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何だったんだ?事業再構築補助金

1回目のコラムタイトルは、昭和世代には懐かしいBARBEE BOYSの名曲「何だったんだ?7DAYS」をオマージュしてみました。
さて、そんなことはどうでもいいのですが、事業再構築補助金とは「コロナで変わった社会環境の変化に対応するために行う事業者の新たな取組みを応援する補助金」で、2021年から始まりました。補助上限額が数千万円と大きいことが特徴です。
しかしながら昨今は国の有識者会議で様々な問題点が指摘され、令和6年3月には最後の公募が開始されないまま尻切れトンボの状態となっています。
(正式に終了したとのアナウンスが出てる訳ではないので今後公募される可能性もあるかも知れません)
しかしながらここで一区切りをつけて、私なりに事業再構築補助金を総括してみたいと思います。

※2024.4.23追記
抜本的な見直しがされた上で、令和6年4月23日より事業再構築補助金の第12回公募が実施されることになりました


問題点①

難しすぎてコンサルタントを食わすための補助金になっていた

そもそも事業者自身だけではとても作成できないような事業計画書が必要だったため、ほとんどの場合、事業者は公的支援機関や金融機関等のサポートを受けながら事業計画書を作ることになります。それでも、そのようなことができるのも文章能力やPCスキルが十分で、かつ申請書作成のために時間を割くことが出来る一部の方です。
大抵の方は、まずは募集要項を読み込むだけでも苦労するうえに、読み込んだところで、次に何をすれば(何を書けば)良いのか分からなくて普通です。
そのため、この業界では着手金+成功報酬で事業計画作成を請負うコンサルの参入が強まり、果ては怪しげな業者までが暗躍することとなりました。補助金の少なくない一部の額がこうした会社に流れています。

問題点②

そもそも、強みを活かしていない事業がうまくいくのか

「ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った取り組み」とありますが、中小企業が採るべき基本戦略は言うまでもなく「強み」×「機会」です。
しかしながら、本補助金では自社の強みを活かしているとは言えない事業であっても、コロナ禍の環境に即した事業であれば採択となるケースも多く、結果、1年も持たずに事業が行き詰まる事業もでてきています。
また、コロナ時代に合った非接触型としてブームとなった自動販売機事業も、アフターコロナ禍では下火になってきているのはご承知のとおりです。

問題点③

申請方法が電子申請のみで書面は受け付けない

国が進める社会のデジタル化推進といった大きな方針に基づき、本補助金の申請はJグランツによる電子申請に一本化されました。そのため、PCに不慣れな事業者はそもそも申請までのハードルがさらに上がります。
現場の最前線で自らがプレーヤーとして働いている小規模事業者の代表者には普段PCを使わない方も多く、電子申請のみという時点で多くの事業者が敷居の高さを感じたのではないでしょうか。


まとめ

国の補助金とは国策そのものであり、その性質上、大なり小なりこのような負の側面もつきまとうことは避けられません(光があれば影ができる)。完璧な制度設計などほぼ不可能です。
それでもこの補助金は3年間に渡り、年間6000億円前後といった、たいへん予算規模の大きな補助金でした。将来への投資として有効に機能したかという点については、私が言うまでもなく、しっかりと検証していってもらいたいと思います。

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