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【ChatGPT】日清食品グループにおけるChatGPT導入と業務改善への取り組み


はじめに

2024年3月にIRでリリースされたPDFドキュメントですが、生成AIの組織による良い活用事例だと思いましたので、ご紹介させていただきます。

(元データ) https://www.nissin.com/jp/ir/library/event/pdf/20240314_2.pdf

日清食品グループは、生成AI技術を活用した業務効率化と生産性向上のため、ChatGPTを導入しました。本レポートでは、上記公開資料の記述をもとに、ChatGPTの業務への導入プロセス、具体的な活用事例、リスク対策、そして業務改善への取り組みについて詳述します。

1. ChatGPTの業務導入プロセス

1.1 導入の背景

生成AI技術の急速な進化を受け、日清食品は業務効率化とイノベーション促進を目的にChatGPTを導入しました。特に、GPT-4 Turboという最新技術を基盤とした“NISSIN AI-chat”を開発し、PC版とモバイル版の両方を展開しました。

2. ChatGPTの具体的な業務活用事例

2.1 営業領域での活用

2023年5月から、全国8ブロックの営業拠点でプロジェクトを開始し、以下のSTEPで進行しました:

  1. 対象業務の洗い出し:ChatGPTを活用する業務を特定すること。

  2. プロンプトエンジニアリング研修:ChatGPTに対する指示の出し方を学ぶ研修。

  3. プロンプトテンプレートの作成:指示を出すためのテンプレートを作成すること。

  4. 効果算出と成果報告:ChatGPTの活用効果を測定し、結果を報告すること。

営業領域では、以下のような業務でChatGPTが活用されています:

  • ターゲット設定:販売対象となる顧客層を決定すること。

  • インサイト調査:消費者の行動やニーズを調査すること。

  • プロモーションリサーチ:効果的な販売促進方法を調査すること。

これらの取り組みの結果、営業部門でのChatGPTの月間利用率は2023年5月の28%から11月には68%に増加しました。

2.2 マーケティング領域での活用

マーケティング部門では、新商品のフレーバー提案、プロモーション案検討、プレスリリース(報道発表資料)の作成など、多岐にわたる業務でChatGPTが活用されています。これにより、業務効率化とクリエイティブなアイデア出しが促進されました。

2.3 社内問い合わせ業務の効率化

社内問い合わせ窓口の回答履歴をGPTに学習させることで、回答内容の質向上と対応工数の削減を実現しました。これにより、適切な回答のヒット率が2023年10月の55%から2024年3月には70%に向上し、作業工数の削減率も同期間に24%から32%に改善されました。

3. リスク対策

3.1 ガイドラインの策定と啓蒙活動

ChatGPTの利用に際するリスクを最小限に抑えるため、ガイドラインの策定、説明会の実施、社内報やシステム上での注意喚起など、継続的な啓蒙活動を行っています。

3.2 セキュリティ対策

専用の環境を構築し、業務利用をその環境に限定することで、情報漏洩リスクを低減させています。また、個人情報や取引先情報などの機密情報が外部に流出しないよう厳重な対策を講じています。

具体的なリスク対策には以下が含まれます:

  • 不正確な情報の流用リスク:ChatGPTが提供する情報が不正確である場合、その情報を利用することで誤った意思決定が行われるリスクがあります。これに対して、回答内容を適切に扱うためのガイドラインを策定し、定期的な説明会を実施しています。

  • 情報漏洩リスク:ChatGPTに入力した情報が外部に漏洩するリスクがあります。このため、ChatGPTの業務利用は専用の安全な環境に限定しています。

4. 業務改善への取り組み

4.1 全社統合データベースの構築

各業務システムデータを一元的に集約した全社統合データベースを構築し、AIが参照することで、より多様で広範囲な回答生成が可能となっています。これにより、各部門間の情報共有と業務効率化が進められています。

4.2 定量効果の実現

生成AIの活用により、年間32,591時間の作業工数削減が見込まれています。具体的には、営業部門で25,120時間、マーケティング部門で4,631時間の削減が達成されています。以下に各部門での削減時間を示します:

  • NSS営業(BS部):25,120時間

  • NSSマーケティング部:4,631時間

  • NSS ECBS:464時間

  • NSS新規事業推進部:324時間

  • HD食品開発部:320時間

  • NSS SCM部:286時間

  • HD品質究理部:274時間

  • HD生産部:222時間

  • NSS Well-being推進部:210時間

  • HDサステナビリティ推進部:159時間

  • HD法務部:130時間

  • HD宣伝部:96時間

  • HD内部監査部:90時間

  • HD経営管理部:74時間

  • NSSダイレクトマーケ:67時間

  • HD広報部:60時間

  • HD経営企画部:44時間

  • HD財務経理部:20時間

どの部門で生成AIが有効かが一目瞭然です。

4.3 利用促進とスキル向上

全社を巻き込んだ取り組みとして、プロンプトエンジニアリングの研修や利用促進施策を展開し、従業員のスキル向上を図っています。また、各部門で作成されたプロンプトテンプレートをグループ全社に展開することで、横展開を進めています。

5. 今後の展望

日清食品は、AIを利用することを前提とした業務プロセスの確立を推進し、社内の情報を把握したAIの構築を目指しています。これにより、さらなる業務効率化と生産性向上を実現し、競争力の強化を図ります。

5.1 AI活用の具体例

今後の展望として、AI活用を前提とした業務プロセスの構築が進められており、以下の具体的なユースケースが想定されています:

  • タレントマネジメント:新任ポストの適任候補者を自動提案。

  • 製品開発:製品開発研究所における配合調整プロセスの効率化。

  • 生産:生産工場における是正措置報告プロセスの効率化。

  • カスタマーサポート:お客様相談センターにおける顧客対応業務の効率化。

5.2 業務システムとの連携

業務システムとの連携を強化し、ChatGPTが各システムからのデータを参照して回答を生成できるようにすることで、より迅速で正確な対応が可能になります。例えば、製品在庫の確認や売上速報の確認などでの利用が想定されています。

まとめ

いかがでしょうか。グループで全社的に生成AIを導入しようとする意気込みが伝わってくる取り組みですね。
これが去年の取り組みですから、 そこから1年経って、さらに活用が進んでいることでしょう。
具体的には、 当時は、プロンプトでやっていた事は全てGPTs化されているのではないでしょうか。
本資料には、具体的なプロンプトも多数掲載されているので、 勉強になります。

https://www.nissin.com/jp/ir/library/event/pdf/20240314_2.pdf

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