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”思いつき”定義集Ⅱ㉔「な」

【ナルシスト】①広く知られている定義(自己陶酔)からすると、鏡を嫌悪する人以外すべて。自意識過剰。ただ、逆説的だが鏡を嫌悪する人たちこそより自意識に鋭敏かもしれない。鏡を嫌う理由こそは自意識の反映だろうから。なのですべての人に該当すると言えなくもない。ただそれだとこの概念が空疎になる。②そこで内面的な自惚れが焦点化される。自分に惚れるとはすなわち傲慢。他者から見れば反吐を催す人。ただ自惚れのない芸術も考えづらい。あらゆる芸術に嫌悪がない交ぜになる理由はこの辺りにあるのかもしれない。

【難儀】例えば老人の口癖――「あの時は難儀したわ」――とりあえず肯くしかない。しかし振り返ってもらうと、難儀の経験は若い時代に多いようである。難儀するのは結局若者。にしても難儀を美談にすり替えるのは処世術の一つなのかもしれない。だとすれば処世術とはある種の自己を慰撫する処方箋とも言えるだろう。

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