見出し画像

雑多な雑感――NPOの戯言㊴

《仕事⑬――元教員の「反省」(2)》
(前回のつづき)
 とまれ、教員としていくつかの大学で教えることに。肝に銘じていたのは2点。学生に対して「威張るな」と「諭すな(説教はするな)」。経験的な追加事項として「採点を怠るな」など。前者2点はわたしが余儀なく受けてきた体験から。後者も大事なことで論述形式では「適当な採点」とも言える悪弊の蔓延(?)を知っていたから。
 例えば、学部生の採点が院生に依頼される(請負った元院生からの情報。いくらもらったかは知らない。タダだったかも)。ちなみにわたしもこの教員から論文集の翻訳をバイトで依頼されたことがあるが、その原稿の行方は不明なまま。いい加減だなぁとは思っていた。
 あるいは、質はどうでもいいから量で成績を付ける(直接教員から聞いた話)。文字通りのテキトーさ。ちなみに、その教員はわたしに「誠意を見せろ」と訓戒を垂れ続けてきた人でもある。世を憂いるのは当然だろう。
◆注;経験的に言えば学生の答案に驚くような内容がないのは事実。まぁ、教えている内容から出題するので当然と言えば当然だが、それでも優れた答案はある。
◆注;とくにマスプロ授業では適当な解答のボンクラ学生もいるが必死で勉強している学生もいる。わたしの場合、論述試験が多いせいもあって本音を言えばウンザリすることもある。それでも「仕事キッチリ」(CMのフレーズ)はほぼ守れたのではないか。

 ちょっと思い出したので採点に関して付言。ある女子大でのこと。セメスターで2回の試験を実施する機会があり1回目の答案を返却した際、涙ぽろぽろで評定について訴えてきた人がいた。評定に加減することはない。ただ2回目の試験では必死に勉強してきたと思われる。結果的に最高の評定には及ばないが優れた解答を提出してくれた。そんな例もある。大学の成績など無意味だろうという人のために補足すると、成績によって奨学金の打ち切りなど、切実な実生活への影響が及ぶこともある。
 ちなみに、その女子大の教員にはこんな人もいた。たいして実績もない教授のこと。駅からキャンパスまで車椅子の人にとっては長い坂道があるのだが、その学生に対して「あなた迷惑かけてるよね。わかってるの」と平気で言う人。自慢話で授業を潰す人もいると聞いたが、こんな人も教員として実在する(なお、これは愚痴ではなく事実)。
 しかし、どこまでも誰に対しても誠心誠意に教員として勤めている人も大勢いることは強調しておきたい。そうした教員は毀誉褒貶に一喜一憂することもないだろうから殊さら言及する必要もない。また、ここに記したわたしの見聞と経験を一般化するだけの裏付けもない。ただ、これらの例だけも癪にさわることも多い職業ではあるのだ。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?