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カフェイン過敏

10年来、カフェイン過敏に悩んでいる。

誤解してほしくないのだが、コーヒーが嫌いなわけではない。
むしろ、ホットコーヒーのブラックは大好きである。

ただ、カフェインが入っていると途端にダメなのだ。
飲むと、少し動悸がしてしまう。

20代前半の頃、当時の会社に適応できずに心を病んでしまった。
その頃から、今まで普通に飲めていたコーヒーが急にしんどくなっていった。
コーヒー自体は好きだから、とてもつらい。

コーヒーだけでなく、一部の紅茶や緑茶も飲めない。
「午後ティー」でおなじみの「午後の紅茶」や「お〜いお茶」は、なるべく飲まないようにしている。
翼をさずけるエナジードリンクなど、もってのほか。
だから、私がいつも持ち歩くのは麦茶である。

それでも、最近は優しい世の中になってきた。

緑色の輪っかの中に女神が微笑むカフェチェーンに行って「デカフェに変更で」と店員さんにスマートに言えば(私はあの瞬間ラーメン二郎のコールと同じくらい緊張するため、100%噛む)、いつでもノンカフェインのコーヒーを楽しめる。

ファミレスなどでもカフェインレスを置くようになったし、主要なコーヒーブランドはカフェインレス商品もスーパーに出すようになった。
しかも、昔より美味しくなって。
本当にありがたい。

しかし、自分がカフェイン過敏であることによる問題はまだまだたくさんある。
一番困るのが、飛行機の機内サービスだ。

航空会社にもよるが、中にはコーヒーのみサービスするところもある。
「コーヒーはいかがですか?」とCAさんに笑顔で尋ねられると、毎度どう返すか困ってしまう。

返事の選択肢はいくつかある。

まず、「すみません、コーヒーが飲めないので…」という返し。
これはリスクが高い。

なぜなら、まず自分に嘘をついている。
私はコーヒーが好きだし、本当は飲みたい。
ただ、この流れでカフェイン過敏でダメなのだというところまで伝えるのは、かなり面倒だ。
しかしそれを伝えないと、「この男は30過ぎにもなってコーヒーも飲めないお子ちゃま舌のクソガキなのね、がっかりだわ」という受け取り方になってしまう。
実際このように言ったこともあるが、その後のCAさんの対応が不機嫌になってしまったので、それ以来採用していない。
お客さま(ここではCAさん)の声は、大事にしなければ。

次に、「すみません、カフェインがダメで…」と最初から言ってしまう返事。
かなり現実的な選択肢だが、これも問題がないわけではない。

そう、言った時CAさんに浮かぶ「あっ…」という表情で、こちらも何とも言えない気持ちになるのだ。
第一、善意でこのような声かけをしてくれているのだから、私の事情を必要以上に話して変な同情を買いたくない。
飛行機内だけでなく、カフェチェーンや青地に黄色い字が踊るおしゃれスーパーなどでもコーヒーをもらえることがあるが、このように返すと毎回「大変失礼しました」と言われてしまう。
あなたは何も失礼を働いているわけではないのだ。
私がカフェインを摂取できないばかりに、相手にまで罪悪感を負わせてしまうのはあまりに申し訳ない。

そして最後の選択肢。
「すみません、他のものはありますか?」
最近、私はこれをよく使う。

一聴すると、わがままで失礼な言い方に聞こえるかもしれない。
だが私の方でもシンプルに言いやすいし、相手からしても「あ、何らかの事情で飲めないのね」と感じてもらいやすい気がする。

カフェインレスコーヒーがさらに広まり、選択肢が増えることを願う。

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