見出し画像

「ボーンズ・アンド・オール」異端者たちの美しくも悲しすぎる寓話

Amazon Primeで「ボーンズ・アンド・オール」(2022)をやっと観ました。監督は「君の名前で僕を呼んで」(2017)のルカ・グアダニーノ。

「君の〜」は甘いだけのラブストーリーかと思いきや、ラストに2回くらいのイベントが立て続けに起こる衝撃作かつ、めちゃくちゃ画期的な文芸大作。

続く「サスペリア」は打って変わって凄惨でプログレッシブな衝撃ホラー作。

この2作だけを見ても天才ということは明らかなのですが、この監督の頭の中は一体どうなっているのか、つかみ切れない作家性を見極めるためにも本作を見るのを楽しみにしていました。

結果的には、この作品もまたかなりの衝撃作。世の中に受け入れられない欲望を持つ異端者たちがお互いを発見し、ユナイトしていく、というのが全体のストーリーラインになっています。

トラウマになりそうなホラーなシーンが冒頭から連発なのですが、特に悲しくも衝撃的なのがクロエ・セベニー演じる、主人公の母登場シーンです。

主人公は自分を受けていれてくれるはずの母親を探す旅に出るのですが・・

一番の味方であるはずの唯一の血縁からも拒絶されてしまうことほどの悲劇がこの世にあるだろうか、と絶望的な現実を目の前に突きつけられる気がします。

数ある吸血鬼をモチーフにした寓話もそうなのですが、この作品も実は世の中に受け入れられないジェンダー問題がベースになっているような気がしています。★★★★

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?