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「何のために生まれてきたの?」 やなせたかし 著 PHP

やなせさんは、遅咲きです。漫画家としてはなかなか食えなかった。アンパンマンの元祖となる絵本の登場は、やなせさんが五十四歳の時。テレビでアニメが放映されたのは六十九歳の時です。


やなせさんは、人生の後半でアンパンマンと出逢い運を掴んだのですが、それは、売れなくても漫画を描き続けたからこそ掴んだ運です。やなせさんは言います。


「何かしら運というのはやってくるんです。その時に、パッとつかむんです。ただ、つかむためには、自分がやり続けていないといけない。」


準備をしておいて、運に巡り逢えた時、パッと掴むということでしょう。


やなせさんは、「人生っていうのは一種のかなしみがあるんです」と言います。どういうことかと言うと、例えば、正義についてやなせさんは、「正義には一種のかなしみがあって、傷つくこともあるんです。そんなにかっこいいもんじゃない」と書いています。やなせさんにとっては、悪役をバッタバッタとやっつけるのがヒーローというわけじゃないんです。きっと、倒した相手の痛みも感じるのでしょう。だから正義が勝ったとしても、そこにはかなしみがあるんです。


「自分が晩年になって、このヒーローとめぐり逢ったわけです。つまり人生の夕日に。君に逢えてよかったなという思いですね」とやなせさんは語っています。


そういうふうに自分の人生を語れるなんて、やなせさん、カッコいいです。


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