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流通再編の波 コンビニ配送



以前、別記事でも少し触れましたが、もう少し書きます。

 
大手コンビニ3社(セブン、ローソン、ファミマ)が共同配送の実験を首都圏ではじめることが発表されました。共配物流は都心では当たり前におこなわれていますがコンビニではあまり例はありません。なぜならば、個別最適による最適化を各社がおこなってきたからであり、ある意味で物流網による差別化をはかってきたからでもあります。記事では理由として運転手の不足、効率化を全体で考えていくこと、SDGsの取組とありました。コンビニ各社が本心ではどう思っているのかは分かりませんが、商流と物流は切り離して考えたほうが効率的だということでもあります。この実行については内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における第2期研究課題の中のスマート物流サービスの構築の課題実現のための実験となります。官が主導し、有識者を招いてイノベーションを実現していくためには何が必要なのかを考え予算もつくプログラムになります。なので、コンビニ各社が現状の課題を認識しているのか、商流と物流は違うことを納得しているのかは分かりません。

 

 



図にすると効率化は一目瞭然です。コンビニは隣り合っている店舗も多数存在していますので共配効果は高くなるはずです。

プログラムディレクターの田中さん(ヤマトホールディングス)による説明では

「サプライチェーン(SC)全体の最適化を図り、物流・商流分野でのデータを活用した新しい産業や付加価値を創出し、物流・小売業界の人手不足と低生産性の課題を解決する。先行するセキュリティ等の取組や、港湾内物流情報の電子化に向けた取組などとの連携を視野に入れつつ、国内外のSC上の様々なプレイヤーが持つ物流・商流データを革新的技術で見える化し、最適化に向けて共有・活用できるオープンでセキュリティの担保されたデータ基盤を構築する。現状では個社・同一業界内に限定した取り組みに止まっているものが、SC上の垂直・水平プレイヤー間のコネクティビティを高め、オンデマンド、トレーサビリティ等の価値を生み、高い物流品質の維持と荷主・消費者の多様な選択肢の確保を同時に達成し、イノベーション(新たなサービス、テクノロジー等)を創出できる物流・商流環境を実現する」とあり、詳細がインタビュー形式で掲載されています。これでは日本では形式が統一されていないことがネックとしてあげられていて、個別最適が優先され全体最適がなされていないこと、それは業種間での形式の統一がされていないことで様々な規格の段ボール箱が存在することで効率化を阻む原因になっていることと説明がされていました。この様々な規格が存在することはロボット化の推進にもネックとなり労働集約型にせざるを得ないという理由にもなっています。

サプライチェーンをおこなうには様々な無駄が存在すること、業界統一した取り組みが必要だということは理解できます。商流と物流は別だということは理解できても実際は分けて考えることは難しくその理由も様々です。が、方向性としてはSCMのためには1社だけの効率性を追求するムダは理解でします。ただし実行するには障害が大きく存在することも事実であり、官が主導することで無理やり動かすことも必要なのも理解できます。

また他社と共同でセンターを活用することは普通におこなわれています。

問題はその先の店舗への配送であり、この部分が共同運用することが難しいということです。
今回の実験でも生鮮日配以外の常温の部分だということであり、全体の共配ではありません。

それだけ生鮮日配のような足の短い商品群は難しいことを表し、逆に言うと常温はシビアな時間管理がなくても可能だということを表しています。

共配センターにとっては取引先やメーカーからの集荷に関しては効率化をすすめています。ミルクランと呼ばれ、いかに効率よく集荷業務をおこなうかに使われますが、店舗への配下業務には使われません。それだけ共配物流は難しいということを表しているということでもあり、ミルクラン的な業務改善が難しいことも表しています。

ただし、今後は店舗までを含めた配送の効率化は避けて通ることはできません。
田中さんのインタビューでは配送の効率化には回数の削減もおこりえるがそこが難しいという表現があり、店舗側との意見調整は難題でもあります。どこが最適なのかを図っていくことが必要であり物流側にとっては積載率との関係を分かりやすく伝えていくことが求められます。


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