雪のよるは
真夜中に目が覚める。辺りが不自然なほど静かで空気がぴんと張りつめているとき、雪が降っていると感覚でわかる。
寒いのは大きらい、雪も好きじゃない。
まどろんだまま耳を澄ますと、徐々に近づく、シャン、シャンという除雪車のおと。
サンタクロースがきたみたいな、まるで無害な響き。
ぬくぬくと布団に包まれて、絶対安全領域にいるんだとひたる時間。つかの間の幸福。
あと数時間で現実に引き戻される。
音がふえて、雪が抱えきれなくなる。そしてまた一日が始まる。
いつまでもぬくぬくとしていたいけど、朝になったらちゃんと出かけていく。
そういうふうにできているから、どうか真夜中は安全な場所に居させて。