750_0850-Edit提出版_優秀賞_

写真では誰にも負けたくなくない

 タイトルの意味は「写真では誰にも負けたくない」の反対です。つまり、別に負けてもいいかなって。

 僕にとって写真って「これだけは人に負けたくない」という類のものではないんです。カメラ始めてから三年しか経ってないし、自分の美的センスに自信があるわけでもない。学校の美術の時間に褒められた経験もないし、「アート」なんていけ好かない、スカしたサブカル野郎のすることだと思ってたので。

 「これだけは人に負けたくない」といえば、僕の場合、文章を書くことっていうのがそれに近かった。いちおう過去形かな。自分には「文才」のようなものがあると信じていて、その才能によって将来、何かを成し遂げられるんじゃないかと期待していた。学校の現代文の時間に褒められたことはありました(笑)

 だけど写真に関して言うと、「写真で負けるのは別にいいや」と思っていたのが、逆に良い方向に作用したという気がする。

 例えば、僕は『フォトテクニックデジタル』(玄光社)という雑誌の読者投稿ギャラリーに毎月投稿していた(これは過去形じゃなかったですね、今も投稿続けてるから)。そしたら箸にも棒にもかからなくて、ちっとも誌面に掲載されなかった(これはいちおう過去形)。でも一年以上、せっせと投稿を続けていたら、今年の6月号でその月の優秀賞(1位)に選ばれて、大きく掲載されたんです。

そのときの写真(モデル=ヤマザキさん twitter @unicha666

 もちろん、毎月落選するたびに、十分すぎるぐらいガッカリしていたわけだけど、でも、これが「写真」のコンテストではなく「文章」のそれだったら、僕にはとても耐えられなかっただろうという気がする。
 例えば、小説の新人賞に応募する。そして、落選が続いても、再チャレンジを続けるなんていうことに、僕のガラスのプライドは決して耐えられないだろう(笑)

 僕の周りの本気系カメラマンを見てると、「写真では負けたくない」って思ってそうなのが何人かいる(笑)。そしてそのうちの何人かは、コンテストへの投稿や作品の発表に関して、妙に消極的だったりする。その気持ちはなんとなく分かるんです。
 もちろん僕だって、自分の撮る写真にプライドがないわけじゃないですよ。でも結局のところ僕は、写真で負けるのは別に良かった。だから続けられたし、今日も懲りずにせっせとTwitterで「ポートレート作品」を「発表」している。

 でも、まあ思うんです。物を書くことに関しても、こんなふうに、「別に負けてもいいや」という姿勢でいられたら、もうちょっと何かできることがあったんじゃないかって。
 最近は僕も枯れてきたのか、何に関しても「別に負けてもいいや」という感じになってきたけどさ(笑)。

 最後まで読んでくれてありがとうございます。
 明日が仕事納めの人が多いでしょうか。あともうひと踏ん張りですね。

 先週末、フットサル大会を0勝2敗2分けで終えた直後、抜け殻のような巨匠。絶対に負けられない戦いは、そこにはない。

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