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Ankiと登録販売者の勉強の組み合わせを攻略してみた

僕はこれまでに英語を勉強していく中でAnkiというツールを使っていたのですが、実際にAnkiを使っていく中で応用次第では様々な勉強に使えるということに気づき始めました。

英語はもちろんですが、もっと単純なもので言えば資格勉強はもちろん対応しますし、受験勉強にも対応できると思います。つまり抽象的に言えば、知識を取り込み、そしてそれを忘れたくない、といった目的があれば基本的にAnkiを使うことで勉強ができます。

そしてたまたま機会があり、登録販売者の試験を受ける機会がありましたので、Ankiと登販がどこまで相性がいいのか、というのを試してみました。この記事は、そこで得たことを書いていこうと思います。

注意)記事自体が非常に長いので読みたい場所を選んで読んでもらえると幸いです。

Ankiとは?

この記事に飛んできている方はすでにAnkiはご存知だと思うので、Ankiに関する詳しい説明は省きますが、Ankiの日本語リファレンスもありますのでそちらを参考になさってください。

Anki日本語マニュアルWiki

簡単にいうとAnkiとは、フラッシュカードをアプリで再現したものになります。表と裏があり、表には、裏の答えとなるトリガーを設置します。

表:イソプロピルアンチピリンは何系か?

裏:ピリン系

と言ったように、トリガーと答えを自由に追加編集、することができ、そしてそれらを、設定の範囲内で永続的に復習の必要な時に自動的に表示してくれます。

今回の記事では、ある程度Ankiの使い方がわかる方に向けて、登販との勉強法との組み合わせ方について、紹介していこうと思います。

注意)なお、筆者は登販の資格を持っているわけではなく、理由あり途中辞退しましたが、Ankiを使えば登販を3ヶ月で余裕を持ちながら合格することができる、ということを声を大にして言いたいと思います。(さらに継続して忘れずに知識を業務にも生かせる)

章ごとに勉強スタイルを変化させる

登販には章が5つあります。その中でも特に3章のボリュームに悩まされることも多いと思いますが、僕は、1, 2, 4, 5章と、3章の勉強方法は変えたほうがいいと思います。もしくは、法規の章もまた別の勉強方法を使った方がいいかもしれません。

勉強法を変えると言っても、Ankiを使うことに変わりはありません。ただ僕の場合は、新しいノートタイプを使って、全く別のフィールドとカードで章の勉強を使い分けました。勉強スタイルを変えた方がいい理由をいくつか述べていこうと思います。

まず、1章や2章の特徴としては文章の用語を覚えていくことがメインになります。

皮膚は、表皮真皮皮下組織の3層構造からなります。

というような文章があった場合、この文章で重要で試験に出そうな部分は大体テキストに赤文字で書いてあると思います。つまりそこを覚える作業がほとんどになります。この文章の中にある重要な部分を覚える場合、Cloze(穴埋め)のカードが有効です。

Clozeを使うと以下のようなカードを作ることが可能です。
(詳しいClozeの作り方はマニュアルを参考になさってください。)

パターン1: 皮膚は、[...]、真皮、皮下組織の3層構造からなります。
パターン2: 皮膚は、表皮、[...]、皮下組織の3層構造からなります。
パターン3: 皮膚は、表皮、真皮、[...]の3層構造からなります。

以上の3つパターンのカードを作ることができ、裏にはその穴埋めで隠れた部分が表示できるようになっています。

このClozeの勉強が2章などの文章が多く、それら一つ一つを覚えていくのには適していると思います。

それに比べて3章の勉強方法はもう少し複雑になってきます。
後に書きますが、第3章の量は膨大であり、そしてその膨大な量をフィルターにかけて量を減らし、そして必要な部分のみを覚えるという作業が必要になります。

もしも全てのテキストの重要そうだと思った部分を穴埋めにして解いていけば莫大な量になってしまい、とても効率が悪いです。

なので第3章では、カードスタイルで問題を作っていくことをお勧めします。

勉強する知識は最小限に

すでに述べてきましたように、第3章においてどのように重要な部分のみに絞るか、ということが必要になってきますが、その方法として僕が実際に使った方法はすでに重要な部分をまとめてあるテキストを使うのが良いと思います。

筆者はKindleで出版されている
過去問回して絶対合格!登録販売者前問題集
というものを使用しました。特にこれでなければいけないわけではありませんが、この本では、非常にシンプルに、かつ重要な部分のみに絞ってあるので有用だと思います。

表を作ってみやすく整理

成分名を覚えていく中でよく思うのが、とても似た効果を持った成分が多いということです。さらに複数の効能を持った成分であれば、それら一つ一つを綺麗に覚えていくことが難しいです。そこで筆者は表を使うことにしました。

