作業をしていく中で gree group をどうしようとなった

  • 移管したいが、グリーの外に持ってくのは大変

  • 代替ツールとして選んだのが esa

  • 当時のメドレーにドキュメントを残すという文化はなかったが、介護のほんねチームとエンジニア陣が率先して書きはじめ、それが全社に広がっていった

  • 当時のメドレーは、まだ30-40名

  • hatenawiki や qiita team のように個人のブログ機能はなかったが、ふざけた投稿含めてなんでも書いていた

  • 自分の子どもの名前案を募集したこともあった

100個ぐらい適当な案が集まった
  • もちろん、業務上の便利さ、プロダクト開発の中でつかうメリットも多く、投稿数は増えていった

2017-2018年

  • 事業は伸び、増え、社員数もどんどん増加していった

  • そうすると過去の文脈を把握していないメンバー、育ってきた環境が異なる人も社員として入社してくる

  • プライベートなことまで含めて何でも書くインフォーマルなツールとしての機能価値は徐々に下がり

  • 反対に、業務プロセスの効率化という観点での価値が向上

  • 2つの側面から、権限管理の重要性が高まる

    • 話したことない社員もいる中で、何でもは書きづらい

    • 部外には見せづらい業務プロセスもドキュメント残したい

  • その他の要件もあり、Confluence へ移行

2019-2022年

  • 大規模なプロジェクトが増え、さらに COVID-19 が起こる中で、ますます構造化した文章を書けること、誰もが理解のズレを起こさず、かつ、シンプルな文章を書けることの重要性が高まる

  • 理科系の作文技術 を参考書籍にする

  • "ドキュメント化" することはみんなある程度できる

  • ではなく、"ドキュメントドリブン" で仕事をすることを啓蒙する

社内 Confluence より抜粋
  • 社員数の増加に伴い、ドキュメントに則って仕事を進めることが増え、1つのドキュメントがもたらす影響範囲が広がっていく

  • すでにある Confluence のアップデート・メンテナンスの重要性が高まる

    • 検索精度が徐々に課題として大きくなっていく

  • あらためて、MTG の前に Confluence を用意しておき、事前に読んでおくように心がける動きが増えている

  • 最近入社している方もこんなふうに実感しているみたいです

これから

  • ドキュメントドリブンの価値は 2015年 ごろから変わらない

  • 事業が拡大し社員数が増えたからこそ、むしろその重要性は高まっている

  • いっぽうで権限管理、検索精度、インフォーマルな情報の共有については課題意識ある

    • 多くの情報をオープンにして、誰もが同じ意思決定ができるようにしたい一方で、秘匿性の高い情報を全体に書くわけにはいかない

    • インフォーマルな情報もなんでも書きたいが、知らない人にまで読まれるのは心理的に不安

    • 歴史ある情報が蓄積されていく中で、古い情報のメンテナンス負荷増

  • メドレーは今後グローバル化を目指していく中で、これらをどうバランス良く成立させていくか

  • ぜひ、数百人〜1,000人以上の組織における、オープンな情報共有設計をどのようにすべきかについて、いっしょに考えてみませんか?