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「国境のない生き方」ヤマザキマリ 著 小学館

ヤマザキマリさんは、自然体です。世界中のどこに行っても卑屈になることはありません。そして自分の好奇心を大事にされているように感じました。そうしたヤマザキさんの人格は、生まれながらも多少はあるのかもしれませんが、ほとんどが自分自身の体験から獲得してきたものだと思います。


ヤマザキさんのお母さんは、オーケストラのヴィオラ奏者で、札幌交響楽団初の女性団員(p.9)です。入団に伴い、ヤマザキ家は、東京から北海道に移り住みます。お父さんは、早くに亡くなっています。


お母さんは、「大自然と旅、そして書物が、娘を育むための大事な要素だ(p.4)」と考えていました。


ヤマザキさんは、「母の思惑通り、生活習慣も宗教も考え方も違う人々をたくさん見てきたおかげで、周囲とは違う自分の特異性に対しても負の気持ちを抱いた事は一度もありません。(p.5)」という人になっていきます。


その結果、いろんな文化や価値観の中でも、ヤマザキマリという個を見失うことはないのでしょう。


ヤマザキさんは、イタリアでの生活が長いのですが、ヨーロッパの社会においては「自分の考えをアウトプットすること」は必須の能力でもある(p.79)とのことです。そうしたアウトプットは、自己主張して、相手を圧倒することでも、優劣や勝ち負けを競うものでもないのだそうです。彼らは、教養に経験を積ませているんです(p.79)。


ヨーロッパでの生活を通して、ヤマザキさんは、「ボーダー」を越えていく力(p.85)を獲得していったのでしょう。



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