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「直観脳」 岩立康男 著 朝日新書

もし、僕が椅子にもたれかかって、ボケーっとしているように見えても、どうかサボっていると思わないでほしい。


僕の脳の分散系が働いていて、無意識の中で、「環境から新しい情報を得て、それを自分の意味記憶ネットワークに落とし込み、新たな結びつき・ネットワークを作り上げる(p.159)」という「考える」作業を行っている最中なのです。


やがて、直観が、Aha!体験と共に表出するでしょう。実は、「直観こそゆっくりと形成されるものであって、私たちはその無意識の中での過程を意識できていないだけ(p.131)」なのですから、サボっているように見えても、「無意識の中にあって、言語化しにくい意味記憶(p.25)」が、僕の頭の中でうごめいていていて、それが直観になるまで少々時間がかかっているだけなのです。

お待ちください!必ずや僕の分散系が、画期的な発見をお伝えする時がくるでしょう!


一方、「やるべきことが決まっており、解決すべき問題が存在し、目標がはっきりしていれば、あとは集中してその解決に取り組んでいけばいい(p.54)のです。ですから、分散系とは逆の集中系も必要です。


ただ、何かを生み出そうとする場合、集中は、かえって邪魔になる(p.54)のだそうです。言語化は直観を妨げ(p.66)、怒りや恐怖は、想像力の邪魔をします(p.78)。


そして、喜びに満ちている人ほど創造力があり、新たな情報に貪欲であり、柔軟で効果的な思考を行い(p.83)好奇心がネットワークをつなぐ(p.89)のだそうです。


リラックスした"集中しない時間"は必要なんです。「無意識の中に豊富に蓄えられた体験知をつなぐ分散系のネットワークが働き出す(p.207)」からです。


著者によれば、「何か重要なことを決める際には、決めるまでに可能な範囲で時間を使い、かつその後しばらく間を置いておき、自分の中に違和感が生じていないことを確認した方が、良い判断ができる場合が多い(p.203)」のだそうです。


さあ、ボケーっとしよう!



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