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企業分析レポート

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企業の事業内容や競争優位性、成長戦略等を分かりやすくまとめた分析レポートを配信しています。
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【4419】Finatextホールディングスのリサーチレポート

はじめに今回は、「金融を”サービス”として再発明する」というミッションを掲げ、日本の金融業界の変革に挑むFinatextホールディングス(以下、F社)の分析レポートを書いていきます。 F社に関しては直近でも多くの方が言及されているので改めて取り上げるか少し迷いましたが、この会社の事業ドメインのユニークネスや高い参入障壁、社員を大切にする企業文化等が非常に興味深く、学びになる部分が多くあるため、今回レポートとして取り上げることに決めました。 2021年12月に上場して以降

【4375】セーフィー(リサーチレポート)

はじめにセーフィー株式会社(以下、同社)は、2014年10月に設立された会社であり、「映像から未来をつくる」というビジョンのもとクラウドカメラ*1の販売と、クラウドカメラで撮影された映像を通じたソリューションの提供を行っている。 2021年9月に、本邦初となるコーナーストーン投資*2のスキームも導入しながら東証マザーズへ上場を果たし、設立から僅か7年であるにもかかわらず、一時は時価総額が2,000億円近くまで上昇した。 これほどにまで注目を集めていた同社だが、2022年に入

再生医療事業を手がけるセルソースが圧倒的な成長を遂げている理由

バイオベンチャーと聞くと、事業の不確実性が高く、株価のボラティリティも大きくなりやすいという理由でなかなかポートフォリオに組み込みづらいと考える投資家は少なくないと思います。 しかしそんな中で、創業以来ずっと黒字を出しながら、驚異的な成長を遂げている珍しいバイオベンチャーがあります。再生医療の領域で事業を展開するセルソースです。同社の売上高と営業利益のグラフを見ると、バイオベンチャーとは思えない推移となっていることが分かります。 また、株価の推移を見ると、2019年10月の

エムスリーはなぜ赤字を掘らずに継続成長できるのか?

昨年までの数年間は、赤字を許容しながら売上成長を追う会社が多く存在していました。そのような会社を受容し、とにかく売上高の成長率に着目して投資判断を行っていた投資家も増えていたし、IPO時にPSRでバリュエーションを行う事例も散見されました。 しかし、今年に入ってからは投資家のスタンスがガラッと変わったと言われています。米国でのインフレや世界的な資源高等の外部要因が大いに影響しているかと思いますが、「やはりちゃんと利益を出す会社に投資しよう」という風潮が強まっているのは明らかで

【6521】オキサイドの分析レポート

この数年間で最も株価が上昇した会社はどこか?と聞くと、レーザーテックを挙げられる方が結構多いと思います。レーザーテックは、半導体の欠陥検査装置等を製造している会社ですが、技術力の高さ故非常に高い市場シェアと参入障壁を有しており、非常に高い収益性を保ちながら成長してきています(詳細について以前YouTubeで話しているので、ご興味のある方は是非ご視聴ください)。 このレーザーテックは、「グローバルニッチトップ」という戦略を掲げています。グローバルニッチトップとは、ニッチな領域

グレイステクノロジーの粉飾は見抜けたのか?

2021年11月9日、マニュアルのクラウドサービスの提供やマニュアルの制作・コンサルティング等を手掛けるグレイステクノロジーが、過去の会計処理の適切性に疑念があるとして特別委員会を設置する旨を発表しました。 そして昨夜、特別委員会による調査の結果下記の不正が発見されたということが公表されました。 売上高の架空計上 売上高の前倒し計上 利益操作目的での外注費の架空計上 しかも今回はなんと、直近売上高の半分以上が架空売上であったということで、投資家をはじめとする関係者に大

【4375】 セーフィーの分析レポート

今年最も注目を浴びたIPO銘柄のひとつだと言えるセーフィー。気になっていながらもずっと調べられずにいたのですが、この会社、いざ深掘りしていくと非常に面白い&勉強になるポイントが多々あったので、今日はそんなセーフィーについての分析レポートを書いていきたいと思います。 セーフィーの概要沿革 セーフィーは、2014年10月に3名の共同創業者により設立されています。共同創業者は佐渡島氏、森本氏、下崎氏で、3名ともソニーからカーブアウトして設立されたモーションポートレート株式会社出