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アムステルダムDoc映画祭2022日記Day9

17日、木曜日。ついに雨!でも例年この季節は雨が多いと聞いたので、昨日までの1週間が晴れ続きだったのはやはり幸運だった!午前中は部屋で締め切り間近の原稿を書いて、10時半に外へ。
 
オランダの映画センターと映画美術館が合体した「eye」という建物があり、そこがIDFA会場の一つにもなっているので、向かってみる。徒歩で行くには遠いみたいなので、地下鉄とフェリーの乗り継ぎにチャレンジ。ホテル近くの地下鉄の駅でキップを買い、二駅でアムステルダム・セントラル駅に到着。そこからフェリーに乗り、向こう岸にあるのが「eye」会場。
 
フェリーは数分置きに出ており、なんと無料。 

フェリー乗り場
普段は自転車で溢れるフェリー、雨なので少なめ

そして「eye」の巨大な姿。運河沿いにそびえ立つ。圧巻の迫力。この建物に、映画美術館とカフェと複数の上映スクリーンが入っている。

eyeの建物、横から
eyeの建物、正面から
eye内のカフェ、なんとも贅沢なスペース

せっかくなので、現在開催中の展示を見ようと思い、インドネシア出身でアムステルダム在住のビジュアル・アーティスト、フィオナ・タンの特別展に入ってみる。

遺跡コレクターの家を映した作品や、鏡が貴重だった時代に(先端技術を誇った)イタリアから鏡を背負いアルプスを越えて他国に運ぶ男性の旅を再現して撮影したスプリット・スクリーンの作品など、非常に刺激的。

12時から、審査員でご一緒しているエジプトのユースリ・ナスラッラー監督が1995年に製作した『On Boys, Girls and the Veil』というドキュメンタリー作品の上映&トーク。

Yousry Nasrallah "On Boys, Girls and the Veil"

1995年当時のエジプトの若い世代に密着し、恋愛観や結婚観について尋ねつつ、やがてイスラムの女性のヴェールについて踏み込んだ考察を行っていく。編集のリズムが絶妙で、複数の主題を見つめていく旅に見事に連れて行かれる。素晴らしい。ユースリさんと知り合えた光栄を噛みしめる。
 
そして、20時から、いよいよアワード・セレモニー。映画祭は日曜まで続くけれども、賞の発表は本日なのであった。16時からリハーサルがあり、17時半から審査員間のオフィシャル・ディナー。赤い豆(?)のリゾットがとても美味で感激する。

この映画祭(IDFA)では、なんと賞が17個もある。大した段取りも組んでいないのに、きちんと2時間のセレモニーで17もの賞の発表が収まる。日本で17の賞を授与しようと思ったら段取りでガチガチになるところなのに、不思議にまとまる。せかせかした雰囲気も全くない。どうしてだろう。これは文化の差なのかなあ。
 
詳細はまた明日以降に書くとして、僕が審査員の一員として参加したIDFAのメインとなる「インターナショナル・コンペティション」の受賞結果は以下の通り:
 
・作品賞『Apolonia, Apolonia』(扉写真。デンマーク/ポーランド/フランス)
・監督賞『Much Ado About Dying』(アイルランド/UK)
・編集賞『Journey Through Our World』(オランダ)
・撮影賞『Paradise』(フランス/スイス)
 
やはりドキュメンタリー映画祭の授賞式はフィクション映画祭のそれとは異なっていて、受賞者のスピーチに真摯な問題意識が込められることが多く、歓びの拍手をしつつも、厳粛な気分になる時間帯も多い。そしてドキュメンタリー映画コミュニティーの強固な連帯感に感動する。あまりに貴重で独特な経験だ。
 
とはいえ、祝福の瞬間であることは間違いない。受賞者の集合写真中に、風船が舞う。 

セレモニーが終わり、会場の各フロアでパーティー。 

パーティー。この奥でDJがフロアを沸かせている。

ホテルに戻って23時半。日記ブログを書いてそろそろ0時半。審査員会議で議論された内容などは、明日以降に残しつつ、まずは結果のみを報告して本日はダウンです。

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