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ベタ塗りの青春

青春と呼ばれる時季から一歩二歩と離れて、青春というの有り様が見えてきた。

青春は、

真っ白なキャンバスにペンキをべったり塗り付けるさまに似ている。


キャンバスはなんでもいい。紙でもいい、壁でもいい、地面でもいい。

色はなんでもいい。赤でも青でも緑でも黒でも。

とにかくたっぷりとペンキの入ったバケツから太いハケをがっ掴み、考えるより先にキャンバスに色を打ちつける。意味も目的もない。ペンキがこぼれ落ちても、跳ね返っても気にもかけない。

その生命力を全集中させ一点に爆発させる解放感と今ここに世界と自分は完結したかのような爽快感が、青春を青春たらしめる。


そしてそのときの感情と光景が強烈に、また僕に筆を握らせるんだ。キャンバスを用意させるんだ。


僕が僕自身の手で描きあげた最初の一枚。

その『青春』の一枚はいつも心の正面に飾ってある。


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