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【百年ニュース】1921(大正10)年11月6日(日) 米国の小説家ジェームズ・ジョーンズがイリノイ州で誕生。大戦中はハワイ駐屯で真珠湾攻撃に遭遇。ガダルカナル島の戦いにも従軍。戦後『地上より永遠に』がベストセラーに。映画化され第26回アカデミー賞で主要8部門を受賞。1977年5月9日死去,享年55。

米国の小説家ジェームズ・ジョーンズ(James Ramon Jones)がイリノイ州クロフォード郡ロビンソンで生まれました。1939年17歳で陸軍に志願し、ハワイ・オアフ島駐屯の第25歩兵師団第27歩兵連隊に配属され、真珠湾攻撃を目撃することとなります。のちジョーンズはガダルカナル島の戦いに従軍し、足首を負傷しましたが、テネシー州メンフィスの病院で手術を受け回復しました。

大戦後は執筆活動に入り、真珠湾攻撃での体験を描いた1951年の著作『地上ここより永遠とわに(From Here to Eternity)』が360万部を売り上げるベストセラーとなりました。

『地上より永遠に』は2年後の1953年に映画化され、こちらも興行収入1,220万ドルの大ヒットとなります。第26回アカデミー賞では最多の13部門でノミネートされ、作品賞を含む主要8部門を受賞しました。監督賞のフレッド・ジンネマン(Fred Zinnemann)、助演男優賞フランク・シナトラ(Frank Sinatra)、助演女優賞ドナ・リード(Donna Reed)等です。なおこの第26回アカデミー賞において主演女優賞を受賞したのが、『ローマの休日(Roman Holiday)』に主演したオドリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)です。

この映画でカムバックを果たしたフランク・シナトラの出演経緯には有名なエピソードがあります。当時すでに落ち目であったシナトラは、大ヒット間違いなしのこの映画への出演を復活のきっかけしようと目論見ます。明るく陽気なイタリア系アメリカ人兵士「マッジオ」は、仲間外れにされた兵士の味方をし、自身も軍隊内の虐待でみじめに死ぬという印象深い役どころでした。しかしシナトラは女性スキャンダルにより配役を逃してしまいます。シナトラはサム・ジアンカーナ(Sam Giancana)やカルロ・ガンビーノ(Carlo Gambino)、ラッキー・ルチアーノ(Lucky Luciano)らイタリア系マフィアと親密な関係にありましたが、これらの大物が裏で動き、シナトラは最終的にこの役柄を獲得することが出来ました。

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このエピソードは映画『ゴッドファーザー』(1973)において描かれています。たいへん有名な場面です。アル・マルティーノが演じた人気歌手ジョニー・フォンテーンは、フランク・シナトラがモデルです。ジョニーは落ち目のキャリアを立て直すきっかけとして、ある戦争映画への出演を望んでいましたが、映画会社社長ジャック・ウォルツは、5年をかけて大事に育てていた女優の卵を、ジョニーが誘惑してダメにしてしまったことを恨んでおり、出演を認めません。ジョニーがドン・コルレオーネに泣きつくと、彼はジョニーにメソメソせずに男らしく振舞えと叱咤し、「心配するな、奴らに決して断れない申出をする(I'm going to make him an offer he can't refuse.)」と静かに語ります。

コルレオーネ・ファミリーから弁護士のトム・ヘイゲンが映画会社のジャック・ウォルツ社長のもとに派遣され、ジョニー・フォンテーンの出演を依頼しますが交渉は決裂。翌朝ウォルツがベッドのなかで目を覚ますと、自身が60万ドルで買った愛馬「カーツーム」の切断された血まみれの首が、寝ている間にベッドのなかに置かれていたのでした。恐怖したウォルツはジョニーの出演を認めることになります。

さて『地上より永遠に』の原作者ジェームズ・ジョーンズは1962年に再びベストセラーとなる『シン・レッド・ライン(The Thin Red Line)』をあらわします。こちらはガダルカナル島の戦いを描いたもので、1964年と1998年の二度映画化されています。1998年版はテレンス・マリック(Terrence Malick)監督、ショーン・ペン(Sean Penn)主演で、第49回ベルリン国際映画祭において金熊賞を受賞しています。

1977年5月9日、ジェームズ・ジョーンズは最後の作品となる『ホイッスル(Whistle)』を執筆中、ニューヨーク州サウサンプトンで心不全のため亡くなりました。享年55歳の惜しまれる死でした。なお執筆中であった最終作『ホイッスル』ですが、残された最終章を完成させるための豊富なメモが残されていたため、15歳年下の忠実な門弟であったウィリー・モリス(Willie Morris)が完成させ出版されました。のちウィリー・モリスは早世した師匠ジェームズ・ジョーンズの伝記『James Jones: A Friendship』(1978)も著しています。

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