見出し画像

だから私はヒートテックを脱いだ。

10年代の終わりに

このタイトル、2010年代後半のブログっぽいですよね。10年代の最終期にしたためる記事としてはちょうど良いかもしれません。
若干タイトル負けですが。内容は、単に一人暮らしをしばらく続けてみて得た、実生活的な気づきの1つにしか過ぎません。

すなわち、ヒートテックが使いこなせない、ということです。
この気づきの要点は2つに大別されます。1つは「不発」、もう1つは「暴走」です。

(書いてみたらかなり偏った記事になってしまったんですが、ヒートテックにそれだけ悩んだ結果だと思ってもらえればと思います。)

ヒートテックの「不発」

ヒートテックの原理について、詳しくは公式サイトの解説等に任せますが、有り体に言えば、水蒸気が水に凝縮する際に発生する熱を利用しています。そして、その水蒸気を通常担うのは「汗」です。汗をかかなければ、熱は発生しないのです。

その点、平日はもっぱらデスクワークで、外はおろか自分の部署からも出ることのない事務職の私の身において考えると、そもそも職場や、電車等の高共通機関の中は、得てして室内着で足りるくらいに暖房が効いており、格別の防寒を必要としません。
冷気の中に身を投じることとなるのは、自宅又は職場から駅との間くらいなもので、その時間が一日に占める割合は極めてわずかですし、その間の移動ももっぱら徒歩です。

どこまで行っても、まず汗をかくことがありません
ヒートテックが上手く機能しないのです。

ヒートテックの「暴走」

いや、まだ機能しないだけならば良いのです。

上記のとおり、デスクワークの生活スタイルに照らして考えたとき、前節で示した、室内着で足りるくらい効いている暖房が、ヒートテックとあまりに相性が悪い。

この暖房がときに効きすぎると、大して身体を動かしていないのに汗をかき始める。
汗をかくと、ヒートテックが発熱し、更に熱くなる。
発熱したヒートテックをまとっていれば、更に体温が上昇し、また汗をかく。またヒートテックが発熱し、ますます熱くなる。
高温化のスパイラルに突入します。だんだんと頭がぼおっとしてきます。

これがアウターの重ね着で起こった場合は、脱げば済む話です。
しかし肌着となればそうも行きません。こと電車の中では絶対に逃れられない炎熱地獄。確かに不飲酒戒は破り続けていますが。

しかも、建物や乗り物の外に出た瞬間は、スパイラルの産物である汗がまだ残っており、吸湿発熱されるより早く蒸発で熱が奪われるような有り様です。

万が一汗をかき始めるような状況になると、ヒートテックの効果が行き過ぎてしまうのです。

だから「私は」ヒートテックを脱いだ。

いや、ここまでは、それこそデスクワークの人にとっては当然といいますか、こんな書き連ねるような話ではないとは分かっているのです。

現に今持っているヒートテックは、学生時代のまるで生活スタイルが違う時期に買ったもので(その当時も授業中などはやけに暑くなってしまうのでどうしたものかと若干悩んではいましたが)、現在のデスクワーク中心の生活スタイルに移ってからは、使いづらさばかり顕著に出て、メリットを感じにくくなり、自然と使わなくなっていきました。

その上で、なお現在の生活スタイルに照らして、無益であるとか、悪影響さえあるとかやたら主張するのは難癖を付けに行くようなものです。脱ぎゃいいじゃん。

しかし、では、ヒートテックってどのような人に相応しいのでしょう。

ユニクロの2011年8月の調査(「ヒートテック実態調査」※PDF)では、以下のような具体例が示されています。

・仕事が水産業のため合羽を着用するが、あまりごつい服は着れなかったので、薄くて温かいヒートテックは重宝した。
・ヒートテックは薄いので、就職活動の時、ブラウスの下に着ても着膨れしないので、冬用のスーツを用意する必要がなくなりました。
・北海道の雪かきに毎年、汗をかくぐらいです。
・薄くて温かいので旅行の際かばんがかさばらなくてとてもよい。
・震災の時、暖房器具が無く大変つらかったが、ヒートテックを着てしのいだ。
・震災で帰れなくなり、寒空で2時間バスを待った時、ボディウォーマーを着けていてよかったと思った。
(上記調査のプレスリリースから抜粋)

東日本大震災の直後ということもあって災害時のエピソードが並んでいましたが、それこそ昨年の北海道胆振東部地震などでもこのような声は上がっていたのでしょうか。

また、直近では、2018年の雑誌記事にて(公式なプレスリリースが見つからず恐縮ですが)、冬場の運動時に使われている旨と、運動時に着用することが適しているとの調査結果が併せて示されています。
これは、今回記事を書くに当たり調べる中でも散見された、登山冬のジョギング等でも(特に冷える点などを捉えて)使うことは望ましくないという主張への、公式なカウンターだったんだろうと思いますが。

さらに、おそらくは、こうした厚い防寒着を使えなかったり、極めて暖かくなる必要があったりする状況のような、ヒートテックの無二の特性が活かされるべき状況以外にも、普段の日常生活での活用法というのは色々あるのだろうとは思います。現にユニクロが毎冬、ヒートテックをあれだけ全力でセールスしているのだから、需要(販売実績)は十分にあるのでしょう。

しかし、上述したヒートテックの「不発」と「暴走」は、デスクワークの方はもちろん、それ以外の方でも十分に起こり得る気がしてなりません(特に電車の中では暑くなりすぎるとか)。

すると、では誰が、何のために買っているのか。
ユーザーの具体像が思ったより見えてこないのです。

ほかのユーザーの方々の身には、上述したヒートテックの「不発」と「暴走」はあまり起こっていないから使っているのでしょうか。
あるいは、起こっているものの、そのデメリットを上回るメリットのため使っているのでしょうか。
かなり気になるのですが、想像力が及ばず、無念です。

私は、ヒートテックを脱ぎました。

あなたが着る理由は、なんですか。


(ヒートテックを着た状態で書いたんですが、手先以外全然動かさないのでやっぱり寒いです。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?