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1.製造業の転機

先日、このような記事を見た。

記事冒頭で日本電産の永守会長の発言が載っている。彼によると、EVの価格は近い将来5分の1になるという。それによりトヨタの売上も激減するという予想だ。すべてを鵜呑みにはできないけど、少ならからず衝撃を受ける内容だった。


自動車の電動化というのはCASE(つながる、自動化、サービス、電動化)の4文字目のEのことだ。車のパワートレイン、つまりエンジンやトランスミッションなどの駆動系がモーターに取って代わられることを示す。

中国は2035年までにすべての車をEVにすると宣言している。

これにはハイブリット(HV)も含まれるというのが味噌ではあるが、純粋なガソリン車はどんどん禁止されていく流れだ。

これには電池に使うレアメタルが採掘できる中国がとことん有利な状況を生み出すための施策であるとも考えられる。米中摩擦が叫ばれる昨今、EVは地政学的リスクも含んでいる。


ともかく、自動車産業というのは製造業の中でもとにかく裾野が広く、雇用を生み出す産業だ。これがモータ駆動に置き換わることで構造は相当にシンプルになり、部品点数は減るだろう。

エンジンという内燃機関とトランスミッションのような複雑な制御システムを開発する必要もなく、スマホの延長のようなソフトウェアでの制御もされるようになるだろう。

インホイールモーター化したらデフやドライブシャフトもいらなくなる。そうなるとシャシーやボディというところくらいしかなくなる気がするが、このシャシーだってコモディティ化することによりコストは激減する。

このような状況になり、EV比率がどんどん上がってくると、従来の車の販売台数は減っていく。つまり部品メーカーの需要が減ってしまい、それは雇用の減少に直結する。

とまあこのようなことが心配されるんだけど、繰り返しになるが果たしてそんなに急速にEVが普及していくのだろうか。

ガソリンみたく数分で満タンにできるわけでもない急速充電ですら渋滞の列を作りそうだし、本当にバッテリーの容量をとことん増やすようなブレイクスルーを待つしかない気がする。

今でさえ車なんてそうそう買い換えるものではなく10年くらい乗る人だって多い。カーシェアなんかも騒がれているけどコロナに水をさされた格好だ。

今は先に言った中国の思惑で、つまり供給側の都合でEVシフトが急がれている気がどうしてもしてしまう。だって、そんなにEVに乗りたい環境って整っているだろうか?

寒冷地は?砂漠が多い中東は?長距離運転が多そうなアメリカなどではどうだろうか。

EVはシティユースから普及していく気がするのだ。その普及スピードは言われているほど早いのだろうか。

とはいえ、いずれこのような未来が来ることは確実なわけで、先細りが見える業界においてはより一層のコストダウン、効率化などで競争力を蓄えておく必要がありそうだ。

各個人も自分の業界がどのような激変にさらされるかわからない。今の会社でなあなあとやっていくのではなく、どこへ出ても戦える力を個人としてつけていく必要があるなという危機感を感じている。

まさに、製造業の転機が訪れているのだと。



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