今って本当に変化の激しい時代なんだろうか。

「VUCAの時代には…」
「IT技術の発展により変化の激しい時代に突入し…」

ビジネス書の「はじめに」で現状を危惧する時に頻出するワード、「変化の激しい時代」
10年前くらいからずっと言われている気がします。

僕は組織設計などを支援する人事コンサルですが、「変化の激しい時代には、素早い意思決定ができる組織が強い」というフレーズをよく耳にします。

ティール組織という、階層型組織とは真逆の組織形、社員自らが企業の目的のために意思決定していく組織形も、一部でだいぶ流行っています。
(確か、ティール組織の本は10万部以上売れてたはずです。この売れ方は世界的に見て異常で、日本人の関心の高さが伝わります)

でも、日本の会社の多くが、ティール的な組織形になっているかと言うとそんなことはありません。個社差や時代の変化はありながらも、基本は階層型組織です。

興味関心は広がりながらも、一向に組織体の変化が形に現れない。

この現象に違和感を覚えることに時間はかかりませんでした。

何でこんな現象が起きているのか考える中で、一見正しい「変化の激しい時代には素早い意思決定ができる組織が強い」というフレーズに、僕は違和感を覚えました
特に前半部分。

組織設計に関わらず、ビジネス界でよく言われる「変化の激しい時代」。
間違った言葉かと言われるとそんなことは思いません。
歴史から見れば圧倒的スピードで社会の仕組みは変化していますし、事実1年前と流行っているものは変わっています。

でも、危機感を煽る=行動を促す言葉か?という観点では、僕はNoだと思います。

じゃあ、なんで危機感が醸成されないのか?
答えはシンプルで、「今でもなんだかんだ課題があっても、何とかなっているから」じゃないかなーと思います。

確かに時代の波についていけずに倒産している企業もたくさんあるけど、事業成長のための組織体の進化に悩む企業って、ある程度事業で一度は成功を抑めている企業だと思うんです。

そう言った企業は、今変化を起こさなくても事業は何とかなっているはずです。(長期的に見れば緩やかな衰退ではありますが)

なぜなら、多くの消費者も時代の速さについていけていないからではないかと思います。

確かに一部の界隈に住む消費者は、異常なくらいのスピード感で変化しているかもしれません。そう言った人が価値を感じるためのサービスを作る企業は変化を求められます。

しかし、多くの消費者は自分が興味のある分野だけは変化スピードに対応できても、多くの部分では最先端を走れていません。

つまり、消費者のボリュームゾーンは、時代よりも変化が遅い。

だから、そんな消費者を抱える企業たちは危機感を持ちづらい。

こんな構図が出来上がっているのではないでしょうか。

とはいえ、グローバルに目を向ければ時代の変化スピードに対応すべく、鬼のスピードで進化していく会社もいます。だから、日本の成長力を考えるとどうにか「変化の激しさ」で危機感を覚えさせなくてはならない。

この変化の激しい時代を、どんな言葉で言い換えすれば、より体に入ってくるのか?

考えてもまだ答えは出ないので、引き続き考えるのみです。




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