生成AIで一番儲けていたのはコンサルでした
はじめに
世の中に新しい技術が登場するとき、いつも耳にするのは「これが未来だ!」という大合唱。しかし、その未来で誰が本当に儲けるのかは全く別の話だ。生成AIの波において、その答えは明白だ。実際に利益を手にしているのは、AIを作った人々ではなく、コンサルタントたちなのである。
参考記事:
生成AIのカラクリ—「使えないのに、使わなきゃいけない」
AdobeやSalesforceが生成AIを導入し、その可能性を高らかに宣言したにもかかわらず、彼らの株価は急落した。一方で、Boston Consulting GroupやAccentureは笑いが止まらないほどの収益を上げている。どうしてこんなことになったのか?
それは、生成AIが一種の「ハイテクのお守り」になっているからだ。企業は「AIを導入していない」と周囲に思われるのが怖い。だが、実際にはどう活用していいのかわからず、四苦八苦している。まるで全自動パン焼き機を買ったものの、パンのレシピを知らない家庭のようだ。
ここで救世主として登場するのがコンサルタントたちだ。彼らは「パン焼き機を最大限に活用する方法」を指南する。しかし、実際には「レシピが分かっていないのはあなたの責任ではありませんよ」と相手を安心させることが主な仕事であり、その過程で天文学的な額を請求するのだ。
Accentureの具体例—「儲けのプロフェッショナル」
Accentureが2024年上半期だけで生成AIプロジェクトで36億ドルを稼いでいるというのは衝撃的な数字だが、さらに注目すべきはそのビジネスモデルだ。彼らはまず、企業が抱える「漠然としたAIへの不安」をターゲットにする。そして、「生成AIが未来をどう変えるか」というパワーポイントを数十万ドルで提供する。
実際のプロジェクトでは、AIモデルを作ったりトレーニングしたりはせず、「生成AIで成功したいなら、まず自社のビジョンを定義しましょう」というアドバイスをする。この「定義の手伝い」に何百万ドルも払う企業が続出しているのだ。
驚くべきは、この方法が成功していることだ。AIプロジェクトで何をしたらいいか分からない企業に、「それを一緒に考えますよ」と言うだけでビジネスが成立する。これを見て、生成AIスタートアップたちはこう呟くだろう。「その手があったか…!」
他の具体例—IBMの巧妙な手法
IBMのコンサルティング部門も、生成AIの収益化で成功している。彼らは「WatsonX」というAIプラットフォームを大々的に宣伝し、コンサルティング契約を次々と締結している。しかし、面白いのは、彼らが実際に提供するのは「WatsonXを導入するための準備」を整えるサポートだけである点だ。
例えば、ある製造業のクライアントは「WatsonXで生産性を向上させたい」と相談したが、結果的に得られたのは「会議で使うスライドの作成サポート」という何とも微妙な結果だった。それでも、企業側は「何かが進んだ」と満足し、IBMには数百万ドルが支払われたのだ。
生成AIスタートアップたちの悲劇
これに比べると、生成AIスタートアップたちはまるで海底で酸素を求める潜水夫のようだ。彼らは膨大な資金を投じてモデルを開発し、サーバーを維持しながら、収益を生むための解を模索している。
Anthropicは年間2億ドルしか稼いでいないのに、運営費用はその10倍にも達している。一方、OpenAIはかろうじて利益を出しているが、それでも彼らがしていることは「AIモデルを売る」のではなく、「モデルの使い方を教える」ことが大半だ。結局、彼らもコンサル的なビジネスを採用しているのだ。
コンサルの美学—「手を汚さずして儲ける」
コンサルタントたちの成功は、まさに現代資本主義の縮図だ。彼らは「作る」のではなく、「教える」ことで利益を得る。この構図は、次のような風刺にぴったり当てはまる。
生成AIスタートアップ: 山を掘って金鉱を探す。
大企業: 金鉱を掘る道具を買うが、使い方が分からない。
コンサルタント: スーツを着て現れ、「掘るべき山」を指差す。
そして一番儲けているのは、シャベルも持たずに「その山で正解ですよ」と言っただけのコンサルタントなのである。
そしてこのテンプレートは永遠に繰り返されるのであった…
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