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これから創業を考えている人に伝えたいこと

4月、5月は創業相談が多くなります。創業相談といっても、試作開発、技術実証などを終えて本格的に事業の立ち上げを行うスタートアップ企業への相談、などといったの大がかりなものではなく、私が相談にのっているものの多くは個人の飲食店やエステ店等の小規模な個人事業の相談です。
開業すること自体は税務署に開業届を1枚出すだけですので(業種によっては別途、許認可が必要)簡単ですが、事業を継続させることは簡単ではありません。中小企業庁のデータによると創業後10年の生存率は70%、20年後の生存率は52%となってます(別のデータでは創業5年での企業の生存率は約40%というデータもあります)。


●創業計画書の作成

では、まずは何から手を付ければいいのか。まずはぜひ創業計画書を作ってみてください。
融資を受ける場合には必ず必要な書類ですが、融資を受けない場合でも、自身の頭の中で思い描く事業内容をペーパーに落とし込むことで内容が整理され、計画がブラッシュアップされていく筈です。
創業計画書のひな型もいろいろあると思いますが日本政策金融公庫のものが1枚でシンプルにまとまってます。

【創業計画書で書き出す項目】
・創業の動機
・経営者の略歴
・取扱商品・サービス
・取引先
・必要な資金と調達方法
・事業の見通し(売上・原価・経費・利益計画)

[創業計画書(日本政策金融公庫)]


●売上計画はどう立てればいいのか


計画の中で一番難しいのは売上計画です。1ヶ月の売上計画をどう根拠をもって立てるか。
小売店であれば「客単価×客数×営業日数」や、飲食店であれば「客単価×席数×回転率×営業日数」等となるべく細分化して売上根拠を示します。
ただ、いくら細分化したところで実際に実現する数値かどうかはどこまで行っても蓋を開けてみないと分からないことには変わりありません。難しいですね。
ただ言えることは、これによって自分が思う所得を得るためには、どれだけの売上が必要なのか、この客単価だった場合に1日にどれだけの客数が必要なのかを逆算で知ることが出来ます。
サラリーマンを辞めて創業するという方であれば「これだけは稼ぎたい」というイメージはあるはずで、その所得を得るために必要な売上や客数が分かるということです。そして、それがあなたの必達目標の数値ということになります。
必達目標とは何か。絶対にやりきると覚悟と責任もつ数字ということです。客が来なければ、客が来なかったから売上が立たなかったではなく、客がくるまで販促活動や営業活動をするという責任を持つ数字ということです。


●事業計画の王道

事業戦略を決める際によく使われるSWOT分析およびクロスSWOTというフレームワークでは、内部環境の「強み(S)」と外部環境の「機会(O)」を掛け合わせるSO戦略が中小企業がとるべき王道戦略と言われています。
つまり簡単に言うと、うまくいく事業とは「自分が得意にしていることを、そのニーズがある消費者たちに向けて実施する」ということです。まあ当たり前といえば当たり前です。
少なくても書類上では、内部環境の強みをもって外部環境の機会に進出する事業となっていることが重要で、それが合理的に示されている事業計画ほど融資審査上でも補助金審査上でも有利に働きます。

[SWOT分析]


●SWOT分析では触れていない大切なこと

しかしこれだけでは何か足りない気がしませんか?机上の空論になってる気がする。それは何か?そう、ビジネスは感情のある人間がやることなのに、SWOT分析には事業者の「事業への想い」が入っていないんです。
いくらそこにチャンスがあり、自分が得意なことを行う事業であっても、自分がやりたいことでなければ頑張り続けることは出来ない。
「上手にはできるが、本人がやりたいことではない」という事業や「単に儲かりそうだからという理由でやりたい」という事業はやるべきではありません。
事業を続けていくと、必ずうまくいかないことや困難なことが出てきます。その時に踏ん張れるかどうかは、その事業に対する想いの大きさに比例すると思ってます。それが自分が本当にやりたい仕事かどうか、はしっかりと自問自答し、覚悟を決めて踏み出すことが重要です。

夢と希望をもち、新しく始める皆さんの事業が末長く続くことを願っています。

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