公平であろうとするほど陥る罠
問) 二人のけちな酒飲みがいる。
形の違うコップが二つだけあり、そのいっぽうに酒がつがれている。
この一杯を、二人で分けて飲もうということになったが、両方から、
ぜったいに文句の出ないように酒を分けるにはどうすればよいか。
(制限時間20分)
↓ 解答は一番下に記載してあります。↓
いびつな形をしたコップの酒を目分量で正確に二等分するのは不可能です。
社員さんの評価も同じです。能力や業績を100%正確に計測できる物差しはありません。
営業は数字で評価できるといいますが、担当する地域や顧客が各人異なりますので、個人間の能力や業績の差異を厳密に判定することはできません。
つまり、絶対的に公平な評価は存在しないのです。
このことをしっかり認識しておかないと、ドツボにはまります。
人事評価シートや人事考課表を作る段になると、部下の仕事ぶりをなるべく正確に評価しようと、やたら細かい項目や基準を並べてしまいます。
上司の皆さんからすると、自分の評価によって部下の給与やボーナスが決まってしまうので責任重大です。
部下の納得が得られるようにと考えれば考えるほど、だれが評価しても決して結果がぶれない精密な評価基準を追求したくなるのです。
度が過ぎると、24時間部下を監視し、寝食を共にしなければ評価できないような代物が出来上がってしまいます。
人事評価シートや考課表の精度を上げるのは大切なことですが、社員さんの公平感や納得感を醸成する方法は他にもあります。
① 評価シートや考課表の内容をオープンにする。
② 新制度のスタート時に現状の評価結果を伝えておく。
③ 評価の頻度を短くして、都度こまめに、少量の評価結果をフィードバック
する。
①は言わずもがな。②は、上司と部下の間で、評価の物差しを最初にすり合わせておくという意味です。
実は、③が評価制度がうまく行くかどうかの最大のポイント。
③を突き詰めて、さらに突き詰めていくとどうなるか。
上司が日々口うるさく注意し、部下が普段耳にタコができるほど聞かされていること、つまり日頃のコミュニケーションがそのまま評価結果に反映されます。
上司、部下双方にとって円満な人事評価制度になりますよ。
↓ 冒頭の問いの解答 ↓
まず、一人が、自分がどっちをとっても文句がないと思うまで、
じっくりと酒を二つに分ける。つぎに、もう一人が、その二つのう
ち、自分のほしいと思うほうを一つ選ぶ。そして残ったほうを、は
じめの男がとれば、両方から文句の出るはずがない。
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