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”思いつき”定義集㉔「て」ー②

【でっちあげ】冤罪(えんざい)の元凶。刑事事件に限ったことではなく程度にも幅がある(職場での責任転嫁も濡れ衣に近いかも)。重要なのはでっちあげる主体が必ず存在すること。根っこにあるのは体裁と自己保身のための姑息さ。でっちあげも疑う人がゼロであれば“真実”になる。少なくとも生贄を許さないだけの猜疑心は保っておきたい。

【テロル(テロリズム/テロリスト)】①恐怖(テルール)を前面化する権力者の暴力行為と殺人(国家テロル)。②追い詰められ行き場のない人(たち)の「愚行としての自己表現」。③嫌悪の対象を攻撃するための決まり文句(「テロリスト」)。通例、それぞれが作用・反作用の関係になる。
 例えば、イスラエルのパレスチナ難民への残虐行為はその典型。殺戮行為において犠牲者数をあげつらうことに意義はあるのか。どちらがより残虐なのか。個人的には「ある」――力の差を梃に唯一無二の存在を抹消するのだから。唯一無二の存在が抹消されたホロコーストがユダヤ人国家イスラエルの土台であるが、それもまた虐殺――ナクバ(大惨事・大破局)を伴って成し遂げられたことに目を向けるべきであろう。植民地主義の見本とも言えるのがパレスチナの現況である。植民地の拡大はヨルダン川西岸で今も続く。また、ガザ地区からユダヤ人入植者をあえて排除し「天井のない監獄」を建設したのもイスラエルである――シャロン首相の時代。この時の国連演説は後知恵ではあるがテロルの何たるかを示唆している。
◆注:最大の犠牲者が生み出されるのが国家テロルであることは、旧ソ連時代のウクライナ(今日の戦争ではない)、中国、カンボジアなどを想起すれば明らか。See, R. J. Rummel, Death by Government, Transaction Publishers, 1997; Update ed., 〈 https://www.hawaii.edu/powerkills/20TH.HTM
◆推し文献:小説としてヤスミナ・カドラ『テロル』(早川書房、2007年)。論説として岡真理『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、2015年)、四方田犬彦『テロルと映画』(中公新書、2015年)。エドワード・サイードの諸著作(別項にて紹介の予定)。

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