表を使うためにはアドオン(Add Table)で追加する必要があります。

一番効果がある使い方としては、カンゾウ、マオウ、ダイオウ、という様々な薬品に入っている漢方・生薬についてまとめる時に使うのが良いと思います。

柴胡桂枝乾姜湯
カンゾウ | マオウ | ダイオウ
{{c1::O}} | {{c1::X}} | {{c1::X}}

このような形で、この漢方にはカンゾウが入っているがマオウとダイオウは含まれていない、というのが一眼でわかると思いますし、文章上で

柴胡桂枝乾姜湯はカンゾウを含む

とだけ覚えるよりもずっと記憶に残りやすいかと思います。というのも、僕の経験上、含有生薬を覚えるときにただの穴埋めを使ってしまうと

柴胡桂枝乾姜湯は[...]を含む

というふうになるのですが、カンゾウが最も配合されている場合が多いので、容易に答えが予想できてしまい、本当はわかっていなくても正解できてしまう、という現象が起きてしまいます。
なので含有生薬を覚えるときは表を使うことをお勧めします。

ふりがなを使う

漢方を覚える際にまず最初にぶつかるのは読み方がわからない、という問題です。繰り返し読んでいるうちに覚えるかもしれませんが、最初は見当もつきません。そこでふりがなをカードに追加する方法を僕は採用しました。

ちなみに読み方を覚えなくても良い、という意見の方もいるかもしれません。しかし、正しい読み方を覚えることは、業務に役に立つことはもちろんですが、記憶の定着にも役立つと僕は考えています。ぜひ、読み方にも拘っていただければと思います。

Ankiはデフォルトでふりがなをサポートしていませんので、こちらもふりがなをつけるためのアドオンを追加することになります。SimpleFurigana(おそらく日本語学習者のためのもの)

しかし、このアドオンを使い慣れるのにもコツが要ります。自動でふりがなを振ってくれる機能がありますが、基本的に漢方は正しいふりがなにはなりません。なので自分で追加する必要がありますが、そこがひと工夫する必要があります。いろいろ試してみてください。僕はかなり苦戦しました。

音声を使う

僕は以前はAnkiを英語学習ように使っていたので、音声をカードに追加する、というのは当たり前のようにやっていたのですが、登販の勉強でいざ音声を使う必要があるとは全く思わなかったので、音声なしで最初は勉強していました。

しかし、いざ音声をつけてみて記憶の定着が格段に上がったので紹介しておきます。

こちらもアドオンが必要になります。(AwesomeTTS

こちらのアドオンは語学界隈では非常に有名です。基本的にはGoogleが作る音声を使用します。つまり機械の音声になります。

機械の声が苦手な人はやめた方が良いかもしれませんが、イントネーションも含め、日本語も上手に話してくれる印象です。

しかし、100%正しい発音で漢方などを発音してくれるとも限らないので、僕はPronunciationというフィールドを作り、そこに正しい発音をカタカナもしくはひらがなで書き、そこをソースとして音声を作成する、という手法をとっていました。

例えば、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の場合であれば、メインのフィールドに桂枝茯苓丸を追加し、そしてPronunciationフィールドにけいしぶくりょうがんと入力します。

それで自由に発音もコントロールすることができます。音声を導入してから発音をほとんど意識することなく覚えることができるようになりました。

アイコンを使って項を視覚的に認識

こちらは余裕があったら、ということにはなりますが、こちらも非常に役に立つテクニックだと思います。

最初にも述べましたように、成分によっては項によって重複する場合があります。例えば、アミノ安息香酸エチルなどのような局所麻酔成分や、アドレナリン作動成分は多岐にわたって使われている印象です。

そのような場合、どの項のアミノ安息香酸エチルなのか、というのが重要になってきます。細かい話かもしれませんが、案外知識が混乱してくるのはこういう部分だと思います。

①鎮暈薬のアミノ安息香酸エチル
②胃腸鎮痛鎮痙薬のアミノ安息香酸エチル

これをしっかり分けるために僕はアイコンを使いました。

画像1

画像2

↑こちらの画像は実際に僕が使用していたカードのレイアウトです。

このようにアイコンをつけることによって、視覚的に、そしてほとんど無意識的にどの項のカードなのか、というのを認識することができます。

タグを上手に使う

アイコンを使うことに類似していますが、タグを使って項を分別する、というのも良い方法です。タグは一気に追加することができる機能がデフォルトでAnkiについているので、カードを作成した後でも、まとめて、選択したカードに追加することが可能です。さらに、あまり知られていませんが、タグは問題を解く画面に追加することも可能です。

