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「がん 生と死の謎に挑む」 立花隆 著 文春文庫

がんに罹ったらどうしよう・・・と思いました。

がんは、この治療法で完全に制圧できるというものではないのだそうです。人それぞれにその人ならではの「がんの顔」があると言ってもよいのかもしれません。そのため、がんには、オーダーメイドの治療が必要なのだそうです。


抗がん剤は、絶対ではなく、できることは限られているとのことです。

「抗がん剤で完治が望めるがんは、きわめてかぎられたものです。小児がん、液性のがん(白血病などの血液がん)は確かに抗がん剤によって治る病気になったということができますし、リンパ腫なども抗がん剤治療によって治ることが期待できます。しかし、その他一般の固形がん(血液がん以外のがん)については、絨毛がん、睾丸腫瘍、胚細胞腫瘍など以外は、完治は望めず、症状緩和、延命効果しかありません。p.75」


抗がん剤による延命効果は2ヶ月ぐらいだと言います。しかし、抗がん剤など無駄だとは、立花さんは言っていません。多分、そこは、個人個人が考えて決定すべきことなのでしょう。


本の中には、ジャーナリストの筑紫哲也さん、俳優の松田優作さん、物理学者の戸塚洋二さんの闘病から最期までについて書かれた部分があります。


モルヒネを拒否して痛みに耐えた筑紫哲也さん、治療よりもブラックレイン出演を選んだ松田優作さん・・・壮絶です。自分のがんの状況を科学者らしい視点で整理しブログに綴っていた戸塚洋二さん。それぞれ、がんに対する向き合い方があります。


立花さんは、ご自身のがんへの向き合い方について、以下のように語っています。


「僕の場合、少しでも長生きしたいというより、少しでも長く知的生産活動(本を書くという行為)をしたい。同時に良質の知的消費活動(良質の読書。頭をかなり使わないと読めない本を読んで楽しむ。あるいは良質の芸術鑑賞活動をする)を維持したいという思いがあるからです。それが不可能になったら、ただ生存をつづけるだけという生を維持するために大枚をはたきたいとは思わないからです。pp.84-85」


「僕はそんなに苦痛に耐える自信がないので、痛みがきたらすぐ「モルヒネを使ってください」と頼もうと思っています。p.88」


僕も、立花さん的なのがいいです。できるだけ頭をクリアにして、痛くなったら、我慢したくないので、痛みを緩和していただくと言う感じです。


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