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郵便局の消印からわかる大麻事情(未完)

一枚の葉書がある。この葉書の消印には「麻の葉」がしっかりと描かれている。この葉書は50銭の「稲束葉書」に1円50銭の切手が貼られ、〈小型記念通信日付印(こがたきねんつうしんにっぷいん)、通称〈小型印〉と呼ばれる消印が押されている。稲に大麻というのはいかにも日本らしい組み合わせだと思うのは僕だけだろうか。

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それはともかく、記念印と呼ばれるものには特印(特殊通信日付印)・初日印(初日用通信日付印)・風景印(風景入通信日付印)・小型印(小型記念通信日付印)の4種類があるが、この〈小型印〉は、地域の記念行事などの際に使用される直径32mmの消印だ。

消印の日付は〈昭和23年10月6日〉。栃木県上都賀郡鹿沼町が鹿沼市として市となったのは1948年(昭和23年)10月10日 だ。「鹿沼市々制施行記念」の文字が記されたこの消印からわかるのは大麻が「鹿沼市」を象徴する作物だったということだ、と決めつけたくもなるが、小型印は何かしらの行事などを記念して短期間の間だけ使用される消印だ。たまたま大麻のデザインが使用されただけということも考えられるが、ちなみに昭和23年は大麻取締法が施行された年ということを考えると現在からみた後付けではあるけれども「やるね!鹿沼!」と大麻に対する鹿沼の自負と気概を感じてしまう。

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そこでもう一つの消印を見てみたい。この消印は4つの記念印の中で風景印と呼ばれるものだが、1954年(昭和29年)9月11日〜1977年(昭和52年)4月21日までの約24年間使われていた消印だ。消印に麻の葉が描かれているのは見ての通りだ。残念ながら1977年(昭和52年)4月22日からの消印からは麻の葉はなくなってしまったのは時代の変遷なのか、残念でならない。また復活してくれないかなぁ。

また、別な郵便局だが同じ栃木県の吹上郵便局で使われていた風景印にも麻の葉を見ることができる。1974年(昭和49年)10月1日から使われていた風景印だ。こちらは伊咲山と名産の吹上大根、そして麻の葉とカイロ灰だ。カイロ灰にも麻は使われるからWで大麻が登場しているといっても良いのかもしれない。

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上記からわかるの「ほら、郵便局の消印になるくらい昔から大麻はあったんだ」ということではない。「鹿沼市」あるいは栃木県に於いて昭和23年10月6日の時点での大麻の立ち位置がわかること。そして1954年(昭和29年)9月11日〜1977年(昭和52年)4月21日の間は麻の葉のデザインが入った消印が使われていた、ということだけだ。

とはいえ「行政も分かってんじゃん!」「行政も分かってたんじゃん!」と少しは叫びたくなるのも僕だけではないはずだ。(未完)

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