{{Tags}}

というようなコードを追加することでタグもフィールドの文字のように追加することが可能です。

カードはできるだけ分割して小さくシンプルに

第2章のような、文章がたくさんあり、その中から重要な部分を覚えようとするとき、どうしても、カードの内容が長文になってしまいます。

口腔咽頭薬
口腔咽頭薬は、口腔内または咽頭部の粘膜に局所的に作用して、それらの部位の炎症による痛み、腫れなどの症状の緩和を主たる目的とします。口腔咽頭薬には、トローチ剤やドロップ剤の他、口腔内に噴霧または塗布して使用する外用液剤があります。

例えば、このような文章があったとき、非常に長くて、読むのが疲れてきます。基本的にAnkiのカードを解くときはスピーディーに進めていくことが好ましいとされており、さらに、カードをシンプルにすることで記憶に残りやすい、ということもあるので、このような長文は短くシンプルにする必要があります。

上記の長文の場合
①口腔咽頭薬は、口腔内または咽頭部の粘膜に局所的に作用する
②炎症による痛み、腫れなどの症状の緩和が期待できる
③トローチ剤やドロップ剤の他、口腔内に噴霧または塗布して使用する外用液剤がある

と言ったように少なくとも三つの文章に分けることができます。これからさらに分解してもらっても良いと思います。

さらに、「トローチ剤やドロップ剤の他、口腔内に噴霧または塗布して使用する外用液剤がある」と言った列挙するタイプの文章であれば

・トローチ剤
・ドロップ剤
・口腔内に噴霧または塗布して使用する外用液剤

というように箇条書きにしたほうがわかりやすくそしてシンプルに見える場合が多いです。

そのように文章を分割できたら、それをそれぞれカードにしていきますが、文章を分割した分、カードの数が増えてしまって、かえって時間がかかってしまうのでは、と思うかもしれません。

しかし、全く逆で、カード一つにかかる時間が激減するので、最終的にかかる時間はむしろ分割してあげたほうが早いと思います。

トリガーと答えの方向性を意識する

過去問を解いていく中で、「あ〜、それ知ってるけど、でも出てこない...」というような状況になることがあります。そういう場合はほとんどが、トリガーと答えの方向性を考えることによって解決します。

表:ピリドキシン塩酸塩の別名→[...]
裏:ピリドキシン塩酸塩の別名→ビタミンB6

仮に上記のような問題があったとします。ピリドキシン塩酸塩の別名というトリガーによって、ビタミンB6という答えがわかったとします。では反対にしたらどうでしょう?

表:[...]の別名→ビタミンB6
裏:ピリドキシン塩酸塩の別名→ビタミンB6

反対にしたとき、意外と最初のパターンではわかったけど、反対にしてわからなくなった、という場合が多いです。

なので、両方の方向からのアプローチが必要になることがわかると思います。なので僕は基本的には薬の名前を覚えるときは

①薬の名前→効能・副作用・特徴
②効能・副作用・特徴→薬の名前

という順番でふた通りのカードを作るようにしていました。

過去問を年別ではなく項ごとに使う

過去問を解く際にほとんどの方が、平成O年度を最初から最後まで解く。というのを繰り返されていると思います。それも効果的であることは間違いありませんが、より効果的な方法はそうではありません。

R1 ① ② ③
R2 ① ② ③

上記のように令和元年(R1)の過去問があったとします。その場合① ② ③のような順番で解いていくことになると思います。しかしより効率的なのは、R1の①, R2の①というふうに項ごとに問題を解いていく方法です。それにより、同じ項を集中的に解くことができ、よく出る問題や、パターンをすぐに理解することができます。

しかし、そうやって項ごとに分けるというのは大変な作業だと思います。なので僕はすでに挙げましたが「過去問回して絶対合格!登録販売者前問題集」を使いました。

この問題集は項ごとに分けてあり、仕分けるような作業を全てしてくれています。これは時間を短縮する意味で非常にお勧めです。

カードの追加はGoogleスプレッドシートで素早く

Ankiを使っていく中でカードの追加は時間のかかる作業です。Ankiに追加する作業があまりに時間がかかる、ということを理由にAnkiを使うのをやめてしまう方もいるようです。

しかし、それは工夫次第で解決します。それはスプレッドシートを使うということです。スプレッドシートを使うことで、大量に情報を入力し、いっぺんにそれをAnkiに追加、ということができるようになります。

本来のAnkiについているカード追加の機能は情報を一つずつ入力して追加、入力して追加、という順番なので正直時間がかかります。その時間を短縮できます。

そして、スプレッドシートを使うと、カードに対してばらつきが生まれず楽、規則性を持たせてカードを作ることにも役立ちます。ぜひ使ってみてください。