成人式が「面白かった」という人を、僕は見たことがない。


僕には3歳の娘がいる。


オムツはまだ取れていないし、走ったらすぐに転ぶ。

「抱っこ〜><」と駆け寄ってきても片手でラクラク持ちあげられるし、「ウンチ!」と言えばほぼ100%で爆笑させられる。どこからどうみてもまだまだ子どもで本当に可愛い。


・・・・と、油断をしていたら事件が起きた。

なんと先週、よく見てみると、娘がお箸でご飯を食べているのだ。本当に驚いた。ついこの前まで納豆を手づかみで食べていた娘が、平然とした顔でお箸で大根を食べている(身体に優しいものばっかり食べてんな)。

「え?!いつから!?」と妻に聞いてみたら「いや、ずっと前だよ」とキョトンとしている。そうなのか。

僕が気づいていないだけなのか。もしかしたら、娘は知らない間にとんでもなく早いスピードで成長しているのかもしれない。なんと年明けにはバレエ教室に通うらしい。やっと部屋に飾ってある真っ黒なレオタードの正体がわかったのだった。


その日の夜、
ベッドで天井を見上げながら思った。

子どもは子どものままではいてくれない。当たり前だけど、少しずつ「大人」の階段を登っている。

とても寂しくて切ない気持ちになりながらも、僕は彼女の「大人になるまでの日々」をしっかり支えていきたいなぁと心が温かくなった。



でも、あれ・・・?
そういえば 「大人」っていつ始まるんだっけ。
僕はいつ「大人」を始めたっけ。
考えてみると、案外わからなかった。

美味しくない苦いビールを飲んだとき。
先輩から勧められたタバコを咥えてむせたとき。
緊張しながらも恋人と身体を交わらせたとき。
キョロキョロと戸惑いながら投票したとき。

うーん、どれも正解な気もするし、どれも不正解な気もする。もしかすると、大人ってこうして知らない間に始まっちゃってるものなのかもしれない。そんな風に思った。



次の日。
じゃあ、逆から考えてみよう、と思い立った。

大人って、どう始まれば素敵なんだろう?僕は最愛の娘に、どんな大人の始めかたをしてほしいのだろう?

色々な想いがあったけど、まず間違いなく即答できたのは、上述のような大人の始め方はしてほしくないってことだった。いつの間にか大人の世界に突入して、混沌の世界を周囲に迎合しながら彷徨うことはしてほしくない。


そうか。

そう考えてみると、何かを「自分の意志で選択した瞬間」こそ、大人のはじまりなのかもしれない。

この洋服が着たい、この部活に入りたい、この学校に行きたい。そういえば、僕も初めて「お洒落な洋服が着たい!」と泣き叫んだときはとても勇気がいったっけ。

大人とは、一つ一つの意思決定の積み重ね。
これはなんかいいな、と思った。


よし。

僕は「お祝いごと」を取り扱うプロデューサー。これまで結婚式や表彰式など人生が祝福されるステージをつくってきた。

だからこそ、娘のために、世の中のたくさんの子どもたちのために、最高の「大人のはじまりのステージ」を創ろう。そんなことを思ったのだった。


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それから数日。

ひょんなきっかけで「成人式」について考えてみるきっかけがあった。どうやら成人式があんまり盛り上がっていないらしい、という話題だった。

思い返してみる。
僕の成人式・・・どんなだっけか。



画像1



・・・鮮明に思い出した。

前日に久しぶりに地元に帰った僕は、飲み過ぎて二日酔いで成人式に参加。

市長だったか府長だったか、とにかく偉い人のながーーーーーい話と、聞いたことのない地元出身の芸人さんのお祝いのメッセージに耐えられるはずがなく、ほとんどを睡眠学習したのだった。

結果、残っている写真はたったのこれだけ。親はきっと「ハタチの記念がこれだけ?!」と目ん玉が飛び出てたと思う。そして、ガラが悪い。当時の僕はちゃんと「ここまで育ててくれてありがとう」って言ったのか心配になる。


この悲劇を思い出したことで、「世の中のみんなはどんな成人式を過ごしたんだろう?」と非常に気になってしまい、ネットで「成人式 アンケート」と調べてみた。

そうすると、面白いことがわかった。ざっくりのサマリだけど、その結果がこちら。

●成人式に参加したい理由 TOP3●
 ①晴れ着を着られる(約6割が同意)
 ②旧友に再会できる(約5割が同意)
 ③節目が良い思い出になる(約3割が同意)

どれもごもっともな理由で、特に違和感はない。でも不思議なことに、これだけ何十年も続いている行事であるにもかかわらず、見事に「中身=コンテンツ」への期待が一切無いのだ。

この「参加したい理由」を叶えるのであれば、成人式を開催することさえできれば目的は達成する。特に違和感もないままに「これが成人式か〜」と大人の入り口をくぐることになる。


なるほど。

成人式は「存在そのもの」が価値になっていて「中身=コンテンツ」は既に形骸化してしまっているのかもしれない。

確かに、僕は成人式を「面白かった!」と言っている人には出会ったことがない。

・・・あれ。

これって
結婚式とほぼ同じだ。


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娘と暮らす中で「大人のはじまりのステージ」があったらいいなと思いはじめた僕。そして、ひょんなきっかけで、代表的な「大人のはじまりのステージ」である成人式が形骸化していることを知った僕。

自ずと、成人式という機会をもっと素敵な「大人のはじまり」に出来ないかと考えるようになった。

ここからが本題であり、結論を言うと一緒につくってくれる仲間を探したいと思っている。


僕はさっき、大人のはじまりは「意思決定の積み重ねである」と書いたが、もし成人式が「人生最大の意思決定をできる日」に変化を遂げたならどうだろう。意思決定ができるための正しい知識や、多様な意見を知れる機会にできたらどうだろう。

煙草
お酒
コンドーム
政治
お金
保険
宗教
結婚
環境

きっと僕たちは、大した意思決定をしないままに、流されるように「好き・嫌い」や「やる・やらない」を決めてしまっていることがあると思う。

少なくとも僕は、これまで特にレールを逸脱することなく真面目に生きてきたけれど、これらを学校で教えてもらったことは一度もない。煙草はなんとなく吸ってないし、保険は信頼する友だちに全部任せてるし、コンドームに対する感情は一切ない。

それでも現時点で大きな失敗をしていないことが救いだけど、世の中には「知らない」ことで「正しい意思決定」ができずに、悔しすぎる失敗をしてしまう人や、取り返しのつかない結果に巻き込まれる人が多くいる。



そうならないために。

正しい意思決定ができる機会を、成人式という国民行事に背負わせるのはきっと素敵なことなんじゃないかと思う。

JTさん、サントリーさん、アフラックさんなど、パッと思い浮かべるだけでも、一緒にやれたら素敵だなと思う企業さんもたくさんある。



いつか娘が大人になって、成人式に参加した帰り道。

「パパ、私は煙草は吸わないことにする。でも、お酒は健康に良いものもあるらしいから飲んでみようと思う。お金のことはもうちょっと調べてみるよ。」

なんて言ってくれたなら、成人式を胴上げしてやりたくなる。きっと人生で最も「大人になったなぁ…」と感じる瞬間になっちゃうだろう。

大人は、始まるんじゃない。
大人は、始めるものだ。

全然どう始めていいか方法が分からないし、もちろん資金があるわけでもなく、絵に描いたようなゼロスタートな今。

でも、2020年。
かっこいいパパを、始めたい。
と思ってしまっている。

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