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【百年ニュース】1921(大正10)6月28日(火) 下田歌子が原敬首相を訪問。皇太子裕仁親王の欧州訪問に反対していた母親の貞明皇后は,今や訪問の成功を見て大変満足していると原に伝えた。原はこの時期元老山県有朋だけではなく,皇室の中心的存在の貞明皇后の信頼をも勝ち取った。

皇室内に影響力を持つ愛国婦人会会長の下田歌子が原敬首相を訪問しました。皇太子裕仁親王の欧州訪問に反対していた母親の貞明皇后は、今や訪問の成功を見て大変満足していると原に伝えました。原はこの時期元老山県有朋だけではなく、皇室の中心的存在の貞明皇后の信頼をも勝ち取っていました。

下田歌子来訪,愛国婦人会の状況を物語りまた婦人思想の乱れたる嘆息談をなしたり。宮中のことに関する内話に,皇太子殿下ご洋行ご成功につき,(貞明*)皇后陛下今はおおいにご満足のご様子なり。また内閣更迭の説,新聞紙に掲載ありてご心配のご様子なり,如何と言うにつき,余今辞する様なる言説をなしたることなきも,反対者らはしきりにその説をなすも笑止なり。とにかく目下は(裕仁皇太子*)殿下もご不在なり,この間に政界の同様を起こすようなことは絶対になさざる考えなりと言いたるに,下田はこれを申し上げなばご安心も之あるべしと言えり。

原奎一郎編『原敬日記 第五巻 首相時代』福村出版,1981年,405頁 〔*は引用者註〕

下田歌子

原敬5

貞明皇后


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