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「赤い河」「破戒」「アダムス・ファミリー」今週の旧作映画MUST SEE

今週観た映画:
①「赤い河」(Red River, 1948) ハワード・ホークス監督 ★★★★★ アマプラ
②「破戒」(1948) 木下恵介監督 ★★★★★ U-NEXT
③「アダムス・ファミリー」(1991) ★★★ TSUTAYA

こんにちは。
自分で映画を撮り始める前に映画史に残る有名作を年代順に網羅的に見ることを自らに課して10年くらい前にスタートした映画1000本ノック企画、2年くらい掛かって漸く1940年代が終わりつつあります。

少し前に旧作借り放題プランに入会していた渋谷のツタヤが終了してしまい途方に暮れていたのですが、自由が丘店でプランが継続できることを突き止め、先日ラインナップを確認してきました。クラシック映画は壊滅的ですが、90年代以降の近作は何とかなりそうなので有用か、といったところ。この旧作見放題プランはなぜかU-NEXT見放題がついている神プランなので廃止にならないことを祈るばかり。(現在は新規入会停止、代わりの新プランもお得です。)

今週観た①はウェスタンの一大エンタメ大傑作。一万頭の牛の家畜と共に西部を大移動するスペクタクルが大迫力で、これがカラー撮影だったら近年のCGなど太刀打ちのできない絵になってたと思います。また、ウェスタンと言ってもインディアンとの闘いを描いている訳ではなく権力の暴走がテーマだったりするわけで、権力の濫用とキャンセル・カルチャーを描いた近作「TAR」とも共通するなと。この頃すでにお爺ちゃん味のあるジョン・ウェインと対立する若者役に若きモンゴメリー・クリフトが見れたのが収穫でした。

モンゴメリー・クリフトは、エリザベス・テイラーと共演した「陽の当たる場所」(1951)での繊細な演技が忘れられず注目していたのですが、ゲイの噂があったり謎も多く、興味がつきません。

本作では本人の内向的な繊細さに一見ミスマッチなカウボーイ役なのですが、粗野な乱暴なジョン・ウェインに対して頭が切れ、冷静で、思いやりのある優男役のジャクスタポーズが効いており、必見作となっています。

2本目②は「二十四の瞳」(1954)が忘れられずチェックを始めた木下恵介監督の戦後作。テーマは明治時代の部落差別問題。島崎藤村が原作だそうですが、日本にこんなにあからさまな差別が存在してたことにハッとさせられ、最後は涙無くしては見れない王道な作りの一本になっています。差別問題を扱った王道な作品としては近作ではオスカーを獲った「コーダ」(こちらは聴覚障害)が思い浮かぶのですが、単にメロドラマだけでは済まない社会派な問題意識が感じられ、自分の中では最大の評価を捧げたいと思える作品のひとつとなりました。木下監督の作家としての思想には最大限に共感するので膨大なフィルモグラフィを一本残らず見ることにしましたのですが、UNEXTに50本近くアップされており気が遠くなります・・

同時期にエリア・カザン監督がユダヤ人差別を扱ってオスカー作品賞・監督賞を獲った「紳士協定」(1947)があるのですが、勝るとも劣らないアッパレな社会派映画になっているのではないでしょうか。このようにシンクロする同時代性はとても興味深く不思議にも感じられます。また「二十四の瞳」でもそうでしたが、木下監督は子供の使い方がめちゃくちゃ上手いですね。子供の扱いのうまさは小津監督も同様ですが、おっさんになるほど涙腺を刺激されてしまい、ズルいとしか言いようがありません・・



3本目の「アダムス・ファミリー」は公開当時バカらしく感じられ完全スルーしてきたコメディのひとつ。ハロウィンとクリスマスの間のこの時期になぜか観たくなり、意外とバカバカしさを楽しみました。クリスティーナ・リッチ演じるウェンズデイはスピンオフとしてネットフリックスでドラマ化されているようです。監督はバリー・ソネンフィールドという人ですが、ティム・バートンのゴシック・コメディと作風が酷似しているので調べたら、この映画が公開された91年は「シザーハンズ」と「バットマン・リターンズ」の間に当たるので、作風をパクった訳でもなさそうです。「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」が94年なので、むしろティム・バートンの方がインスパイアされてしまったのかな、という気もしています。

ということで、また一週間、面白い映画に出会えますように。


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