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『大麻の研究』の研究編その1

「まずは読んでおきたい『大麻の研究』」


いろんな情報が飛 び交っている中で「日本における大麻のことをもう少しちゃんと知りたいなぁ」「実際、どうなの?」というときにベースとしてまずは抑えておきたいのが『大麻の研究』。

「まずは『大麻の研究』」と言っておきながら、実はこの一冊で大概のことは網羅されている。現状世の中に溢れている知識、あるいはそれ以上の知識が溢れていると言ってもいい。

『大麻の研究』について大麻博物館の高安淳一館長は「大麻博物館はこの本を基礎に運営しているといっても過言ではありません」と大麻博物館のまさに『大麻の研究』を紹介するページで述べてるくらい重要文献。そういやぁ、丸井英弘弁護士も『大麻の研究』を絶賛してたっけ。『大麻の研究』が好きすぎて二冊愛蔵している人もいて自慢されたなぁ(笑)。兎にも角にも「大麻を知るならこの一冊!として必ず名前が挙がるのが『大麻の研究』なのだ。

そんな貴重&重要な『大麻の研究』。それでも、できることならこの『大麻の研究』だけでなく『大麻の研究』をベースに、『大麻の研究』をベースにしていない知識の基礎となる本を数冊読んでみて欲しい。それは大麻を知るための基礎となる知識を確実なものにするという理由だけでなく、情報をクロスチェックして欲しいからだ。

その上で、より気になる部分があるならばより専門的な本や資料を探して見てほしい。また、本や資料をもとにそこに登場する土地を訪ねてみるのも本や資料だけでは見えてこないその土地ならではの物・事・人との出会いがあるだろう。とか言って、順番なんてニワトリとタマゴだからどうでもよくて、大麻に興味を持ってもらえるなら「大麻をやってる人」(笑)とかいろんなこと言われても、大麻について話せる人が一人でも増えるだけで何故だか嬉しくなるのです。

ただ、正しいものは正しいし、間違ってるものは間違ってるっていう知識がないと、自分にとって都合の良い知識だけを都合の良いように歪曲して理解してしまいがちだ。「公には言えないけど」みたいな話がゴロゴロしているのも問題だ。そして何故だか大概眉唾か間違った知識や思い込みであることが多い。そんなのはその人自身にとっても不幸な事だし、世の中との乖離がより一層進んでいくだけだ。だから誰かに聞いたとか誰が言っていたというだけでなく、「それって本当?」「それって正しいの?」っていう「?」を大切にして欲しいのだ。いくつかの資料や文献、本などにあたり違った視点や立場からのクロスチェックが大切だ。本や人によって同じことを語っていても中身がまるっきり違っていることが度々ある。

大麻に関わる中でありがちな業界言葉や業界内・身内だけで通用する知識や理屈や言葉は誰のためにもならない。そのような事態を打開するためにも大麻を知るための共通の土台として『大麻の研究』はひとつの指針でありバイブル足り得るもののように思える。

そんなこんなで、本題。

『大麻の研究』は長谷川榮一郎・新里實三の二氏を著作者として1937年9月20日(昭和12)に栃木県上都賀郡鹿沼町(現・鹿沼市)の長谷川唯一郎商店が発行した163ページの書籍。

なぜ『大麻の研究』を僕がここまで強く勧めるかというと、それは目次を羅列するだけでも分かってもらえると思う。歴史という縦軸と現状という横軸がしっかりと網羅され、「大麻って何?」が総合的に書かれているのだ。

そしてもうひとつの理由として、1937年(昭和12)という戦前の本をどうしてここまで勧めるかというと、この『大麻の研究』が1937年(昭和12)における日本の大麻について体系的にまとめられた貴重な資料であるとともに、ある意味日本における大麻について体系的にまとめられた最新の本だからだ。

しかし、『大麻の研究』という表紙を眺めるだけでよく分からないけどドキドキしたりニヤニヤがとまらなくなるのは何故なんだろう(笑)。

で、さっそく読みはじめたいところだが、本を開くとまず飛び込んでくるのは「口絵及序文」。そうそうたるメンバーで目次や本文に辿りつく前に「なんじゃこりゃ〜(古い)」とお腹いっぱいになりそうなくらい。戦前の、国や県を代表するような人たちがどれだけ大麻に期待を寄せていたかがわかる。

・昭憲皇太后
・枢密顧問官陸軍大将 男爵 奈良 武次 閣下
・前内閣総理大臣 海軍大将 米内 光政 閣下
・元農林大臣 伯爵 有馬 頼寧 閣下
・元商工大臣 吉野 信次 閣下
・衆議院副議長 田子 一民 閣下
・元宇都宮高等農林学校長 山縣 宇之吉 閣下

あ、僕が参考にしているのは1940年9月10日(昭和15)に再版発行されたものだから初版とは少し肩書きが変更されている。例えば、米内光政をみると、初版の肩書と再版版は違う。海軍大臣海軍大将→前内閣総理大臣 海軍大将に変わっている。米内 光政が内閣総理大臣を務めたのは1940年1月16日 (昭和15)〜1940年7月22日(昭和15)の短い期間だし、太平洋戦争(1941年12月18日〜1945年8月15日か9月2日)の終戦間際には海軍大臣に再登板するんだからまさに激動の時代、さらなる激動の時代の前哨戦ともいうべき時代に『大麻の研究』は誕生している。

『大麻の研究』はそんな大東亜戦争の初期、太平洋戦争に突入する前の時代を背景にした本だ。「『大麻の研究』の研究」では、初版から3年後の再版には多分誤記などの訂正、多少の加筆や新しいことも有るだろうという前提で再版版をベースに話を進めていきます。まぁ、初版が手元にないだけなんだけど(笑)

関連年表
1936年2月26日(昭和11) 二・二六事件
1937年2月2日 (昭和12) 米内光政、林内閣(第33代)海軍大臣就任
1937年7月 (昭和12) 日中戦争(支那事変)勃発
1937年9月20日 (昭和12)『大麻の研究』発行
1938年4月1日 (昭和13) 国家総動員法(昭和13年4月1日法律第55号)5月5日施行
1940年1月16日 (昭和15) 米内内閣(第37代)発足
1940年7月22日 (昭和15) 米内内閣辞職
1940年9月10日 (昭和15)『大麻の研究』再版発行
1940年9月27日 (昭和15) 日独伊三国間条約(日独伊三国同盟)
1940年10月12日(昭和15)大政翼賛会発足
1941年12月18日(昭和16) 太平洋戦争勃発

※文末になって恐縮です。まずは関連ページを小出しにしますが、「『大麻の研究』の研究」の最後には『大麻の研究』をまるっと掲載する予定です。僕の与太話はともかく、『大麻の研究』に一度目を通してみてくださいm(_ _)m

長谷川榮一郎
※詳細追加対象
新里實三
※詳細追加対象

大麻博物館
2001年の開館の栃木県の那須高原にある「私設」博物館。館長高安淳一。
http://taimahak.jp

丸井英弘
弁護士。1944年愛知県名古屋市生。国際キリスト教大学、東京教育大学卒業。大麻取締法違反事件を100件以上担当。
麻と人類文化(丸井英弘弁護士HP)
http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/

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