【百年ニュース】1920(大正9)9月19日(日) 田中義一陸軍大臣が小田原古稀庵に山県有朋を訪問。田中が辞任を思い止まる代わりに自由に行動する、すなわち参謀本部(上原勇作参謀総長)に対する陸軍省の優位を認めるよう山県から言質を取る。原敬首相と田中の想定通りの展開に。マスコミは相変わらず会談内容知らず。
「田中陸相昨日山縣を訪問せし由にて,その大要を物語り,大命によりて留任したる旨を告げ,なおすでに留任する以上は,何人が自分の進退もしくは仕事につき何を言うも取り上げなきを望む,首相に言われたるところにては跡は引受らるると言われたる由なるが,陸軍は部内になかなか面倒あることは首相はじめこれを知りおることなり,その辺につき十分のお考えを願いたしと言いたるに,山縣はなかなかむつかしき言い分なり,その辺まで如何にも細かき注意なりなど言いたるが,つまりこれを諾せりと言えり。
なお辞表のことは陸軍部内に多少これを知る者あり,不思議に思いたるが山縣はその副官にこれを漏らしたる由,山縣自らこれを言えり,すなわちこれより漏れたるなりと言えり(上原が従来の態度を異にし不可解なりと田中過日言いたるがこれもそのためならん)」
『原敬日記(1920年9月21日条)』
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