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刑法の総論パートを読んだ:山口厚著『刑法』 - 40%読了

紙の本で548ページの40%だから、220ページほどかな。

今まで生きてきた中で、和書・洋書通して色んな本を読んで来ましたが、これまで読んだ本の中で一番難しかったです。

抽象的な話がぎっしり続く上、具体例があまり出てこない。込み入った内容になると言葉を換えて繰り返してくれる箇所は頻繁にあるので、不親切というわけでも無いんやけど、もし同種の本で洋書なら、この5倍は分量があるなと思いました。

とはいえ、書いてあること一つ一つにちゃんと意図や内容が盛り込まれていることはひしひしと感じられ、集中力が途切れて眠くなることはほとんどなかったです。でも、めちゃくちゃきつかった。

適当に一段落取り出してみると、以下のような感じです。

【共犯と違法性阻却事由】
正犯の構成要件該当行為について,正当防衛などの違法性阻却事由が存在する場合,それに加功する者が教唆・幇助として処罰されるかが問題となる。教唆・幇助は2次的責任類型であるから,正犯行為が違法でない場合には,背後者の刑事責任を追及する理由がなく,教唆・幇助の成立は否定される(制限従属性説)。しかしながら,違法性阻却事由の適用が関与者(正犯と教唆者・幇助者)間で異なる場合,たとえば,正犯について正当防衛が成立する事例において,積極的加害意思がある教唆者・幇助者にとっては(判例理論に従い)侵害の急迫性が否定され,違法性阻却が否定されることになる場合,違法性阻却事由の適用がない教唆者・幇助者について,教唆・幇助が成立することになるのかが問題となる。同様のことは,共同正犯の事例においても問題となるところである(ただし,教唆・幇助については従属性の要件の理解・適用が問題となるのに対して,共同正犯についてはそれが問題とならないという相違がある)。

ただ、昨年末から始めた司法試験の学習経験の中では初めて、一人の著者が体系性を意識して書き上げた本を精読したことになり(刑法総論パートだけですが・・)、気付かされることはすごく多かったです。

とりわけ刑法という、類推解釈の許されない、精緻な法令の理解・運用が要求される科目だったので、特に、考えさせられることが多かったです。


で、今回また課題が増えてしまったことに気付きました。

それは、仮に刑法の論文試験で自分が答案を書く場面を想像すると、自分が書く内容が、刑法のどの分野のどんなことに該当するか、対立する立場のうち、どのような位置付けに該当しているかが分かるようになっていなければいけないということです。

結局、理解した内容についてアウトプットする、そして、その内容が刑法の体系や手続きの中でどういった位置付けにあるのか、単純な理解ミスはないかといったことに照らして、自分の文章を洗練していくといったプロセスがどうしても必要だ、ということを思わされました。

・・ソクラテスメソッドっぽいこと要るんじゃね? と思った次第です。

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