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雑多な雑感――NPOの戯言㉑

《「田舎暮らし」の悲喜こもごも⑤》
 老母を抱えてこの山中にいつまでも、というのは現実的ではない。白内障の手術で街中の眼科通いが続いたが「遠いなぁ」というのが率直なところ。しかも早くて3時間待ち。広い院内は老人の集会所、しかも総会規模。眼科なので当然だが若者はここにもいない。買い物や通院を考えると頭が痛い。
 カラスとサルにバカにされ続け(ているとしか思えない)、害虫との闘争にも嫌気がさしてきた。取り分けてカラスの態度は日ごとにデカくなり車上を闊歩している。巣作りに最良の場所を見出したと見える。ムカつく! ――中高生の専売特許とばかりに思っていた科白がついに自分の口から吐き出される事態に。
 最大の懸念は傾げてきた家屋と裏山の土砂崩れ。昨年の台風で杉の大木1本が倒れ直撃をかろうじて免れたが、この大木の除去に3万円がぶっ飛んだ(家でなくてよかった)。もはや梅雨にして夏である。風雨での停電も当たり前。台風はなおのこと怖い。しかもこのあばら家は盛り土の上である。大型トラックが通る度に震度2の揺れである。熱海で起きたニュース映像もちらつく。
 というわけで、ついに引越しを決断。老母には住み慣れた家への愛着もあるらしいが、わたしには何の感慨もない。しかしわたしも断腸の思い――引越し先は賃貸。つまり、どうする! 毎月の賄い。さらに頭が痛くなっただけ(吞みすぎではない)。
 むろん解体費用の捻出は不可能なので、全国に広がる空き家問題に加担することになるがやむを得ない。税金は律儀に払っているし今後も払わざるを得ない。ではどうするか、働くしかない。ただ、その決意は二日酔いによって揺らぐ。揺らぎまくる。NPOの本領発揮である。
 ところが、捨てる神あれば拾う神もあってか、このタイミングで家庭教師の口が増えた。もちろん偶然だが、ここは日ごろの呑み具合が良かったと思うしかない。あたり目、違う、当たり前だが素面で臨む。前任者が親から馘にされたという案件でやっかいらしいが、世のため人のため人事は尽くす。どうでもいいけど時給は同じ。
◆注:近年不登校の児童・生徒が増加傾向に。ゆえにか塾通いではなく家庭教師(オンライン含む)への需要も高いらしい(調べたわけではないが)。

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